このごろ、ゲーテの作品をいくらか読み返している。潮出版社の全集、薄いグレーとブラウンの間の色をした本は、大学の図書館で読んだ。黄色、より詳しく言えばカラシ色の、人文書院の全集も見覚えがあり、こちらは女子高の図書室で読んだものだな。 いちばん好きなのはやはり『ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン』。古風で剛毅な騎士ゲッツが、皇帝に忠誠を感じながらも、邪な僧正らのたくらみや暴徒の争いにより、獄中に果てる。15-16世紀に実在した人物を扱ってはいるけどかなりの美化が施されているとの由。
それはともかく、気になるのはゲッツの年齢設定である。実在のゲッツは1480-1562と、釈放されてからけっこう長生きしている。戯曲では、皇帝マクシミリアン(1世であろう)が死にそうなころとしてあり、この皇帝マックスは1519年没。では、ゲッツは40まえ程度。しかし戯曲では、「白い頭」だの、「歳を考えて」だtのとむしろ年寄り扱いなのだ。そのくせ息子はまだ幼い。
ゲッツと敵対して和解して、その妹と恋仲になりながらもまた裏切って悪女にたぶらかされて、しまいにはその女に毒殺されるヴァイスリンゲンという重要キャラがいる(役者にとってはこういうやつのほうが演りがいありそうだが)。これとゲッツはかつて一緒に小姓奉公をしていたということになっている。では二人にそれほど年齢差があってはおかしい。そしてこのヴァイスリンゲンは色男扱いだし、ゲッツの妹は年頃の娘のようだし。 爺さんになるまえに髪が白くなる人もいるから、ゲッツは40くらい、ヴァイスリンゲン30代半ば、妹マリアが二十歳くらいと見なすのが妥当なセンか? そりゃ、トシくってから結婚して子供つくる人もいるから、白髪頭で幼い子がいても非現実的ではないのだけど。そして、年寄り扱いの枠は時代で変わるものだけど。(昔の本だと、40代で「初老」でびっくりする。) 私がこういったことに少々目くじら立てるのは、(男)主人公に対してよりも、「ヒロイン」にははるかに若さが求められている前提に不快を感じるからである。聖母マリアが初々しいのに夫ヨセフがじじい化されることへの反発ともいくらか共通した不満である。
ところで、『ゲッツ』の「ヒロイン」って誰だ? 最も印象が強い女は、マリアよりもむしろ悪女アーデルハイトのほうだと思う。
それはともかく、気になるのはゲッツの年齢設定である。実在のゲッツは1480-1562と、釈放されてからけっこう長生きしている。戯曲では、皇帝マクシミリアン(1世であろう)が死にそうなころとしてあり、この皇帝マックスは1519年没。では、ゲッツは40まえ程度。しかし戯曲では、「白い頭」だの、「歳を考えて」だtのとむしろ年寄り扱いなのだ。そのくせ息子はまだ幼い。
ゲッツと敵対して和解して、その妹と恋仲になりながらもまた裏切って悪女にたぶらかされて、しまいにはその女に毒殺されるヴァイスリンゲンという重要キャラがいる(役者にとってはこういうやつのほうが演りがいありそうだが)。これとゲッツはかつて一緒に小姓奉公をしていたということになっている。では二人にそれほど年齢差があってはおかしい。そしてこのヴァイスリンゲンは色男扱いだし、ゲッツの妹は年頃の娘のようだし。 爺さんになるまえに髪が白くなる人もいるから、ゲッツは40くらい、ヴァイスリンゲン30代半ば、妹マリアが二十歳くらいと見なすのが妥当なセンか? そりゃ、トシくってから結婚して子供つくる人もいるから、白髪頭で幼い子がいても非現実的ではないのだけど。そして、年寄り扱いの枠は時代で変わるものだけど。(昔の本だと、40代で「初老」でびっくりする。) 私がこういったことに少々目くじら立てるのは、(男)主人公に対してよりも、「ヒロイン」にははるかに若さが求められている前提に不快を感じるからである。聖母マリアが初々しいのに夫ヨセフがじじい化されることへの反発ともいくらか共通した不満である。
ところで、『ゲッツ』の「ヒロイン」って誰だ? 最も印象が強い女は、マリアよりもむしろ悪女アーデルハイトのほうだと思う。