『サンブンノイチ』をTOHOシネマズ渋谷で見ました。
(1)『ドロップ』、次いで『漫才ギャング』と見てきた品川ヒロシ監督の第3作目の作品ということで映画館に行ってきました。
今回の作品は、これまでの2作がオリジナル物だったのに対し、原作物〔木下半太氏の小説(角川文庫)の映画化:脚本は品川ヒロシ〕ということで注目されているようです。
映画の冒頭では、登場する人物が、その一人である「まりあ」(中島美嘉)によって紹介されていきます。
「まりあ」は、まず自分自身について、映画に映し出されているキャバクラのハニーバニーで昨日まで働いていたが殺された、と語ります。
次いで、ハニーバニーのボーイの小島一徳(通称「コジ」:田中聖)。趣味は格闘技で、性格はいいものの頭が悪いとのこと。
さらに、焼肉チェーン店の社長で連客の金森健(通称「健さん」:小杉竜一)。
最後に、清原修造(通称「シュウ」:藤原竜也)を、ハニーバニーの雇われ店長だと紹介します。
どうやらこの3人が銀行強盗を働き、ハニーバニーに奪ったお金を運んできて、これからそれを3等分しようとしているようです。
ここでタイトルクレジット。
さあ、銀行強盗って一体何でしょうか(注1)、そして上手く3分の1ずつ分けることができるでしょうか、それに「まりあ」は殺されているってなんでしょう………?
品川ヒロシ監督は、前2作について自家薬籠中の話を映画化したのに対し、本作は原作物ということで、見る前に若干の危惧はあったものの、どんどん思いもよらない方向に展開するストーリーを上手くコントロールして、まずまず面白く仕上げていると思いました。
本作の出演者のうち、最近では、藤原竜也について『藁の楯』で、また窪塚洋介について『ジ、エクストリーム、スキヤキ』でそれぞれ見ています。
(2)話が二転三転しどうなるのかわからないところがこの映画の面白さですから、内容にわたって書きづらいので、簡単に申し上げるにとどめます(ネタバレになるところはご容赦願います)。
イ)シュウは、もともと映画監督を憧れていたところ、ある出来事があってそれを諦め(注2)、今ではキャバクラの雇われ店長になっているという設定です。
これは、原作の作者・木下半太氏の経歴と類似している部分があり(注3)、そういうこともあって、原作でも映画でも映画ネタがふんだんに盛り込まれています。
でも、そんなことは刺身のツマといったところで(注4)、せいぜいのところ隠し味程度にしておくべきではないかという気がします。あまりやりすぎれば、オマージュともならずに、単なるパクリとなってしまう恐れもあるのではないでしょうか(注5)?
ロ)本作においては、映画の中でさらに脚本を書く者(注6)がいて、それを皆で演じますが、さらに、演じられているものを見ている者(注7)がいるという構図になっています。加えて、見られていることはシュウたちも承知の上。ということは“入れ子”の構造が何重にも施されているというわけです。
ただ、こうした構造は、最近では例えば『シャッフル』でも感じたのですが、余り何度も繰り返されると、見ている方でも身構えてその先を読んでしまい、実際にその通りになると興が削がれることになります。
そんなこんながあるとはいえ、本作全体の面白さからすれば些細なことといえるかもしれません。
(3)相木悟氏は、「頭を空にして、二転三転する妙を笑って楽しめるクライム・ムービーではあった」と述べています。
ですが柳下毅一郎氏は、「副音声的にすべてを説明し、それに合いの手まで入れていく掛け合いの……漫才?はテレビで五分のコントとして見る分にはそれほど苦痛でもないかもしれない。だがこの映画、二時間もある!」と随分の酷評です。
(注1)実は、シュウは、ハニーバニーの売上金400万円を競馬場で盗まれ〔「オーナー(破魔翔:窪塚洋介)の耳に入ったらアイスピックで殺される」〕、やむなく金貸しの渋柿多見子(池畑慎之介)から金を借りて補填しましたが、渋柿の厳しい取り立てにあっています(「1週間で返せなかったら、あんた死ぬよ」)。
そんなシュウに、同じく金に困っていた「まりあ」(オーナーから2週間で5000万円作ってこいと強要されています)が銀行強盗の件を持ち出します。
そこで、シュウは、カジノで負けて借金(シュウと同じく400万円)を抱え込むコジと、風評被害に遭遇し倒産寸前の焼肉チェーン店を抱える「健さん」を仲間に引っ張りこんで強盗を企てたという次第です。
(注2)『踊る海岸線』という映画の撮影現場で下働きをしていた時に、俳優たちが使ったふんどしをコインランドリーで洗っていたら、シュウは映画に対する情熱が冷めてしまいました。
(注3)劇場用パンフレットには、「映画専門学校中退後、脚本家・俳優として活動を始める」とあります。
(注4)いちいち詮索せずとも、劇場用パンフレットに掲載の「Movie Commnentary」で大体のところは把握できますし。
(注5)このところのSTAP細胞問題に絡んで、科学の世界にもコピペ文化が浸透していることが明るみに出されてしまいました〔例えば、このサイトの記事によれば、自然科学の博士論文にかなりのコピペ(引用元を明らかにしないで丸写しする)が見られるようです〕。
(注6)映画監督を目指していたシュウ。
(注7)破魔翔らが、ハニーバニーの上の階でディスプレイを見ています。
★★★☆☆☆
象のロケット:サンブンノイチ
(1)『ドロップ』、次いで『漫才ギャング』と見てきた品川ヒロシ監督の第3作目の作品ということで映画館に行ってきました。
今回の作品は、これまでの2作がオリジナル物だったのに対し、原作物〔木下半太氏の小説(角川文庫)の映画化:脚本は品川ヒロシ〕ということで注目されているようです。
映画の冒頭では、登場する人物が、その一人である「まりあ」(中島美嘉)によって紹介されていきます。
「まりあ」は、まず自分自身について、映画に映し出されているキャバクラのハニーバニーで昨日まで働いていたが殺された、と語ります。
次いで、ハニーバニーのボーイの小島一徳(通称「コジ」:田中聖)。趣味は格闘技で、性格はいいものの頭が悪いとのこと。
さらに、焼肉チェーン店の社長で連客の金森健(通称「健さん」:小杉竜一)。
最後に、清原修造(通称「シュウ」:藤原竜也)を、ハニーバニーの雇われ店長だと紹介します。
どうやらこの3人が銀行強盗を働き、ハニーバニーに奪ったお金を運んできて、これからそれを3等分しようとしているようです。
ここでタイトルクレジット。
さあ、銀行強盗って一体何でしょうか(注1)、そして上手く3分の1ずつ分けることができるでしょうか、それに「まりあ」は殺されているってなんでしょう………?
品川ヒロシ監督は、前2作について自家薬籠中の話を映画化したのに対し、本作は原作物ということで、見る前に若干の危惧はあったものの、どんどん思いもよらない方向に展開するストーリーを上手くコントロールして、まずまず面白く仕上げていると思いました。
本作の出演者のうち、最近では、藤原竜也について『藁の楯』で、また窪塚洋介について『ジ、エクストリーム、スキヤキ』でそれぞれ見ています。
(2)話が二転三転しどうなるのかわからないところがこの映画の面白さですから、内容にわたって書きづらいので、簡単に申し上げるにとどめます(ネタバレになるところはご容赦願います)。
イ)シュウは、もともと映画監督を憧れていたところ、ある出来事があってそれを諦め(注2)、今ではキャバクラの雇われ店長になっているという設定です。
これは、原作の作者・木下半太氏の経歴と類似している部分があり(注3)、そういうこともあって、原作でも映画でも映画ネタがふんだんに盛り込まれています。
でも、そんなことは刺身のツマといったところで(注4)、せいぜいのところ隠し味程度にしておくべきではないかという気がします。あまりやりすぎれば、オマージュともならずに、単なるパクリとなってしまう恐れもあるのではないでしょうか(注5)?
ロ)本作においては、映画の中でさらに脚本を書く者(注6)がいて、それを皆で演じますが、さらに、演じられているものを見ている者(注7)がいるという構図になっています。加えて、見られていることはシュウたちも承知の上。ということは“入れ子”の構造が何重にも施されているというわけです。
ただ、こうした構造は、最近では例えば『シャッフル』でも感じたのですが、余り何度も繰り返されると、見ている方でも身構えてその先を読んでしまい、実際にその通りになると興が削がれることになります。
そんなこんながあるとはいえ、本作全体の面白さからすれば些細なことといえるかもしれません。
(3)相木悟氏は、「頭を空にして、二転三転する妙を笑って楽しめるクライム・ムービーではあった」と述べています。
ですが柳下毅一郎氏は、「副音声的にすべてを説明し、それに合いの手まで入れていく掛け合いの……漫才?はテレビで五分のコントとして見る分にはそれほど苦痛でもないかもしれない。だがこの映画、二時間もある!」と随分の酷評です。
(注1)実は、シュウは、ハニーバニーの売上金400万円を競馬場で盗まれ〔「オーナー(破魔翔:窪塚洋介)の耳に入ったらアイスピックで殺される」〕、やむなく金貸しの渋柿多見子(池畑慎之介)から金を借りて補填しましたが、渋柿の厳しい取り立てにあっています(「1週間で返せなかったら、あんた死ぬよ」)。
そんなシュウに、同じく金に困っていた「まりあ」(オーナーから2週間で5000万円作ってこいと強要されています)が銀行強盗の件を持ち出します。
そこで、シュウは、カジノで負けて借金(シュウと同じく400万円)を抱え込むコジと、風評被害に遭遇し倒産寸前の焼肉チェーン店を抱える「健さん」を仲間に引っ張りこんで強盗を企てたという次第です。
(注2)『踊る海岸線』という映画の撮影現場で下働きをしていた時に、俳優たちが使ったふんどしをコインランドリーで洗っていたら、シュウは映画に対する情熱が冷めてしまいました。
(注3)劇場用パンフレットには、「映画専門学校中退後、脚本家・俳優として活動を始める」とあります。
(注4)いちいち詮索せずとも、劇場用パンフレットに掲載の「Movie Commnentary」で大体のところは把握できますし。
(注5)このところのSTAP細胞問題に絡んで、科学の世界にもコピペ文化が浸透していることが明るみに出されてしまいました〔例えば、このサイトの記事によれば、自然科学の博士論文にかなりのコピペ(引用元を明らかにしないで丸写しする)が見られるようです〕。
(注6)映画監督を目指していたシュウ。
(注7)破魔翔らが、ハニーバニーの上の階でディスプレイを見ています。
★★★☆☆☆
象のロケット:サンブンノイチ
あああ、分かった。
研ナオコの婆ちゃんにちょっと似てたんだ。
キャラの中では、実は檀蜜が一番かっこよかったと思います。
そう言われれば、渋柿多見子役の池畑慎之介は、「研ナオコの婆ちゃんにちょっと似て」いましたね!