映画的・絵画的・音楽的

映画を見た後にネタバレOKで映画を、展覧会を見たら絵画を、など様々のことについて気楽に話しましょう。

ドロップ

2009年04月15日 | 邦画(09年)
 「ドロップ」を新宿の角川シネマ新宿で見ました。

 コメディアン品川ヒロシによる原作・監督・脚本の映画ということで、何もこの作品までわざわざ映画館に行かなくともとパスするつもりだったところ、周囲を見回すと意外と評判が良さそうなので、時間も空いていることでもあり、見てみようかと心変わりした次第です。

 設定は中学生の青春ドラマにもかかわらず、27歳の成宮寛貴や25歳の水嶋ヒロがメインのキャラクターを演じていることや(他の中学生を演じている俳優も、総じて20代後半)、「クローズ」(予告編でしか知りませんが)でも見られるド派手な喧嘩シーンの割合が高いこと、ところどころ漫画の「ドロップ」の画像が挿入されること、などそれだけを取り出せば問題視されるかもしれない点が数多くありながら、見終わるとすべてを違和感なく受け入れてしまいます。

 これは、「蚊取り線香は蚊を取らないよ」の“つぶあんこ”氏が、「ギャグがギャグだけで浮く事なく、ストーリーやキャラクター描写と有意に絡んで作品を構成しており、総じてギャグ、ケンカ、ちょっといい話、などの配置とバランスが良い事が成功点か」と述べているように、品川ヒロシ氏の優れたバランス感覚に拠っているのではないか、と思いました。

 あるいは、余りに上手に制作されている映画でなのあって、監督第1作目の作品であれば、品川ヒロシ氏はもっともっと冒険すべきではないのか、と逆に思ってしまうほどです。というか、こうしたレベルの作品ならば、監督が誰であっても、今や映画業界にたくさん存在する有能な専門スタッフ(撮影監督からはじまって!)に任せれば、放っておいてもソコソコ制作してしまうのではないか、と思えてしまいます。
 何しろ、本業であれだけ忙しいコメディアンが、1ヶ月ソコソコの撮影期間で撮り上げてしまっているわけで、かなりの部分をスタッフ任せにせざるを得ないところ、全体として破綻なく収まっているのですから!

 この映画は、哀川翔(刑事役)と遠藤憲一(悪質タクシー運転手)とのとびきり愉快な掛け合いとか、お馬鹿タレント上地雄輔の意外な演技力など随所に見所もあって、総じて面白い作品になっています。

 ただ、コメディアンの監督ということからすれば、品川ヒロシ氏はこうした出来上がりで満足してしまうのかな、自分にまつわるエピソードをストーリーにうまく仕上げてはいるものの、映画作品として自分の物になっているのかな、そういう点からするとやはり北野武の存在は抜群だな、と思ったところです。


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