雲は完璧な姿だと思う。。

いつの日か、愛する誰かが「アイツはこんな事考えて生きていたのか、、」と見つけてもらえたら。そんな思いで書き記してます。

スターフルーツと珈琲

2014-10-25 17:50:28 | 素敵...映画/音楽/珈琲
日系の国武(くにたけ)さんが丹精込めて栽培している美味しいコナ・コーヒーは、
「国=Country」「武=Samurai」で、
「カントリー・サムライ・コーヒー=Country Samurai Coffee」
と名付けられています。
ハワイ島、カイルア・コナの港には小さな珈琲豆店を構えています。



パッケージの裏は、
お客さんが豆の品質をよくチェックできるように、と、
透明でよく中が見えるようにもなっていて。
......写真は「エクストラ・ファンシー(Extra Fancy)」



国武さんは、僕らコナ・コーヒー好きの間では元々有名な方でしたが、
最近は色々なガイドブックやテレビなどに登場することも増えて来て、
知っている方も多いかと思います。
そして、なぜ?国武さんのコーヒーがコーヒー好きの間で有名なのかというと、
それは、珈琲の栽培の仕方に理由があります。

多くの場合、ハワイでも世界のコーヒー農場でも、
珈琲の実の収穫は機械で行うことが多いのですが、それは、
広大な敷地に広がるコーヒーの木のコトを考えれば至極当然のことであり、
とても合理的な事。
ただ、機械で摘むことのデメリットとして、
実を摘む際にコーヒーの木が少し傷ついてしまうということがあるのだそうです。
勿論、健康な木であればあるほどソコに成る実は美味しくなるので、
一部の農園では木にかかる負担や傷を最小限に抑えられる
「手摘み」
を行っていて、
それが一部のコナ・コーヒーを特別なモノにしていたりもします。
加えて、天候に収穫が大きく左右されるリスクの大きい
「無農薬栽培」
を取り入れている農園もコナには多く。
そんなことがハワイ島のコナコーヒーブランドと品質を支える
大きな要因となっていたりもします。

そして、こんな途方も無い!?
手間暇をかける農法を一つの方法として確立させていった人達が、
何を隠そう!?
明治期に我々日本国からハワイに移住していった日系移民の方々なのです。
美味しいコナコーヒーの魅力というのは、実は、
移住した日本人の持つ仕事へのこだわりと、
根気強さ、繊細さと丁寧さ、
優しさ、にその秘密があるというわけです。

国武さんの作るコーヒーというのは、勿論、
そんなとてつもない手間暇のかかる
「無農薬栽培」で「手摘み」ではあるのですが、
他とさらに違うことがあって。
それは、通常の手摘み系農園では、
その「摘み作業」がしやすいように
コーヒーの木を人の背丈ほどの高さに切り揃えたりするのですが、
国武さんの農場ではそれを全くせず。
木を自由に大きく伸ばさせて栽培をしています。
なので、国武さんの農場の木は他の農場の木よりストレスが無く、
大きく高く育っていて。
そんな国武さんの農場の木から実を摘む時は
「脚立」まで使うこととなります。
「木」本来の形や生命力を削ぐことなく、
無農薬で自由に伸び伸びと育て。

そして、木への負担も最小限にする手摘みで収穫をする。



それが国武さんのコーヒー。



「カントリー侍コーヒー」を特別なものにしている理由です。



そんな国武さんのお店というのは、
あくまでコダワリの農作業が中心となるので、
常に11時~17時でキッチリ!バッチリ!
と開けて閉められます。
故に、
いつも朝早くからフラフラと島をドライブした後に訪ねるような僕の場合、
過去2度ほど行った全てが閉店ガラガラで入れずじまい。(T . T)
つい先日も、
大好きな珈琲豆を買いにコナの農園を幾つかプラプラとしていたのですが、
ふと「カントリーサムライ珈琲」のことを思い出し。

「今回も時間ギリギリやな......
また間に合わないだろなぁ......」

などと思いながらのダメモトの訪問を決行。
すると今回は、閉店前に無事滑り込み!が出来て。
初めて国武さんのお店に入ることができました。(^.^)
店内には有名人などと一緒の写真がアチコチに飾られていて、
ちょっとミーハーな感じ。
幾人かのお客さんもいて、けっこう賑わっていたのですが、
フト見ると、
カウンターにはそんなマニア向けの噂の人物、
オーナーの国武さんがいらっしゃいます。



上の写真にチラリと映っているのが国武さん。
まるでセルジオ越後に出会った時のような気持ち......( ̄ー ̄)ジミニジィィーン。。

国武さんは幾人かのお客さんの会計を済ませると、
店に入って来た僕とコニャ(奥さん)を見つけ、
突然キャッシャーカウンターを出て僕らの方にツカツカと歩いて来ました。
国武さんは僕等に近づくなりタドタドしい日本語でこう言いました。



「二人!(^。^)どこから来た!?にほん!?ね?どこ?」

「トーキョーです♪とーきょー」

「そう!やぱりね!わかるよ。わかる(^。^)
私福岡ね!九州!
いいね!
二人いいね。
よく来た。
味見する?今持ってくるから。ココいて。ココ!」



と、突然の強引なトーク&展開。
スグに煎れたての美味しいコナコーヒーを紙コップで持ってきてくれて、
僕らは嬉しげにソレを飲んでいたのですが......
別に僕等は夫婦とも何とも言っていないのに、
国武さんはこんな話をし出しました......



「奥さんイイね!イイ!
カワイイ!よく来た!また来る!
でもね、ダンナ、
顔悪い!
関係ナイ!顔悪くてもイイね。関係ない人だよ!」



な!?
ぬぅぁあにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!?( ̄◇ ̄;)
顔悪いだぁぁっ!?
ぁあああああああああああああああーーーーーーーーっ!?
わかってますけどぉぉーーーーーーっ!(; ̄ェ ̄)
でもよ!
なんだよ!
初対面で!
しかも客だぞ!!
こるあぁぁぁぁーーーっ!
ナンダコノやろぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!
ンダッ!?てめぇぇぇぇぇ!!!(♯`∧´)
やんのか!コラぁあああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!
上等だぁぁぁーーーーーーっ!!
とてもサワヤカな気候の表にでも出やがれぇぇぇーーーーっ!!o(`ω´ )oプンスカ!



......っと、言いそうになったその瞬間、



「ああ!違うね!間違ってるね!
ダンナさん間違ってるよ。その顔!
そうじゃないよ(^。^)」



な!?
なにが間違ってる!だとぉぉぉぉぉぉぉーーーーーっ!
顔が間違ってるだとぉおぁぁぁぁーーーーーーーっ!?
このジジィィィーーーっ!
言わせておけば次から次へとぉぉぉぉ!(♯`∧´)
目の前のとてーーーも美しい海にドップリプリリンと沈めてやろうかぁぁぁっぁーーーっ!



.......と、またも言いかけたその刹那、



「そうね!違うよ!日本語難しい。
私ね、日本語チャンと習ったことないの。
こうやってみんなと話してるだけで覚えた。
言いたいのは、ダンナの心広い。大きい。
顔で人を絶対見ない人ね!
顔悪い良い関係ない人ね!心見える!
心で生きてる。それ凄い!
心見える人!顔は関係ない!
奥さんわかる!?ね?
この人とても大きいね。
そういうことだよ。間違えてるよ。
そいうことだよ(^。^)」



へっ!?(・・?)
な、なにさ、
初対面で何よ?
誉め殺し!?
ココは占いの館?
新宿の母?父?
褒められてんの?
チャカされてんの?
なんだよ?この人。。んん??( ̄O ̄;)??
ああ大きいさ!
大きいともさ!(*`へ´*)
でも色んなところがちっちゃいぞ!特にみえないとことか!
少なくともそんな人になりたくて毎日頑張ってんだい!
なんだい!
どーせ客商売のお世辞やろ。このヤロ!



......と、
心中で黙々と怒鳴り散らしつつ、
そのままオッチャンの話を聞いていると......



「私はね、日系3世。
タダのファーマーね(^。^)
手を見て。手。
ひどいでしょ。傷だらけね。。汚い(^。^)」



と言って、国武さん。
今度は僕らに手を差し出してマジマジと見せてくれました。



「どう?ただのファーマーよ。
毎日土と木を触ってるだけの人。ね。
傷だらけ(^。^)」



確かに傷だらけでゴツゴツとした分厚い大きな手。
でも、なんだか美しい手。
光り輝いてます。



「良いじゃないっすか!
とても良い手じゃないですか。これぞ手!って感じで。
イイじゃないっすか( ̄▽ ̄)」



と、僕。
すると、



「そう!?でも美味しいコーヒー作れるよ。
ちょと待って!
今いいものあげる!!」



と、まだコーヒーも買っていない僕らに突然の嵐のような連続した絡み技......
コニャもなんだか面食らっていて、二人して顔を見合わせていると、
また戻ってきた国武さんが手にしていたのは......



「コレ!知ってる?
スター・フルーツ。美味しいよ!
あとコレ!
らいむ!全部無農薬だから。本当に美味しい。
コーヒーと一緒に私が作ってる。
食べる?美味しいから。ちょと来て!」



と、今度は入口のレジの方に連れて行かれ......
どこからかマジックのように取り出した果物ナイフと新聞紙を
レジカウンターに広げ、



「これね、切るとホラ!
星の形。スターフルーツ。甘いよ!食べてみて!
どう?美味しいでしょ?
あげるよ。何個いる?
3っつぐらい?

あとね、これ!ライム!
色悪いけど、無農薬だから。
これも私が作ってる。美味しい。
ビール飲む?今夜?ホテルどこ?飲む?
飲む!あっ、そぉ。。
ナイフ有る?ある!そう。
これね、、こう切って、、、」



と、今度はライムをシャットに切る国武さん。



「でね、これ、アップルジュース。
ビールないから、これ、ビールの変わり。
ライムをね、一個じゃなくて沢山、
これにギュッと絞って。。飲んでみて!(^。^)」

「う、うまい!!*・゜゜・*:.。..。.:*・'(*゜▽゜*)'・*:.。. .。.:*・゜゜*
何これぇぇ!?♪」

「でしょー(^。^)
美味しいの。
もっと絞ると、もっと味変わるから、、、どう?」

「うめめめめーーーーっす♪───O(≧∇≦)O────♪また味がちがぅぅぅ」

「そう!でしょ!ビールに半分ぐらい絞ってね、
飲みながらもう半分も足していって、
一個全て使うと良いね(^。^)」

「はい!今晩飲んでみます!( ´ ▽ ` )ノ」



気がつくとスッカリの国武ペース......



「じゃ、ライムもあげるね。何個?
幾つでもいいよ!」

「いや!3個ぐらいで十分っす!」

「そう?じゃ5個入れとく。
これ飲む!元気でる!間違いない!
美味しい!無農薬ね!
タダのファーマーのライム(^。^)」



......で、
こんな突然の嵐のようなノリと会話の間に
数人のお客さんが入ってきてましたが、
皆出て行ってしまって、
なんだか、僕らの貸切状態。



「国武さん!まだコーヒー買ってないから見ていい?棚」

「うんうん(^。^)好きなの選んで。大丈夫。
アッ!
これ見た!?写真!
これ!」



と、またコーヒーを見る前に話を振られた僕らは、
店内に飾ってあった幾つかの写真の中で、
一番大切そうに飾られている写真の前に連れて行かれました。



「コレ!天皇陛下(^。^)」

「今上天皇(きんじょうてんのう=現在の天皇陛下)ね。
わかるわかる。
スゴイですね。こんな近くの写真(^_^)

「そうそう(^。^)
わかるね。あなたわかるよ。
あなた天皇のことよく知ってる。わかるよ。うんうん(^。^)」

よく知ってるけど、、、会ったこともないし。
俺。。(´・_・`)小市民だし。。
オッちゃん変な人やな。。」

「あと!!誰か写ってる。わかる?誰?よく見て!」



と、写真をよく見るように僕らは促されました。。
その飾られていた写真はポスターサイズの額縁の中に
沢山の様々なサイズの写真が隙間なくコラージュ的に散りばめられたモノで、
全て今上天皇夫妻がハワイ島を訪れた時に撮られた写真達。
国武さん自らが撮影したものもあれば、
沢山の新聞記事や雑誌の記事などから切り取られたものもあります。



「誰か分かった!?」

「......コレでしょ!」



と僕は、
額の中に散りばめられた沢山の写真の中から1枚の写真を指差しました。
それは公式のパーティーの様な場で天皇がある男性と和かに談笑している写真。



「そう!これ!
私ね!これ。私。
凄いでしょう(^。^)」



そう言って国武さんは子供のような笑顔をしました。



「わかりますよ。
でも、、凄いっすね。
天皇と公式の場で謁見するなんて......ああああ!?
アナタモシカシテ!?とても偉い人なんちゃうのぉぉ!?」

「違う違う!
私、ファーマーね。ただのファーマー(^。^)
手を見て!手!
でもちょっと大学の教授もしてたから、
あと、私の両親やお爺ちゃん、お婆ちゃん、本当に凄いのね。
だから日系の先祖達は凄いのね。だからだね。うん。
皆ハワイで苦労した。
とても辛い思いした。
だから凄いのね。うん。
天皇陛下に会った時は、私とても感動した。
だからズットここに飾ってある。
私の宝物。(^。^)」



国武さんはそう言って、閉店前のひと時、
僕らにカントリーサムライ珈琲農園の歴史を話してくれました。
そして、その後、こんな事を言いました。



「私達とても苦労してきた。
本当ね。
それで、やっと、やっとだよ!この年で!
最近、やっと日本に行けた。
その後も行った。
嬉しかった。とても嬉しかった。
日本、憧れね。
東京とか、北海道とか、九州とか、やっと行けた。
来年も行こうと思ってる。
子供達も育って、これからたくさん日本に行こうと思ってる。
日本すごいね。大好き.......」



この時気付いたのが店内に飾られている沢山の写真のこと。
それは最初ミーハー的に感じられていたものですが、
よくよく見ると、
それらは全て日本人との写真でした。

......そんな国武さんのお話はもう少し続きます。。


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