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平成26年第一定例会 一般質問のご報告「学童クラブについて・あんさんぶる荻窪の財産交換について」

2014-03-18 | 議会・一般質問のご報告

2月17日に一般質問で議場に立ちました。

テーマは「学童クラブについて・あんさんぶる荻窪の財産交換について」

保育需要増に伴い予測されている学童クラブの増員に対して、

杉並区ではこれまでの児童館併設の学童クラブから小学校内へ学内学童クラブへの方向性が示されました。

また、あんさんぶる荻窪と荻窪税務署の財産交換が発表されたことを踏まえ、

その詳細に関して区の姿勢を問いました。

動画→2月17日http://www.gikai.city.suginami.tokyo.jp/vod/26-01/260217.htm

学童クラブに関しては区長答弁をいただきました。

質問と答弁の要旨、そして質問の全文を掲載いたします。

 

<要旨>

質問1

学童クラブを取り巻く状況が大きく変化する中、今後の需要をどのように捉え、的確な対応のための手立ては?

小学校内学童クラブへの移設・整備の意義は?

答弁1

女性の社会進出の本格化に伴い、29年度までの今後4年間で約1,000名増加すると見込んでいるのに加え、平成27年度以降は「子ども・子育て支援制度」の本格施行により、利用対象が小学校6年生まで拡大することもあり、さらに需要増となる見込み。

区では区立施設再編整備の中で、小学校の有効活用により需要増に対応した学童クラブを実施するべく段階的な整備を進める。

実現までの間は一部の児童館の学童クラブ受入数拡大措置を講じる。

小学校という広いフィールドを活用することで需要に応えられる、保護者要望の学童クラブへの行きかえりの安全・安心を確保できる、学童クラブ利用児童と他の小学生との交流機会を確保することが出来る、ことで一層の健全育成が期待できる。


質問2

学童クラブにおける障害児の受け入れ状況は?利用者の利便性に配慮した今後の受け入れ枠の拡充は?

答弁2

基本的に49か所すべての学童クラブで障害のある児童を受け入れており、25年4月時点での受入数は122名。この中の1か所の学童クラブでは重点的に対応している重度重複障害のある児童3名も含まれている。

学童クラブ需要が高まる中、障害のある児童の入会希望も増える傾向にあり、地域バランス等に十分配慮しつつ、今後とも障害のある児童の受け入れ拡大に努める。


質問3

「子ども・子育て支援新制度」に基づき区が定めることとなる学童クラブの設備・運営等に関する条例について、現在までの国の検討状況と、それらの動向等を踏まえた区の取り組み状況と今後のスケジュールは?

答弁3

国は昨年5月以降、社会保障審議会児童部会に専門委員会を設置し検討を進め、昨年12月に同委員会の報告書が取りまとめられている。

この報告書では、厚生労働省令で従うべき基準として定める、学童クラブ職員の資格や配置数のほか、参酌すべき基準となる、規模や施設・設備、開所日数及び時間等について一定の考え方が示されている。

区もこの間、こうした国の動向等に応じた検討を順次進め、今後国はこの報告書を基にさらなる検討を進め、今年度末を目途に省令を制定することとしており、それらを踏まえ、条例制定に向けた取り組みを加速化していく。


質問4

あんさんぶる荻窪の財産交換は、他の案件に比べても周知期間が少ない。区民説明会や意見交換会、またアンケート結果などからはどういったご意見が寄せられ、その意見を反映させて来たのか?

答弁4

区民説明会では、あんさんぶる荻窪は住民が意見を出し合って作った複合施設であり、集会室やフリースペースの利用も高いことから、そのまま残してほしいというご意見や特別養護老人ホームの整備は必要だというご意見、また、施設内の児童館について、学童クラブ以外の乳幼児親子の利用や近隣幼児の遊び場、自転車駐車場と防災倉庫を残してほしいなどのご意見があった。

区民意見交換会では、財産交換は用途を有効利用できることから賛成、子どもの施設を優先すべきなどの意見がありました。計画案ではこうしたご意見を踏まえ、児童館の機能・役割の継承について桃井第二小学校及び杉並保健所内に必要なスペース等を確保することや、合わせて桃井第二小学校に近隣の保育園児等が利用できる小規模な遊び場や地域住民の集会・交流スペースも整備することなど、より具体的な記述に修正するとともに、自転車駐車場と防災倉庫については、存続することを基本に国と協議する方針といたしました。

また、荻窪税務署等用地の活用策について、規模を活かした3つの機能の充実強化を図ることとし、大規模な特別養護老人ホームの整備、区内全域の地域包括ケアのバックアップ機能の拠点、区の就労・自立支援の拠点として、より一層地域福祉の向上に資するようにした。

あんさんぶる荻窪の財産交換につきましては、これまでも地域説明会のほか、地元町会をはじめ関係団体等へ繰り返し説明を行ってまいりましたが、今後も引き続き丁寧な説明を重ね、広くご理解を得られるよう努める。


 

<全文>

 

わたくしは、民主社民クラブの一員として、区政一般について質問をさせていただきます。

質問項目は、

「学童クラブについて」

「あんさんぶる荻窪の財産交換について」です。

私は、昨年の第1回定例会の一般質問において、増加傾向にある学童クラブの需要に的確に対応した整備を進めるべきとの観点から縷々質問を行いました。これに対して、区当局からは前向きな答弁をいただきました。そうした経過も踏まえ、改めて、今後の学童クラブの整備に関する区の取組について伺います。

 この間区は、区長のリーダーシップのもと、 都市部に共通する重要な課題である  保育の待機児童対策に真正面から取り組んでいることは私も高く評価しており、引き続き、認可保育園を核とした待機児童ゼロ達成に向けて積極的に取り組んでいこうとする姿勢は、子どもの育つ環境づくりを第一に考えた上で、女性の社会進出を力強く後押しするものとして誠に適切な判断であると思い、私もこれを支援するものです。

 このような保育需要は就学後の学童クラブの需要増加につながってまいります。

 また、国が平成27年度から本格施行を予定する「子ども・子育て支援新制度」では、現在4年生までを対象としている学童クラブの対象が、小学校6年生まで拡大されることとなっていることも考え併せれば、時期を同じくして、学童クラブの整備も着実に進めていく必要があると考えます。

 近年、学習塾や私立幼稚園等の他業種による民間学童クラブの新設も増えつつあり、 公的な学童クラブの需要把握にはこういった新たな動きも加味していく必要性も感じております。

 そこで、まずお伺いします。

Q. 区は、学童クラブを取り巻く状況がこのように大きく変化している中で、今後の学童クラブの需要をどのように捉えているのでしょうか。また、そうした需要に的確に対応するため、どのような手立てを講じていく考えなのか、併せてお伺いします

 次に、学童クラブにおける障害児の受け入れについてです。これまでも区は、一部の学童クラブで障害児の受け入れを重点的に行ったり、重度重複障害児対応の学童クラブ1か所を運営するなど、適切な対応を図ってきたものと考えています。しかし、現在のように特別支援級や通級指導を受けている児童の他にも、通常学級に通う発達障がい等の、支援が必要な児童の増加なども考え合わせると、今後の学童クラブの需要増に伴い特別な支援を要する障害を持つ児童の入会希望も一定程度増えてくることが予測されます。

そこで伺いますが、現在の学童クラブにおける障害児の受け入れ状況はどうなっているのでしょうか。

また、区内偏在の無い、利用者の利便性に配慮した今後の受け入れ枠の拡充についてはどのようにお考えなのか、区のご所見をお伺いします

 

次に、学童クラブの整備と区立施設再編整備計画との関係性についてです。

再編整備計画案の中で、区は、今後の学童クラブは、地域にあまねく存在する小学校内に整備することを基本的な方針としています。私は、現行の児童館併設の学童クラブの行き帰りの安全面等から、 小学校内の整備を求める保護者からの多くの声も聞いており、より広い敷地・施設で児童の健全育成を図る観点からも、こうした区の方針は妥当なものと考えています。その一方で、この間の施設再編整備に係る地域説明会やわたくしが行ったヒアリングでは、「生活の場」である学童クラブを「学業の場」である学校併設とせず、現在の児童館併設型の学童クラブを維持すべきとの意見が出されていることも承知しています。

こういった保護者からは

「朝から晩まで小学校内で過ごす事になるため、気分の転換をする事が出来ないのではないか?」

「学童クラブで過ごしていても学校の先生の目が届くようではそのまま学校に居るような緊張感があり

リラックス出来ないのではないか?」といった心配の声があり、小学校という広いフィールドを有効活用していくことのメリットが十分には理解されていないように感じます。

これまでも区では学童クラブ設置において様々な対応をして来ました。例えば

・遊びができる床部分と勉強や読書等ができる畳部分を設えることで「動」と「静」の空間を作る

・感情が昂った児童がクールダウンできる空間確保を念頭においている

・学校空間との差別化をよりはっきりさせるため学校とは異なる出入り口をつくる

・校舎改築や別棟での設置のときには可能な限り専用のトイレや手洗い場等をつくる

など、生活の場としての学童クラブの空間作りにおいて大きな配慮をしてきた事は、健全な児童育成の場を確保してこうという、使命感を持って取り組んできた表れとして評価をしています。

人員配置においても受け入れ人数に応じた適切な数を常に把握をし、この実現に取り組んできた事も大きく評価をしております。

 以上のような点を基本としながら、単に学校の教室を転用するのではなく、必要な改修を行うことで、学校生活とひと続きではない、それとは異なる生活空間づくりを行い、子どもたちが気持ちの切り替えができるよう、しっかりと配慮した整備、運営を図っているものと考えています。

 

Q. そこで伺いますが、区は、小学校内に学童クラブを移設・整備することの意義をどのように捉えているのでしょうか、改めて明快な答弁を求めるものです

 

  さて、「子ども・子育て支援新制度」に基づき、その実施主体となる区市町村は、本格施行となる平成27年度に向けて、様々な検討が待った無しの状況です。その中で、学童クラブの設備・運営等の基準についても、今後国が示す予定の政省令に基づいて各自治体が条例で定めることとされております。これには杉並区民意見を盛り込んだ上で、より一歩踏み込んだ利用者配慮を実現できる条例づくりが望まれており、言い方を替えれば、この条例化の内容によっては自治体の実行力が大きく試されているという事では無いかと考えます。

 Q.そこで、この項の最後に、学童クラブに関する条例制定に関して、現在までの国の検討状況はどうなっているのか、また、それらの動向等を踏まえた区の取組状況と今後のスケジュールについて、お伺いします

 

 

次に、「あんさんぶる荻窪の財産交換について」お尋ねを致します。

 ここで一つの事例をご紹介します。

人口約13万人、三重県の伊勢湾に面した伊勢市で今週の土曜日2月22日に「朽ちるインフラ」と題して、その分野の第一人者である東洋大学経済学部教授 根本祐二氏の講演会が開催されます。

個人的な感覚ではありますが、「朽ちる」というやややるせなさを感じる言葉と、「インフラ」という強固な建築物や経済発展をイメージするような、まるで異素材の言葉を直接組み合わせることにより、ふと立ち止まってその意味を再確認したくなる様な大変印象的な題名であると感じています。

この「朽ちるインフラ」は「伊勢市公共施設マネジメント講演会」として、何故公共施設マネジメントが必要なのか、施設老朽化問題への対策として箱とサービスの分離、複合化などお話しする予定との事です。「公共施設」をマネジメントするという概念は、まだ国内においては一般的なものとはなっていませんが、わたくしは、これはイコール現在区内で議論が進む杉並区区立施設再編整備計画であると理解しています。

 この講演会開催までに同市では公共施設の現状と課題について市民周知を行ってきており、今後この議論を深めていくためには市民との問題意識の共有と総論部分の周知徹底は不可欠であるとの事から、200人規模の講演会の開催を計画したとあります。

 私は「杉並区立施設再編整備計画」の策定予定をはじめて聞いたとき、一番に必要な事は伊勢市での取り組みにもあるように「問題意識共有と総論の周知徹底」であると考えてきました。そしてその大きな目標は「区の資産を出来るだけ優良化し、次世代に引き継いでいく。」事であり、その実現の為に取り組んで行くことを前回の一般質問でも要望致しました。

 その様な中、これまで区では区立施設再編整備計画において丁寧で手順を踏んだ進め方に努めて参りました。素案作成と区民説明会開催、その後区民と議会の意見を踏まえ修正を加えた上で計画案を作成し、再び区内各所で説明会を開催するなど区民周知にも努めて参りました。

 

 また、区民説明会や各種団体への説明会の他にも区民意見交換会や無作為抽出に拠るアンケート集計、インターネット等によるアンケートなど様々な手法を用い、自治体の使命である公平公正性を保ちながら、区民福祉向上に努める為に尽力をしてきた事に敬意を表しますし、こういった手続きを踏んだ上で成案を導き出して行く計画においては、今後必ずや区民の理解を得て、後世において評価される事と思います。

 しかしながら、例え総論のご理解をいただいたとしても、いざ自分の生活の周りで実際に利用をして来た施設の今後の整備のあり方に関しては、より実感を伴う様々な思いを持たれる区民も多くいらっしゃるのではないかと考えます。

また、施設を中心として地域のために力を注いで来られた区民にとっては、より一層思いが強く、その動向が気になるとことだと思います。

そこで質問です。

Q.この計画案の中で、あんさんぶる荻窪の財産交換は昨年11月にマスコミによる報道で区民に知られる事となり、他の案件に比べても周知期間が少なくなっております。この事について、区民説明会や意見交換会、またアンケート結果などからはどういったご意見が寄せられ、またその意見を反映させてきたのか伺います。

そしてもう一点、

Q.あんさんぶる荻窪は、住民参加で計画し設置した経緯があり、荻窪税務署等跡地との財産交換に懸念を抱いている利用者も少なくないとの事ですが、計画案ではあんさんぶる荻窪内の施設の移転時期や移転先の施設の詳細は明らかになっていません。計画決定後の国との協議に委ねられる部分も多いことから現時点ではやむを得ないと考えておりますが、今後、国との協議の進捗に合わせて区民に対して引き続き丁寧な説明を行っていく必要があると考えますがいかがでしょうか。

 

 私はこの間、区政報告や区民意見交換会の場において、

「区立施設の老朽化による建物の更新の時期を捉え、一つ一つの建物の建て直しをするのでは無く、大きな視点で全体の行く末を捉え、来るべき本格的な少子高齢化の時代にあっても福祉向上を願いながら区民が生活が出来るよう議論が進んでいるのが、杉並区の区立施設再編整備計画です。」とお話をして参りました。

 病気の治療に例えて言うならば、その場限りの付け焼刃的な”対処療法”ではなく、問題から目をそらさずにたとえ長い道のりを要すような困難を伴うものであっても、しっかりと腰を据えて取り組みを進めるような”根治治療”とでも言うべきものだと解釈しています。

 

 先月の24日には、総務省 自治財務局から各都道府県公共施設マネジメント関係課と市区町村担当課宛にある事務連絡が発信されました。

それは「公共施設等総合管理計画の策定に当たっての指針(案)の概要について」というものです。

この中では「地方公共団体においては、厳しい財務状況が続く中で、今後、人口減少等により公共施設等の利用需要が変化していくことが予想される事を踏まえ、早急に公共施設等の全体の状況を把握し、長期的な視野を持って、更新・統廃合・長寿命化などを計画的に行うことにより、財政負担を軽減・平準化するとともに、公共施設等の最適な配置を実現する事が必要となっていることから、公共施設等総合管理計画の策定に取り組まれたい。」としています。

 

私は大変驚きました。

 この内容はまさに杉並区立施設再編整備計画そのものであるにも拘らず、国においてもまだ事務連絡レベルであり、その上に案というカッコつきの発信文書が出ているレベルなのです。言い換えると国の正式な指針発表に先んじて当区においてはほぼこの概要に添った形での検討がされていると言う事になるのだと考えます。つまり、国レベルで取り組みが始まったばかりのこの分野においては、当区はトップランナーとして今後は他を牽引していく自治体となって行くと言っても良いでしょう。

 今後はこの質問の冒頭でも例示をしたような「公共施設マネジメント講演会」といったような講演会の開催などを通して、より区民周知と理解を図り、根気強く最終目標値を見据えた行程を踏むことによって次世代にツケを残さない、健全な自治体運営が図られることを願っております。

そして今後議論が深まることにより、区内各地域で個別具体的に寄せられる疑問やご意見を把握しながら、これらをくみ取りより良い区政へと反映させていく事を要望しまして質問を終わります。