ZZR1400GTR's Tagebuch(日記)

主に独逸・墺太利・瑞西・南チロルの欧州事情を発信。

インジェクション考

2010-09-20 16:23:01 | ZZR1400

これは、ZX-10R のインジェクション周りです。大型のアルミの多孔板にその全体をタコの足のように伸ばして留めてあった物の一部です。これを見ていて次の様なことを考えました。 

1) インジェクションを使える 2) インジェクションを調節できる
3) インジェクションを直せる 4) インジェクションを造れる

私たちは、1) を日常的にしています。キャブ車を運転している人はもうなかなかいないでしょうし、バイクでもインジェクション仕様が普通になってきています。このボードは、2)~3) を実現するための講習用です。しかし、3) により重きを置いています。なぜなら、販売店向けの技術講習ですから、3) が重要なのです。

こういった物を直す時には、バイク側に 「診断装置」 を接続するためのコネクター口のような物があって専用のテスターをつなげるわけです。今やバイク単体でさえ、各種のセンサーが油温、水温、ノッキング、排気、なんかを監視しながら ECU が瞬時に演算して 「最適だ」 と思われる燃調で混合気を噴射していくのですが、それは「効率」 を追求してゆく為の技術革新でした。

でも効率ばかりを追求していくと、 「余裕」 が消えていくのも事実です。「余裕の無いエンジン」 って、若い時の月給日前に 「オケラ」 になった時の様な 「ひもじさ」 と似たり寄ったりと言ったら突飛でしょうか?「バイクに乗る楽しみ」 「バイクを転がす幸せ」 って、本来は実用的なものとは無縁の筈。そんな 「娯楽」 に 「効率」 を追求するっていうのは、「矛盾」 しないんでしょうか?

私は、GPZ900R のキャブのフィールが好きです。効率とは無縁だけれども、あんな900cc に満たないエンジンで時速 250 キロ以上も出るバイクです。その加速感は 500 cc も大きな排気量の ZZR1400 に較べたら、馬力で約60馬力も低く、トルクも半分ちょっと、そして燃費は100km あたりで 2L も悪い、でもその 2L のガソリンがより小さい燃焼室にばら撒かれて、一気に点火されている事実、それが 「余裕」 の正体な感じがします。