『現代強健法の真髄』(大津復活:著、大同館書店:1918年刊)という本をご紹介しています。今回は第2回目です。
◆志都乃石室(しづのいわや)
『志都乃石室』の著者である平田篤胤(ひらたあつたね)翁は、有名な国学者であり、超常現象の研究家としても知られていますが、呼吸法にも詳しかったようです。
彼によると、「臍下(へそした)へ氣を練り畳む」ことが古来より無病長寿の秘訣とされているそうで、その最も簡単な方法として、父親から教わった次のような呼吸法を紹介しています。
1.寝床で仰向けになって、両足をそろえて強く踏みのばし、総身(そうみ)の元気をへそのあたりから気海丹田の穴、および腰脚足の心(うら)まで充たし、
2.妄想を捨て、呼吸を百まで数える
3.その後、全身の力を緩めて休む
4.以上を1セットとし、毎晩4~5セット行なう
なお、1の「気海丹田の穴」とは経絡のツボのことです。ちなみに、気海のツボは、へその下、指2本分くらいのところにあるようですが、詳しいことは鍼灸の先生にお尋ねください。
篤胤翁の父親は元来病弱だったそうですが、30歳を過ぎてから熱心にこの呼吸法を実践して病気と縁を切り、84歳まで生きたそうです。これは、江戸時代の人にしてはかなり長寿だったのではないでしょうか?
また、父親の下腹は張っていて、コツコツと音がするように固かったそうですが、これは、以前このブログの「呼吸法について」でご紹介した黒住教の黒住宗忠教祖の言葉、
「御陽氣を吸ふて下腹をはり、日々怠らず年月を重ぬる時は、臍下(せいか)氣海丹田、金石の如く堅くなる。」
と一致するもので、とても興味深いですね。
次回は、白隠禅師の『夜船閑話』(やせんかんわ)のお話です。
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