心で病気を治すというと、そんな馬鹿なと思われる方もおられるでしょうが、暗示療法は古くから知られていたようですし、現代では、笑いが免疫力を高めることが知られているそうです。
なぜ笑いが免疫力を高めるのかというと、がん細胞を殺す免疫細胞(ナチュラルキラー細胞)の働きが、笑うことによって大幅に活性化されるからだそうです。
また、『笑いの免疫学』(船瀬俊介:著、花伝社:2006年刊)という本も出版されていますが、この本は、現在がんで治療中の方には特に参考になると思います。
ところで、心で病気を治した人は、寺山心一翁さん以外にもいるようです。
皆さんは、黒住教という宗教をご存知でしょうか?
黒住教は、江戸時代末期に誕生した宗教で、黒住宗忠(くろずみむねただ)さんという人が教祖です。
この人は、1780年の冬至の日に今の岡山県に生まれ、幼い頃からとても親孝行だったそうです。
しかし、33歳のときにご両親が流行病(はやりやまい)のために相次いで亡くなり、悲歎に暮れた結果、胸の病(肺結核?)を患い、瀕死の状態に陥ってしまったそうです。
そして、死を覚悟したときに、自分が病気になったのは両親の死を嘆き悲しんだからで、心さえ陽気になれば一転して病気は治るはずだということに気がつき、ついに心で病気を治したそうです。
また、病気が癒えていく中で、1814年の冬至の日に天照太神(あまてらすおおみかみ)と一体になる神秘体験を経験し、このとき、人間は元来永遠に「生き通し」であり、生死から自由な存在であることを自覚したそうです。
そして、この恵みを一人でも多くの人に伝えなければならないという使命感から教えを説き始めたそうですが、同時に病気を治す力を身につけ、瀕死の重病人が即座に治るという奇跡が立て続けに起こったそうです。
また、笑いの効果にも気がついていたようで、ある病人に、陰気になってはお蔭は受けられないから、笑う修行をするようにさとしたそうで、病人がニコニコ笑うようになってから家の中が明るくなり、病人も全快したという話が伝わっているそうです。
しかし、教祖にとっては病気を治すことが目的ではなく、それをきっかけに「誠の道」に入らせることの方を重視したそうです。
「誠の道」というのは、歓びと楽しみに満ちた「神(かん)ながらの道」であり、教祖はその様子を「天照らす神のみ心人ごころひとつになれば生き通しなり」と歌にしています。
どうやったら「誠の道」に入れるかというと、我欲や分別を払って心を無にすることが大事だそうで、やはり黒住教でも心のあり方を重視しています。
なお、神とともに生きた黒住宗忠さんは、死後、朝廷から「宗忠大明神」の神号を賜り、名実ともに神となって「宗忠神社」に祀られているそうです。
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