『食ひ改めよ -無病健康法-』(久留弘三:著、体行会:1937年刊)という本をご紹介しています。今回は第3回目です。
◆何をどのように食べるべきか
この本には、何を食べるべきか、どのように食べるべきかということについて、含蓄のある話が多いのですが、それをそのままご紹介するとやや冗長になってしまうので、著者の久留弘三氏の主張をできるだけ簡潔にまとめてみました。
1.動物は、すべてその歯牙の形状によって食べ物が規定されていて、人間は明らかに雑食動物であるが、雑食の割合も歯牙の数によって定められている。
2.人間の歯は上下全部で32本あるが、前方の上下8本は草食用、糸切り歯4本は肉食用、残りの奥歯20本は臼歯で穀食用であるから、人間は穀食を主とすべきである。
3.穀類には、人体を害する成分は絶対にない。その穀類の中でも、米が最も適食である。それ故に、米を特に正穀とよび、麦、粟、黍(きび)、稗(ひえ)類を雑穀というのである。
4.玄米の外皮には、タンパク質、脂肪、ビタミン、そして最も大切な無機塩類が含まれている。
5.ところが、この大切な部分を糠(ぬか)にして捨て、単にデンプン質だけを喜んで食しているのが今日の日本人である。白米という字を横に並べると粕(かす)という字になるのも面白い。
6.副食物は、常に「ナトリウム」よりも「カリウム」をやや勝たせるように工夫すればよい。
つまり、久留氏の主張は、正穀である米を、玄米の状態で食べなさいということです。その理由を、歯の形状から解き明かすというのは、とても分かりやすいですね。
なお、6については、修練を積むうちに追々分かってくると書かれているので、最初は栄養成分表を参考にする必要がありそうですが、カリウムは野菜に多く含まれているので、野菜を多めに食べるようにすれば、それほど神経質にならなくてもよいのかもしれません。
また、久留氏は、西洋栄養学者のいう栄養分とか滋養分とかいうもの(カロリーのこと)に迷わされてはならないと忠告しています。
そして、その証拠として、もし西洋の栄養学が正しければ、毎日美食の富豪は健康・長寿で、粗食の貧乏人は病弱・早死にとなるはずだが、逆の現象を見ることが多いことを指摘しています。
さらに、栄養学の欠点は、すべてをあまりに機械的、画一的に見たり、すでに死んでいるものを試験管に入れたり、小動物での試験結果を直ちに人間にそのまま適用しようとするところにある、となかなか鋭い指摘をしています。
確かに、戦後は西洋の栄養学に従って日本人の食生活が大いに改善されたはずですが、現代人はがんや糖尿病の増加に悩まされています。今こそ、日本古来の食事法に回帰すべきときなのかもしれませんね。
次回は、肉食の害と砂糖の毒についてのお話です。
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