食品には、がんを抑制する様々な因子が含まれていて、抗酸化、抗炎症、免疫活性増強、アポトーシス(細胞死)誘導、細胞分化誘導、細胞増殖抑制などの働きがあるそうです。
このうち、最近特に注目されているのが食品の抗酸化力です。
これはどういうことかというと、体内で過剰に発生した活性酸素などの酸化力の強い物質は、DNAやがん抑制タンパク質を傷つけ、がんを引き起こす原因となるからだそうです。
これを防ぐためには、活性酸素などの発生源となる物質(食品添加物、残留農薬、家畜の残留抗生物質、環境汚染物質など)を摂取しないようにするとともに、抗酸化力を高める食品を摂取することが重要なのです。
抗酸化力を高める食品には、緑黄色野菜、みかんなどの柑橘類、生姜類などがあります。
また、良質のタンパク質も、体内で抗酸化物質を合成するために必要不可欠ですが、肉はがんの栄養源であるという堀田先生の説もあるので、タンパク質は魚や大豆製品、ヨーグルトなどから摂取することをお薦めします。
抗酸化力を発揮する成分のうち、食品として摂取できるものには、ビタミンA(β-カロテン)、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンE、グルタチオン、フラボノイド類、カテキン、クルクミン、キサントフィルなどがあります。
しかし、こういった抗酸化成分も、過剰に摂取するのは注意が必要です。
なぜなら、抗酸化物質は、活性酸素などを無毒化すると自分自身が酸化力の強い化学物質に変わるため、その酸化作用によって、逆にがんを引き起こす原因となるからです。
例えば、2006年に放送された放送大学の「食と健康」(第13回)によると、コーヒーに含まれるコーヒー酸(カフェ酸)は、ラットを用いた長期投与試験で胃がんを誘発することが明らかになっているそうです。
また、緑茶に含まれるカテキンは、ラットを用いた大量投与試験で大腸がんを誘発することが明らかになっているそうです。
さらに、甘夏みかんの皮などに含まれるオーラプテンは、ラットを用いた投与試験で肝臓がんを誘発することが明らかになっているそうです。
そして意外なことに、緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンは、ヒト介入試験で肺がんのリスクが増大することが明らかになっているそうです。
したがって、こういった抗酸化物質をサプリメントとして大量に摂取することは危険であり、できるだけ自然な形で摂取するように心掛けましょう。
頑張って下さい。