今回は、長年がんの薬草療法を研究した医師が書いた『半枝蓮等の生薬は癌に良く効く』(芳沢正隆:著、癌薬研究所:1986年刊)という本をご紹介します。
この本は、66ページしかないのですが、各種のがんに有効な生薬を網羅してあるので、専門家が薬草療法を行なう上でも非常に参考になる貴重な資料だと思われます。
著者の芳沢正隆氏は、1942年から1970年の28年間にわたり台湾をはじめ中国各地をまわって、いわゆる家伝秘方と称される漢方処方と生薬を探索収集し、5つの処方にまとめ上げたのですが、それなりに治療効果はあるものの作用が緩慢だったそうです。
そこで、消炎・鎮痛・解毒・殺菌・排膿等の作用を有する「半枝蓮」(和名:ヤンバルナミキソウ)と「白花蛇舌草」(和名:フタバムグラ)に眼を付け、1969年にがん治療に併用してみたそうです。
治療を受けたのは台湾に住む38歳の家庭の主婦で、左側の乳がんを患い、一時は遺書を残したほど悪化していたそうですが、服薬後、がんは一時腫大したものの、その後がん細胞は破壊されて縮小し、服薬1か月で家庭内の仕事ができるようになったそうです。(今も健在と書かれています)
芳沢氏は、その後も様々ながん患者の治療を行ない、半枝蓮の効力が最も良く、白花蛇舌草がこれに次ぐことを確認しました。
そして、半枝蓮、白花蛇舌草、ハトムギ、スイカヅラ花、甘草、サルトリイバラ、山馬茶、サカキカヅラの8つの薬草を使った新処方にたどり着いたそうです。(乾燥品の1日量は、甘草以外は各12g、甘草のみ8g)
使い方は、上記8種類の乾燥生薬を水約450ccに入れ、約150ccになるまで煎じつめて、温かいうちに服用します。(朝1回煎じたら、同日の薬を夕方更に煎じて朝夕2回飲む)
また、重症がんや肉腫・リンパ腫にはメシマコブやコフキサルノコシカケとの併用がよいそうです。
なお、もし個人でこの処方を試す場合は、生薬は一般的に金気(かなけ)を嫌うので、煎じる際には土瓶を使うようにしてください。
これによって、早期がんや手術後の早期転移がんでは、服薬1か月ないし1か月半位で患者は日常生活ができるほど回復し得るものの、2~3年の中期がんや3年以上の長期がんは治癒効果が遅く、延命効果も早期がんほどは良くないそうです。
これは私の見解ですが、やはり治療効果を上げるためには、薬草だけに頼らず、本ブログの「癌はこれで治る」でご紹介したがん治療の五原則を同時に実行するのが最善だと思います。
他に役立ちそうな情報として、がんや肉腫を予防するには、マツタケ・ナメコ・エノキタケ・シイタケ等の常食が有効であると思われるそうです。
台湾では、芳沢氏の尽力に加え、この薬草療法で治ったがん患者たちの宣伝活動によって、半枝蓮が一般社会で高く評価されるようになり、かつて「死症」と言われたがんも、今(1985年)では恐れられていないという状況になったそうです。
最後に余談ですが、本ブログの「1-2.デザイナーフーズ計画」でご紹介した、がん予防効果が認められた食品の図において、ニンニク、キャベツに次いで3番目にカンゾウとありますが、これは鹹草と書く植物で、明日葉(あしたば)を意味することがこの本を読んで分かりました。
芳沢氏によると、明日葉はがん治療に併用され、がん予防にも賞用されるそうなので、大いに利用したいものですね。