アメリカ国立がん研究所(NCI)の統計を見ると、肺がん死亡率(人口10万人あたりの年齢調整死亡率)は、黒人の場合、1991年からはっきりと減少に転じていますし、白人も1991年から増加傾向が止まり、1996年からは減少に転じています。
この肺がん死亡率減少の原因については、喫煙率の低下が有力なようで、これは男女の死亡率の違いをみると明らかになります。
次の図は、アメリカがん協会(American Cancer Society)が発表した、アメリカ人男女の肺がん死亡率のグラフです。
これを見ると、男性は1990年ごろから死亡率が減少し始めていますが、女性は増加傾向が続き、2003年時点でやっと横ばい状態です。
一方、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の発表によると、アメリカ人男性の喫煙率は、1950年代半ばに最も高く、約57%だったそうですが、その後次第に低下して1990年には約30%になり、現在では約23%だそうです。
また、アメリカ人女性の喫煙率は、1960年代から70年代にかけて最も高く、30%から35%の間だったそうですが、現在では約18%だそうです。
つまり、男性の喫煙率の方が女性より20年ほど早く低下し始めたため、男性の肺がん死亡率の方が先に低下し始めたと考えられるわけです。