前日の東寺を写経のために再訪した。前日に比べて時間が早いから?蓮の花が迎えてくれた。始めての写経に臨む私達をそっと見守ってくれているような、そんな気が少しした。
写経の手順を口頭で受けて着席、頭の中で復唱しながら取り掛かった。30~40席程が準備されていて、その中若い女性がひとり取り組まれていた。
始めの数行はかなり緊張して丁寧に書いていたが、使い慣れない筆ペン、この調子では肩が凝ってしまって最後まで続かないと思った。次第に上手に書こうとは思わず、腕の力を抜いてテンポを上げて書き始めた。頭の中がいくらかすっきり、そうするうちに、外からお堂の中に入る風が気持ち良く思えてきた。外で鳴いている蝉の声も聞こえてきた。
途中で気がついたとおり、隣で書いている娘よりもかなり早くに書き終えてしまった。最後のお願いごとの書き方、どう書けば良いのだろう、と思いながらも、邪魔をしてはいけないと思い、思ったままに無言で。
手持ち無沙汰になったので"こちらはお持ち帰りください"と説明されていた封筒を静かに開けてみた。すると、ごあいさつ、心構え、般若心経、写経のてびきが書かれていた。がーん。迷ったお願いの書き方も詳しくあった。
若い人ならともかく・・・あらあら。知らずにもう書いちゃった。仕方ないので、娘には小声で伝えた。私の失敗は、祈りの気持ちだけでお許しいただけることを願うことに。
ごあいさつ にこうあった。
夢中で書き進まれるうち、心が安らかになっているご自分に気づかれることと思います。
合掌