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夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

沢木冬吾著「約束の森」 角川文庫

2015-04-10 15:53:00 | 本と雑誌
約束の森 (角川文庫)
沢木 冬吾
KADOKAWA/角川書店



ー奇跡の犬 マクナイトだ。

物語 ラストのこの文に尽きます

人間はどうだっていい(笑) この犬が生きていたならー



奥野侑也は警視庁公安部の刑事だったが 不祥事を起こしー今は家賃を半年滞納するありさま

かつて奥野の妻の冬子は妊娠中に殺された
死体は見つかっていないがー大量の血痕

犯人は見つかっていない

時効を迎えても

ならば!奥野は自身が犯人に制裁を加えようと思った
その犯人を特定する為の資料を買おうとした たとえ不正な手段でも


そして職を失った


かつての上司からの紹介で現れた男は 奥野に協力をーと言う 
奥野は犬を扱える

奥野に住んで 働いてもらいたい場所には犬がいた ドーベルマン いい扱いは受けていない犬だ
名前はマクナイトと言う


ある組織をつる為の娘ふみ
ふみの護衛の若者の隼人

そして奥野は家族と偽り同居することとなる


奥野に仕事を依頼した公安第一課極左集団捜査担当の緒方

隼人を使う警視庁公安部長補佐の神之浦管理官

また別口の刑事の入江と西和田


誰が本当のことを言っているのかー


父親を知らず学校にも行ったことがない娘ふみ

自分たちが楽な暮らしをしたい為 子供を殺しては保険金をとっていた両親持つ隼人

他に家族がいない孤独な人間達ー奥野・隼人・ふみは次第に心を通わせるようになる

最初は奥野も信じなかったマクナイトだが その優秀な資質を見せてくる


マクナイトは幾度となく人間達を守る

奥野に近づく丹野と名乗る男は ふみを守ることを奥野に頼む


最初はマクナイトをさらっては闘犬に使おうのするチンピラ・グループに加わっていた赤城は マクナイトと奥野の訓練する様子に自分も犬を育てようとするようになる


妊娠していたふみ

ふみを守ろうとする男達


ふみの孤独な生い立ちを知り 勉強も教えてくれるようになる奥野とふみの雇主とその盟友
彼等は弱みを公安に握られ 所有する建物を利用されてもいた


モーターモウテル光芒のオーナー仙波治子と支配人の井辺恵造
彼等はふみを守ると決めた


敵の襲撃


ついにマクナイトも撃たれ
奥野も撃たれて負傷しぼろぼろ状態で 冬子を殺した人間の話を聞く

同居生活と戦いの中で 心の成長もする隼人
そして赤城


それぞれができる覚悟を決めて




救いは公安の人間でも緒方は悪い人間ではなかったこと
丹野が奥野やふみのことを守っていたこと


でなければ 全員殺されるとか 罪を問われるーとか 後味悪い終わり方になっていたと思う





仙波治子の遺書 治子にはふみが孫娘のように思えたのかもしれない
井辺もまた


退院する奥野をふみと隼人が待っていた
赤城も


奇跡の犬マクナイトも





優秀な犬でありながらマクナイトは警察犬にも警備犬にもなれなかった
それは訓練では人間を襲撃できなかったから

人間が本気かどうか見分けるこの犬は 訓練では人間を攻撃できなかったのだ

しかし相手が敵であり殺意を持ってくるならばー
大切な人間を守るためならー


マクナイトはまた襲撃がある時に 予感も覚えるらしいのだ






犬が出てくる物語としては乃南アサ著「凍える牙」も飼い主への悲愴なまでの忠実さとその並外れた賢さーまた最期のありようも深く心に残る

宮部みゆきの元警察犬マサ・シリーズ「パーフエクト・ブルー」「心とろかすような」もある


マクナイトは肩を並べる素晴らしい犬だ


犬が大好きな方
読んで下さい

読後感も良い本ですから

おすすめです!


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6 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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今晩は (oyajisann)
2015-04-10 20:14:22
「凍える牙」は読みごたえありましたね。
今回思わず買おうかななんて購買意欲
を誘う、素晴らしい解説ですね
返信する
こんばんは oyajisann 様 (夢見)
2015-04-10 20:56:25
有難うございます 

「凍える牙」はNHK と民放と 幾度かドラマ化もされていてー音道貴子を主人公とするシリーズの中でも出色の出来だと思います 

あの犬の心のありようを思うと 人間がつまらない生き物に思えてきます 
 
「約束の森」は 犬以外でも どんちゃんという名前の鳥が面白いです 
解説の方も書かれておりますが 
どんちゃんは「隠密同心心得の条」が言えるのです 
ー死して屍 拾う者なしー 
また歌も歌います 

もしも覚えておられて書店で出逢えたらーお読みになって下さい 
敵が襲ってきてからの展開は 本を閉じることが出来ません 
出てくる場面は少ないですが 光茫のオーナー女性と支配人の心意気がまたいいんです
返信する
素晴らしい~ (alpstakibe)
2015-04-10 23:17:43
読みたい気にさせてくれる解説ですね~
ブックオフの100円じゃなくて、ちゃんと買ってみようかな~
返信する
alpstakibe様 有難うございます (夢見)
2015-04-11 00:45:21
こんばんは

単行本を別として
文庫本としてはー平成26年7月25日初版発行
平成27年3月20日にには8版発行と版を重ねています

じわじわーと読者がひろがっている
こうした売れ方をする本は 強いー

そんなふうにも感じます

他の作品も もっと読んでみたいなーとも思った作家さんでした

返信する
読んでいただけたんですね。 (ねこママ)
2015-04-11 22:24:11
「約束の森」、読まれたんですね。
私も読んで、なんかコメントか何かに描いたような・・・・
いいですよね~~

マクナイト、ドーベルマンなんですが、とっても愛らしく感じるんです。
読んだ後も、なんかじわ~としますよね。

「凍える牙」「パーフェクト・ブルー」も読みましたよ~~
犬好きですから!!
返信する
こんばんは♪ねこママ様 (夢見)
2015-04-11 22:57:34
有難うございます! この本 以前コメントでねこママ様に教えて頂いたんです 
とってもいいからと 特に出てくるドーベルマンが! 

それから探してー「償いの椅子」と「約束の森」と沢木冬吾作品を2冊 見つけることが出来ました 

良かったです! 有難うございます(*^-^*) 
映画からの名前マクナイトー
観たことがある映画でしたので ニヤニヤしてしまいました 

特に「凍える牙」は 犬が出てくる小説の中でも心に残り度が一二を争います

宮部みゆきさんのマサもいいですけれど 

家庭犬マクナイトとして これからは幸せに暮らしてほしいです 
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