夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

荻原浩著「海の見える理髪店」 (集英社)

2016-09-05 21:13:21 | 本と雑誌
海の見える理髪店
荻原 浩
集英社



「海の見える理髪店」
大物俳優が利用していた店として話題となった理髪店 それは海岸通りから斜面を少し登ったところにある
店主は客の姿が写る鏡に海が映るように置く位置を工夫したのだと言う

予約をとってきた客の仕事はグラフィックデザイナー
客のつむじを触った店主は溜息をついた

客の髪を切りながら 床屋としての仕事をしながら店主は自分の過去を話し続ける

店主は客が誰なのか知っていたし 客も店主が誰なのか知っていた

店主は その客に自分のことを聞かせたかった

客もまたある思いから この店に来ている

客は店主にとって とても大切な気がかりな人間であった

店主は最後に言う
「あの、お顔を見せていただけませんか もう一度だけ いえ 前髪の整え具合が気になりますもので」

ずうっととっておいた子供用のブランコー




「いつか来た道」
弟から母親の話を聞いて戻ってきた長い事 家を離れていた娘
娘と母親の間はうまくいかなかった
母親は余りに個性的 エキセントリックすぎて こうあってほしいと願う母親の枠には納まらない人だった

ひまわり 
それでも母親の好きな桃を買ってきた娘
老いて 認知症にかかっている母親

そんな母親に「また 来るから」と言えた娘

長い時間がかかったけれど・・・・・




「遠くから来た手紙」
子供はできたけれど夫への不満が爆発してしまった女は実家に戻る よくやって来る夫の母親への不満もある
いっぱいの不満

でも実家の自分のものだった部屋は弟とその妻が使っている

祖母も入っている仏壇のある部屋に寝泊まりする女

その携帯に古風な文面のメールが届く

実家に置いていた結婚する前に夫とかわした手紙
女にとって夫は初恋の相手だった

交際の始め 再会して付き合うようになりー

好きだった気持ち


女は古風な文面のメールの意味に気付く




「空は今日もスカイ」
父親が死んで片親 しかし身を寄せた場所は居心地が良くなくてー
少女は家出を決行する
途中で親から虐待されてる少年と道連れになり一緒に海へ


ホームレスらしき男性が二人に食事を出し泊めてくれる


その男性は初めて二人のことを案じてくれた大人だったかもしれない
けれど警察は誤解してー

淡々と描かれているけれど 幾つもの問題を含んだ物語

今後 親に虐げられている少年は保護を受けることができるのか

少女は現実を受け止めて生きていけるのか




「時のない時計」
父の持っていた時計を修理に持っていた時計店の主人の店に置いた時計にまつわる想い出

男は父のことを思う 

男も悩みを抱えていた
今後について

それなりの答えを男は見出す


「成人式」

15才で死んだ娘 交通事故
父親は悔やまれてしかたない

母親は死んだ娘に届いた成人式の呉服の案内に心乱れる

繰り返し観る生前の娘の映像

妻の心を落ち着かせようと夫はあることを言い出す

娘の出るはずだった成人式に出よう
娘の代わりに


おかしな奴と笑われてもいいー

準備をして 娘の同級生の力も借りて成人式の会場へ








喪われたものは 時間は取り戻せない

でも痛みをかかえながら生きることはできる


いつか いつか 生きていたら 生き続けていたら

少しは いいことだってあるかもしれない


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (けん)
2016-09-06 01:48:31
俺は「成人式」が一番好きでした。
実際もし自分だったらそんな勇気は出ないと思うけど。
荻原浩の文章って柔らかくて好きです。
俺もこのお店で髪を切ってもらいたいな~(照
けん様 有難うございます (夢見)
2016-09-06 09:43:32
やっと 読みました

病院の待ち時間は読書がはかどります

萩原浩さんの作品は 座敷童子が出て来る・・・後に映画化もされた「いとしの座敷わらし」 これがいい物語だなと思って その前後から書店で見かけると手に取るようになりました

「成人式」
亡くなった娘の同級生たちが また優しくて明るくてー物語の救いにもなっていたなと


「海の見える理髪店」は
店主が人を殺したことがあるーこのあたりの展開もどきり!ドキドキ・・・・・
こちらは座って無防備に喉をさらしている
相手は刃物を持っている
も相手のなすがままー状態^^;

うまい展開だなって思いました

仕事が丁寧な床屋さんって嬉しいですもの^^
書評投稿サイト・本が好き!のご案内 (本が好き!運営担当)
2016-09-06 15:28:18
突然のコメント、失礼いたします。
書評コミュニティサイト「本が好き!」を運営しております、和氣と申します。

今回レビューを拝読し、ぜひ本が好き!にも書評を投稿していただきたいと思いコメントいたしました。

本が好き!URL: http://www.honzuki.jp/

本が好き!では、書評(レビュー)をサイトに投稿していただくと本がもらえる、献本サービスを行なっております。

ご自身の書評サイトと併用で利用されている方も多いです。
(弊サイトの書評掲載画面に、貴ブログへのリンクを貼ることができます。)

よろしければ一度サイトをご覧いただけますと幸いです。

不明な点などありましたらお気軽にご連絡ください。(info@honzuki.jp)

どうぞよろしくお願いいたします。
本が好き!運営担当様へ (夢見)
2016-09-06 20:20:22
コメント並びに御案内及びお誘いを有難うございます

お言葉に甘えてサイトを拝見してまいりました
とても賑わっておられて素晴らしいサイトだと思います

時々覗かせて頂こうとパソコンのお気に入りに加えさせていただきました


ただ私 読んだ本や観た映画の備忘録的に書いているブログです
身内のお笑いネタなども書いております
ゆえにブログのタイトルを「本と映画と雑談室」と致しております

書評などとてもそんなおこがましいものは書ける人間ではありません
こんな本を読んだよ ただただ それだけを時にネタバレになりつつ書いております

お誘いはとても嬉しかったです
心からお礼申し上げます
有難うございました
連作短編の妙味 (まっき~)
2016-09-06 22:19:55
芥川の『コンビニ人間』も面白かったですが、読ませるのはこっちかな。
すぐに映画化の話をするのもどうかと思いますけど、これは映像化にも適しているのではないかしら。
まっき~様 こんばんは (夢見)
2016-09-07 00:41:51
有難うございます

「コンビニ人間」はまだ未読ですが あらすじが面白そうだなーって思いました

生きることに不器用な人間 多いだろうと思いますし

「海の見える理髪店」客として登場する人間の周囲から創作してちょっと肉付けというか描写をふやしてー理髪店へ向かう前の部分とかの日常場面など

それから母親との暮らしとかの回想も入れながら 列車からの景色 バスから見える海とか 街を歩く人々の姿を入れて

タイトル入れて

客を迎えようと準備する理髪店の店主の様子など映し

バスを降りて店に向かう客の歩いて行く姿

高台にある理髪店が見えてきてー店の戸を開けるとー
鏡に映った海が見える

店主の語りの部分に重ねるように過去の場面が出て


ああ なんだか映画の構成を考えてしまいます^^;
今回の芥川賞が凄い! (活字中毒)
2016-09-09 12:45:58
こんにちは。お久しぶり。
ミステリーだけじゃなく、こういうのも読むんですね。
でも、夢見さんだったら、『コンビニ人間』のほうがゾクッとくるんじゃないかな。
めずらしく、村上龍氏も絶賛の芥川賞作。
そろそろぼくもブログを再開したい気分なんですけど、最近は神戸新聞社に送る原稿を書いているので、その暇がないんです。
名前と作品名は掲載されているんですけど、なかなか入選できないので、我ながら歯痒いです。
いらっしゃいませ~~^^活字中毒様♪ (夢見)
2016-09-09 13:44:36
有難うございます

本当にお久しぶりです

作品を書かれているのですね!

成果がでますように!祈っております♪

「コンビニ人間」ひかれつつー基本天邪鬼で受賞作品って 受賞する前に読んでいるとか 日頃から読んでいる作家さんなら 遅れてでも読むのですがー

おかしなとことろで作家みしりーしております


勇気が出たら買ってみますね

コメありがっと

お元気な様子で嬉しい^^です

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