夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

吉永南央〈よしなが なお〉著「薔薇色に染まる頃」〈文春文庫〉

2024-03-06 21:11:49 | 本と雑誌

 

珈琲豆と和食器の店「小蔵屋」の店主の杉浦草〈すぎうら そう〉は若い時の離婚で別れた夫の方で育てられた男の子が・・・まだ幼い時に死んでしまった

その子の面影をずうっと追っている 心の底に置いている

人は誰しも「もしも」 そういう思いを抱いて生きるものだから

たとえ幾つになろうとも

器のことだけ商売のことだけ 考えて生きていけるわけでもない

だから人は期せずして厄介ごとにも巻き込まれる

いろんなものを背負ってしまう

 

ある品を受け取りに出かけた先で・・・気にかけていた若者ユージンが死んだと教えられる

堅気ではない父親を持ちどうにか生き抜いていたらしいユージン

草はユージンから もしも自分が死んだ時には・・・と 頼まれていた事があった

隠し場所からその品をどうにか届け新幹線で京都に向かう途中 その車内で女性から 連れの男の子を頼まれる

その女性は男たちに追われていて 駅で血を流し倒れた

草は男の子を守る逃避行を始める

幾人かの力を借りて なんとか男の子を守り抜くが・・・・・・

 

草を助けてくれる面々も心強い

酷い父親を持ってしまった子供たちの逃避行

 

そして男の子を迎えに現れたのは・・・・・

 

どうやって逃げるか・・・ってハラハラしながら読み急いでしまいます

 

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松嶋智左〈まつしま ちさ〉著 「巡査たちに敬礼を」〈新潮文庫〉

2024-03-06 11:31:18 | 本と雑誌

 

 

御津雲〈みつくも〉署を舞台に描かれる連作短編集

「障り」で少女だった淳奈が最後の「署長官舎」では交際中の男性が存在し結婚を考えるまでとなっています

 

「障り」

槙田水穂 5年目になる交通総務係の係長

御津雲署では監察が来ると大騒ぎに

監察の一人は水穂と同じ「槙田」姓の女性・結衣だった・・・・・

いまも娘の淳奈のことを考えて別れた夫の姓をそのまま名乗っているが

離婚した夫は 若い女性と結婚 それが結衣

 

やがて水穂は自分こそが調べる対象であったのだと知る

 

 

「罅」

レッカー移動取り締まり中に 警官が気づいた「ある異常」

その車を取り戻したかった「ある理由」

誰かを助けるために警官がとった行動は・・・・・

 

 

「拝命」

警察学校の生徒たちが遭遇した事件

自分たちにできることを・・・・・

生徒たちを温かく見守る指導者たち

 

「南天」

交通事故はよく起きる

その被害者たちに毎回寄り添いすぎては警察官といえど身が持たないだろう

それでも同じ人間なのだ

気遣う心が失われてはならない

 

 

「穴」

上司の不正に気づいてしまった内野実咲

慣例だからなどと見逃してよいものか もやもやしたものを抱えていたが

彼女は自分が信じる正義の為にできることをやる決意

 

「署長官舎」

署長の入れ替わりに際して 署長官舎の掃除をすることとなった総務課総務係の丸野篤史巡査長

ところがそこで人骨らしきものが見つかって

署長の五明には連絡が取れず

総務係長の見城昌夫警部補に指示されるまま 五明が現れそうな場所を探すことになる

御津雲署署長に代々伝えられてきた人骨

これを五明は明らかにして 終わらせようとしていた

 

そしてまた丸野にも知っていてほしかった

彼が見どころある警察官であるゆえに

 

交際中の女性のことで迷っていた丸野

 

そして御津雲署は四月から新しい署長を迎えることになる

 

 

 

解説は作家のあさのあつこさん

この解説は こう結ばれています

ーそう、「巡査たちに敬礼を」は、ジャンルとは無縁の人間ドラマなのだ。

人間だけが生み出せるドラマがここにある。

だからこそ、人の心に届くのではないだろうか。

いつかまた、御津雲署の新たな面々と出逢えることを、心から楽しみに待ちたいー

 

 

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