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夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

京極夏彦著「オジいサン」 (角川文庫)

2020-09-07 20:05:17 | 本と雑誌
解説が作家の宮部みゆきさん
この解説だけでも楽しくて ちょっと得した気分です


益子徳一はずうっと独身 当然ひとり暮らしの七十代

世の変化についていけず 足腰はしゃんとしているつもりだが 若い頃のように機敏には動けない

小学生になったかならないかの子供が益子が公園のベンチに葉書を忘れていることへの注意を喚起しようと
「オジいサン」と呼びかけて来た

その「オジいサン」と言われたのがいつだったか 早朝目覚め考える益子

独身だったから孫はいない
そんなふうに「オジいサン」と呼ばれたことはなかった

どうやら益子は男の子の「オジいサン」という言い方が気に入ったのだ

益子の一週間の物語

賑やかでけたたましく噂好きの女性に辟易としたり
夜逃げかもと噂されていた隣人が思い出への旅をしていたことに ほっとしたり


ケイタイとは何ぞやーと考えたり

そしてテレビが映らなくなるから買い換えをと声かける電気店の二代目に対し思うあれこれ


この電気店の二代目がとてもいい
町内に老人の一人暮らしが多いから 電球を交換したりリモコンの電池も換えに出向く

益子に嫌味を言われてもめげない






親切なのに商売下手で無器用なーまだ独身の電気店の二代目

その熱意にとうとう益子も「一台もらう」と



ある日 唐突に益子の家に来た電気店の二代目は言う
父親も死んで自分には近い身内がいない
自分の子供の頃も知るのは益子さん

今度結婚が決まったので 親かわりに式に出てほしいのだと


ずうっと独りで生きて来た益子

その益子の人間を先代の電気店の親父は認めていた
そして息子も


これから益子さんの生活は 少しだけ賑やかになるのかもしれない