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夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「桜守人」―死神シリーズ―

2008-04-12 22:40:27 | 自作の小説

桜の花びらが川沿いの小道に絨毯のようにびっしりと落ちていた
夜の間に散ったものか まだ誰にも踏まれていない
この辺りに住む人が散歩に よく利用する道だった

桜 さくら 時期(とき)が来たら迎えに来ると その人は言ったのだ

「充分に生きたと認めたらね」優しい微笑み
あれからどれだけ時間が流れただろうか

さくら桜

かすみかくもか

散り際でさえも桜は美しい

桜の花の下で・・・

不意に声がかかった「元気そうね」

その女性は微笑んだ
五十年前と全く変わっていない
桜色のワンピースを着ていた
長い髪を押さえる服と同じ色のスカーフ

「迎えに来たの?」
見上げるとクスクス笑った

「まだよ 貴女の番はまだ あんまり毎年 桜の頃に姿を見掛けるものだから 」
あの時随分と大人に見えたその女性は こうして見ると随分と若い
「ルール違反だけど教えに来たの
貴女はまだまだ死なないわ
この人生 時間はたっぷりある
私が迎えに来れるのは きっと貴女が忘れた頃
約束したでしょう
だから安心して 生きて
しっかり生き続けるのよ」

五十年前 半世紀前 彼女は一人ぼっちだった
津波に両親がさらわれて
海辺にぽつん 施設では いじめられた

お腹は空く 寒い 寒い
海に行こうと思った
海に行けば お父ちゃんとお母ちゃんが待っている
行くんだ あっちへ行くんだ

夜の海 潮の匂い

浮かぶ丸い月

ざぶざぶ
あの月の所まで行こう

お父ちゃん お母ちゃん
なんで うち一人だけ 置いていったん

お母ちゃん お母ちゃん

会いたいよ

お母ちゃんに会いたいよ!

水は口の中に入ってくる

足は下に届かなくなる
全く急に海が深くなったのだ

そうして海の一部になる

海の中

ごぼごぼ 鼻が痛い 息が苦しい 苦しい 苦しい

くるしい・・・

あんまり苦しくて咳込みながら目を開けると

そこは白い部屋

綺麗な女の人がこちらを見ていた

呆然とする 口がきけなくなる

こんなに綺麗な女性を見るのは 初めてだった

「どうして一人生き残ってしまったか―って思っていたでしょう?」

目を真ん丸にした女の子に その女性は言葉を続ける

「お父さんとお母さんが貴女だけは生きて欲しいと願ったから 大人になって恋して 結婚して 子供を産んで育てて
いっぱい幸せになってほしいと」

「だあれ 」
やっと一言

「死神よ 貴女はまだ死ぬ時間が来ていない
だからこの世に返品する

貴女は私が当番だから 必ず迎えにきてあげる
そうだ オマケしてあげる
内緒よ 特別サービスだから」
そう言って片目を瞑った

「死ぬんだったら いつの季節が良い その季節 貴女の好きな場所に迎えにきてあげる」

女の子は考えた 暫くして顔あげて まっすぐな瞳で言った
「さくら 桜の花が好き」

「じゃあ 桜の花の季節に また会いましょう 頑張って生きるのよ
辛い事があっても自分から死ぬのは駄目よ
楽に死んじゃったらね 死んでからがしんどいの」

あの綺麗なお姉さんに会うんだ
迎えにきてもらうんだ

不思議な事にそれが生きる力になった

生きて働いて 結婚して子供を産んで また働いて 働いて
子供が結婚して それぞれ家庭を持って

あれほど長い時間も年月も 過ぎてしまえば一瞬のこと

そう二度目に死神と会ってからも 随分長い時間が流れた

昔の小さな女の子は もうすっかり年をとって お婆さんになって ある朝倒れた

救急車で運ばれる

酸素吸入 点滴 色々なものが体につけられている
血圧 脈拍 血液中の酸素

呼ばれて部屋にも家族がつめている

もう意識がないから 何もわからない

ふわり体が急に軽くなる

桜の花が咲いている 一際見事に桜が咲いている樹の下に いつの間にか立っていた

「迎えに来たわ 約束したでしょう? 桜の木の下 花の季節が良いと」

桜を従えるかのように美しい死神は微笑んでいた

「本当に頑張ったわね あの小さな小さな女の子が こんなにこんなに頑張って生きてくれたのね」

「だって約束したもの またお姉さんに会いたかったのだもの」

口を開けば 老女の体は少女に戻っていた

「そう・・・では 貴女を桜にしてあげる
これからもずっと気にかける人達を見守っていけるように 」

「できるの?だって わたしはただ生きてきただけ 生きただけ」

「それでも百年だわ これは凄いことだわ
生きて生き続けること その為に人は生まれてくるのだから 」

女の子は嬉しそうに笑った

その頃 病室では

「おばあちゃんが笑ってる」

「ほんとだ いい顔」

臨終

魂が抜け出たあとは儀式が待っている
その為に体が存在する

老女は死に 魂は桜の守り手と存在を変える

決して自分で命を断ってはいけない

それは美人死神と呼ばれる彼女が人であった頃の哀しい記憶

鈴の音は今も耳を離れない

ちり・・・りん・・・
大切な人の死は鈴が教えてくれた

そして人間だった死神は 自分も死んだ

生まれ変わることもできず 人間の魂を狩り
死神であり続ける

美人死神は どんなに愚かしくても 人間が好きなのだった
できる範囲でなら運命をねじ伏せてでも


ちょっと思い出したこと

2008-04-12 15:24:10 | 子供のこと身辺雑記

ちょっと思い出したこと
ちょっと思い出したこと
ちょっと思い出したこと
ちょっと思い出したこと
柿の木の若葉
花が終わった後 はや小さな実がついているサクランボ

梅の実

もうじき開きそうな林檎の花

今夜のおかずの焼きソバ
夕方はバタバタするので早めに作っておいてレンジで温めて出すという・・・ずるさ加減です

とここまでが写真の説明 (笑)

「ごくせん」の再放送を見ていたのですが
亀梨和也さんが歌う 「絆」が場面により挿入されます

で「絆」と言う字を見て思い出したのが その名を持つ店のこと
沖縄出身のゲイさんがママをしている「絆」という店がビルの中にありました

母が知人に紹介され ちょっと面白いので 私を連れていってくれたのです
私が二十歳そこそこの頃に少し年上だった「じゅん」と名乗るママ
「絆」という店はとうになく 今頃どうしておられるかと思います
高校の授業参観で同級生の母親がスナックで働いていて
付き合いの良い母はお客を連れていったりし 知ったお店がかなりありました

まだゲイ・バ―というのではなく たまたま女装した人間がママをしているスナックといった感じのお店でした
小さいけれど居心地が良い

母が体調を壊し 気がつけば 随分 スナックにも行ってません

子供達と行くのはカラオケ屋さんだし

もともと飲まないので 仕事がらみの付き合いでもなければ行く必要もないのですが

その数年の間に知った店も随分閉めました
代わりに増えたのは外国女性を多く置く店です

頑張ってる店も 昼から開けてるカラオケ喫茶として 食べるものにも工夫を凝らしています

人と人の絆

どんな商売でも「絆」は大切なものだと

振り返ってみると どうしているだろう
そう思う人間は 随分といるものです


予定外の買い忘れ品・・;

2008-04-12 14:12:39 | 子供のこと身辺雑記





今日のお昼は茶碗蒸し 朝のうちにだし汁と入れる具の用意をしておきます

出しが冷めたら卵溶いて加えた液を漉します
後は器に具とだしを入れ 時間がきたら蒸し器かレンジにかけるだけ
レンジの自動メニューで綺麗に蒸し上がるので 対して数作らない時は 厚かましく大きな器でレンジを利用しています

昨夜はクリームシチュー

でもって今夜はグンと手抜きで 焼きソバです
もう山のようにキャベツも切りました

梨の花も綺麗に咲いてます

買い置きしてあると思った食品 調味料がありませんでした

少し買い物もしてこなくては


藤堂蓮司著「黎明の背教者」発行エンターブレイン

2008-04-12 10:16:05 | 本と雑誌

藤堂蓮司著「黎明の背教者」発行エンターブレイン
藤堂蓮司著「黎明の背教者」発行エンターブレイン
藤堂蓮司著「黎明の背教者」発行エンターブレイン
藤堂蓮司著「黎明の背教者」発行エンターブレイン
藤堂蓮司著「黎明の背教者」発行エンターブレイン
表紙ならびに本文イラストは漫画家の氷栗 優さん

イスキリアの古都ピュリタ大学の卒業間近な学生ナルドは古い地図を買った
実はそれは死んだ神を復活させようとする修道士達が捜していた品
大学の友人達と旅に出ることになった彼は それを知らない

イスキリア統一という秘めたる野望持つラファエリ

長剣持つ非凡な遣い手で自身も長身の寡黙な青年グイドバルド

貴族の次男アルヴィーゼ
女たらしで天使思わせる美貌の男ガヴリエーレ

彼らを描いた肖像画が後世に残っているという

これはその絵に纏わる物語

若き日の比較的気楽な時代の彼ら

地図工房で働きながら大学に通うナルドは地図を眺めるのが好きだった

旅にも手に入れた地図を持ってきている

ゆえに狙われていた
そして遂にさらわれる
神の復活などあるのだろうか

ナルドが友と信じていた一人は その神の復活を信じる人間達に両親を殺されていた

それゆえに誰が正しいか見届けるのだと

復活した神にナルドが狙われた時 頼りになる友人達が駆け付けてきてくれた

神との戦い

狂信者はいつの世にもいる

愚かさに気付かず 自分達だけが選ばれたもの
自分たちだけが正しいのだと思い込む

その目的を叶える為なら どんな手段も選ばない

イタリアを思わせるイスキリア

小さく分裂しているその国を一つにまとめようという夢の実現を目標に生きる男ラファエリ
聖職者を父に持ち嫡子ではなく庶子

黒い髪

現実にイタリアに生きたチェザ―レ・ボルジアを彷彿とさせる人物設定でもある
彼には人から暗殺者として恐れられた忠実な友人もいた

光と影と

歴史で もし こうでなかったら?
なんて事は若い頃 よく考えました