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夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

吉永南央〈よしなが なお〉著「薔薇色に染まる頃」〈文春文庫〉

2024-03-06 21:11:49 | 本と雑誌

 

珈琲豆と和食器の店「小蔵屋」の店主の杉浦草〈すぎうら そう〉は若い時の離婚で別れた夫の方で育てられた男の子が・・・まだ幼い時に死んでしまった

その子の面影をずうっと追っている 心の底に置いている

人は誰しも「もしも」 そういう思いを抱いて生きるものだから

たとえ幾つになろうとも

器のことだけ商売のことだけ 考えて生きていけるわけでもない

だから人は期せずして厄介ごとにも巻き込まれる

いろんなものを背負ってしまう

 

ある品を受け取りに出かけた先で・・・気にかけていた若者ユージンが死んだと教えられる

堅気ではない父親を持ちどうにか生き抜いていたらしいユージン

草はユージンから もしも自分が死んだ時には・・・と 頼まれていた事があった

隠し場所からその品をどうにか届け新幹線で京都に向かう途中 その車内で女性から 連れの男の子を頼まれる

その女性は男たちに追われていて 駅で血を流し倒れた

草は男の子を守る逃避行を始める

幾人かの力を借りて なんとか男の子を守り抜くが・・・・・・

 

草を助けてくれる面々も心強い

酷い父親を持ってしまった子供たちの逃避行

 

そして男の子を迎えに現れたのは・・・・・

 

どうやって逃げるか・・・ってハラハラしながら読み急いでしまいます

 

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松嶋智左〈まつしま ちさ〉著 「巡査たちに敬礼を」〈新潮文庫〉

2024-03-06 11:31:18 | 本と雑誌

 

 

御津雲〈みつくも〉署を舞台に描かれる連作短編集

「障り」で少女だった淳奈が最後の「署長官舎」では交際中の男性が存在し結婚を考えるまでとなっています

 

「障り」

槙田水穂 5年目になる交通総務係の係長

御津雲署では監察が来ると大騒ぎに

監察の一人は水穂と同じ「槙田」姓の女性・結衣だった・・・・・

いまも娘の淳奈のことを考えて別れた夫の姓をそのまま名乗っているが

離婚した夫は 若い女性と結婚 それが結衣

 

やがて水穂は自分こそが調べる対象であったのだと知る

 

 

「罅」

レッカー移動取り締まり中に 警官が気づいた「ある異常」

その車を取り戻したかった「ある理由」

誰かを助けるために警官がとった行動は・・・・・

 

 

「拝命」

警察学校の生徒たちが遭遇した事件

自分たちにできることを・・・・・

生徒たちを温かく見守る指導者たち

 

「南天」

交通事故はよく起きる

その被害者たちに毎回寄り添いすぎては警察官といえど身が持たないだろう

それでも同じ人間なのだ

気遣う心が失われてはならない

 

 

「穴」

上司の不正に気づいてしまった内野実咲

慣例だからなどと見逃してよいものか もやもやしたものを抱えていたが

彼女は自分が信じる正義の為にできることをやる決意

 

「署長官舎」

署長の入れ替わりに際して 署長官舎の掃除をすることとなった総務課総務係の丸野篤史巡査長

ところがそこで人骨らしきものが見つかって

署長の五明には連絡が取れず

総務係長の見城昌夫警部補に指示されるまま 五明が現れそうな場所を探すことになる

御津雲署署長に代々伝えられてきた人骨

これを五明は明らかにして 終わらせようとしていた

 

そしてまた丸野にも知っていてほしかった

彼が見どころある警察官であるゆえに

 

交際中の女性のことで迷っていた丸野

 

そして御津雲署は四月から新しい署長を迎えることになる

 

 

 

解説は作家のあさのあつこさん

この解説は こう結ばれています

ーそう、「巡査たちに敬礼を」は、ジャンルとは無縁の人間ドラマなのだ。

人間だけが生み出せるドラマがここにある。

だからこそ、人の心に届くのではないだろうか。

いつかまた、御津雲署の新たな面々と出逢えることを、心から楽しみに待ちたいー

 

 

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葉室麟「はむろ りん〉著「不疑」〈角川文庫〉

2024-03-04 14:35:58 | 本と雑誌

 

 

1951年 北九州市小倉区生まれの作家 葉室麟は2017年12月に亡くなっている

この文庫本は2024年〈令和6年〉1月に初版発行されている

亡くなってなお その高い人気を示すかのように・・・・・

質の高い作品を発表し続けてくれた作家さんでした

 

「鬼火」

幕末 天才剣士とうたわれた新選組の沖田総司は 胸の病で死んだと言われている

その人気の高さを示すかのように舞台・小説・映画・・・果てはゲームにも名前が使われている

この沖田総司と 新選組で暗殺された芹沢鴨の意外な接点・交流

好色で粗暴などと描かれることも多い芹沢

だがしかし 本当のところはどうだったのだろう

かつて芹沢が死を覚悟した時に 辞世の句として詠んだ歌が作中に出てくる

雪霜に 色よく花の さきがけて 散りても後に 匂う梅が香

 

「鬼の影」

京都 山科にあって遊興に耽っているように見せていた大石内蔵助

藩の存続 復興が叶わぬとなり 討ち入りにいたり 本懐遂げたのち切腹

短い中で 緊迫した斬りあいのヤマもある

享年45歳

辞世の句は

あら楽し 思いは晴るる 身は捨つる 浮世の月に かかる雲なし

 

 

「ダミアン長政」

黒田官兵衛の息子の長政の関ケ原ではたした役割 その真意

また石田三成の言葉の意味を解き明かしたのだと

彼は 石田三成を「一粒の麦」にたとえてたたえた

 

「魔王の星」

天文にも興味を見せた織田信長

現れた巨大な彗星は凶星か それとも

 

 

「女人入眼」

頼朝亡きあと 鎌倉を守り抜いた北条政子

己の死後も考えて 打っていた手

近年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の場面などもつい浮かぶ

幾度も逆縁にあい母親としては辛い人生でもあっただろうに

 

 

「不疑」

中国の漢の時代にあった役職 それは知事と警察長官を兼ねたような・・・日本でいえば江戸時代の町奉行にも似たような役目であったのだと

この仕事にあった不疑という人物が 解いた事件を描いている

 

 

村木嵐〈むらき らん〉さんが「圧倒的なリアル」と題して書かれた解説も収録された作品に丁寧に触れておられて

葉室麟という作家さんにもっと寿命があったならば どのような分野の作品を書かれただろうかと

崩れない品格ある作風も惜しまれる

 

 

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堂場瞬一著「刑事の枷」〈角川文庫〉

2024-03-02 09:16:39 | 本と雑誌

 

新人刑事の村上は現場で型破りな警察官を見る

初めて見る男であったがー同じ署の先輩刑事の影山で 他の刑事たちから「影山には近づくな」と教えられる

しかし何故か影山は 単身追っている過去の迷宮入り事件の捜査を手伝うように言う

襲われて殺された女性

逮捕できなかった犯人

当時の捜査から影山は外されていた

何故そこまでこの事件に固執するのか

一方現在捜査中の殺人事件の被害者は 影山の友人に一度は話をしたいと言ってきた男だった

過去と現在と二人の被害者

この二人を結ぶ人物が浮かび上がる

村上の頭の中でつながった点と点

説明するために村上が作ったメモを読んだ影山も事件の真相に気づいて・・・・・

影山が何かしでかさないかと焦る村上

 

過去の殺人事件を迷宮入りさせた犯人は影山をも焼き殺そうとしていた

警察学校時代の村上の行動から 影山は彼を買っていた

誰に対しても何に対しても揺るがない正義

この一途さをいとおしむように村上に助力してくれる先輩刑事たち

 

取り調べで「犯人であること」をきっちりつめた村上は 入院中の影山に 希いをこめた言葉をかける

 

本作は2021年1月に単行本として刊行されています

刑事・影山の復活はあるのでしょうか

村上の姿を描かれることもあるのでしょうか

愉しみに待ちたいと思います

 

小説を読み始める前に読んで それから読了してからも読み直さずにいられないー

解説を書かれたのは ミステリー書評家の若林踏〈わかばやし ふみ〉さん

 

 

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映画ノベライズ本「ゴールデンカムイ」〈集英社オレンジ文庫〉

2024-03-01 09:14:32 | 本と雑誌

 

 

 

 

 

 

 

 

 

野田サトルさんの漫画原作を映画化にあたり 宮本真生さんが小説化ーノベライズ本に

内容は もう長い原作漫画のとっかかり部分

さあこれから面白くなるゾ! ちょいと主要人物紹介編・・・のように感じます

「ゴールデンカムイ」については

↓こちらに詳しい紹介が

ゴールデンカムイ公式サイト (youngjump.jp)

ゴールデンカムイ - Wikipedia

 

明治37年 二〇三高地 日露戦争の激戦地で杉元佐一〈すぎもと さいち〉は 同郷の幼馴染で親友の寅次を喪う

寅次は杉元を庇い自分の命を落とした

共に戦う杉元にとって寅次は誰よりも死なせたくない戦友だった

杉元の家は家族が次々に結核で死亡

村の人々から肺病持ちの家と疎まれ 自分たちに伝染することを恐れられーいつ火をつけてやろうかなどとも思われていた

家でただ一人生き残った杉元佐一は 先手をうって自ら生家に火を放ち 村を出ていくことを決意

冷たい村人の中で 寅次と杉元が思いを寄せる梅子のみが 杉元にとり温かで大切な存在だった

村を出て一年後 杉元がひそかに村の様子を伺うと 花嫁姿の梅子

梅子と寅次の婚礼が始まろうとしていた

「・・・・・結婚 おめでとう 寅次」

再び離れた故郷の村

そして軍隊で寅次との再会

背中合わせに戦うこともあった

寅次の最期の願いは眼を悪くしている梅子のこと

「梅子の目を、腕のいい医者に、腕のいい医者に診〈み〉せてやりてえ。頼む、佐一」

 

杉元は梅子の医者代を稼ぐ為に 明治39年 北海道で砂金採りをしていると 初老の男から声をかけられ 面白い話を聞かされた

アイヌたちが軍資金にと貯めていた二百貫の金塊

八〇萬圓〈約八〇億円〉

これを金塊を所有するアイヌを皆殺しにし奪った男が居る

彼は・・・この金塊を隠したあと 捕らえられ地獄の網走監獄に収監された

いかなる責めを受けても金塊の隠し場所を吐かなかった男だが

死刑囚たちの体に金塊の隠し場所の地図を刺青にして彫る

その死刑囚たちに彼は言った

「ここから脱獄しろ 成功した奴には金塊を半分やる」

 

噂を聞いた屯田兵のはみだし者たちが 刺青ある死刑囚たちを強引に連れ出す

移送中の囚人たちは 兵士たちを皆殺しにし 全員が森の中に消えた

この話を杉元にした男は

ヒグマに喰われた

死んだ男の体には謎めいた刺青があった

アイヌの少女アシㇼパと出逢い 彼女と共に金塊探しの闘いに挑むことになる杉元

五稜郭で死んでいなかった土方歳三

同じ新選組の生き残り 永倉新八

巨体で化け物のような牛山辰馬

 

恐ろしい鶴見篤四郎と第七師団の人間たち

この小説のなかでは 双子が中々にしつこく 杉元を狙う

男たちは現れては 次から次に死んでいく者も多い

自由自在に全身の体の関節を外したりはめたりできる脱獄王の白石由竹が杉元とアシㇼパに加わる

アシㇼパを護る白い大きな狼

 

昔の表現を借りるなら 血沸き肉躍る・・・そんな冒険はまだ始まったばかり

序章だと感じます

 

 

 

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望月諒子著「蟻の棲み家」〈新潮文庫〉

2024-02-29 16:14:54 | 本と雑誌

 

 

自堕落な母親は育児を放棄

幼いながらも妹を護ろうとする兄

必死に生きる男の子に人生は優しくなかった

 

記者の木部美智子が今回関わる事件はー

まずクレーマーに悩まされる工場長

 

次に殺人

身元不明の男の死体

 

その身を売ることに罪悪感も感じない女たち

売春で生きる女が続けて射殺される

 

それから企業への脅迫

 

これらすべてがつながっていた

 

木部が気づいてしまった本当の犯人

犯人の目的

 

 

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望月諒子著「殺人者」〈新潮文庫〉

2024-02-29 16:01:02 | 本と雑誌

 

 

過去の罪につかまる者たち

自分にあったはずの幸福 奪われた愛する男性の命・・・・・

つかまらなかった・・・・見つからないままだった犯人

何故 私の幸福は壊された

何故 夫となるはずの人間は無残に殺された

女はずうっと考え思い続けてきたのか

見つけた婚約者の腕から奪われた時計

これを手掛かりに女は鬼になる

殺される男たち

 

木部美智子は事件を追う記者

事件は錯綜する

陰部を切り取られた男の死体

事件に関わると見られる女が自宅で自殺

正体が見えない別の女

 

過去の事件

もうすぐ結婚する予定だった幸福な恋人たち

妬む女は情人をけしかける

 

それから・・・・・

愛する男性から奪われた時計を見つけた女は 知ろうとする

この罪にかかわる人間たちへの復讐

 

その計画 実行力

すさまじい

復讐鬼の言葉そのままに

 

 

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吉田修一著「湖の女たち」 〈新潮文庫〉

2024-02-27 20:08:34 | 本と雑誌

 

介護士をしている女性は さして愛情もない男と付き合っている

その女性佳代が働く施設で100歳になる入居者が不審な死を遂げる

捜査にあたる刑事は 松本という介護士を犯人に仕立てようとする取り調べをする

執拗な取り調べに疲れた松本は交通事故を起こしてしまった

刑事の一人濱中は・・・・・佳代を出口の無い情事に引きずり込む

また別の事件を調べていた記者の池田は・・・その事件の大元の人間関係が遠い戦時中にあるらしいことに気づくが 襲われてしまう

これ以上 調べるなら命は無いぞ

そう脅されるのだ

極寒の満州の湖で命を奪われた少年少女

 

また別の施設でも高齢者の女性が不自然な死を遂げる

濱中と佳代の どうしようもないぐだぐだな情事

特に濱中に至っては 妻の華子が出産したばかりなのに・・・・・

―お前は下半身変態男か!-

佳代も 好きでもない恋しても無い男に溺れ やってもいない殺しの犯人なのだと言ってみたり

もう読みながら いっそこんな人間たち どっかで殺されればいいのにーなどと思ったりした

けっこう嫌などうしようもない人間が登場する物語でもある

そして・・・・・

池田は高齢者殺しの犯人に気づく

過去の事件と重なるように浮かび上がる

害虫駆除

殺してもかまわないモノ

 

 

小説は あくまで創作された物語

事実と混合しないで読んでほしい・・・などとも思います

 

本の帯によれば 映画化決定 2024年初夏 全国公開とか

 

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あさのあつこ著「乱鴉の空」 〈光文社文庫〉

2024-02-27 08:35:51 | 本と雑誌

 

実の父親から苛酷な・・・育て方をされたが 武士という身分を捨て生き直している清之介

今は遠野屋の主人におさまり商売も大きくしている

実に切れる同心だが人間的にはかなり問題もある木暮信次郎

木暮に使われる岡っ引きの伊佐治

この三人のもとへ謎 もしくは事件が集まり からみあい

それをときほぐしていく

そんなシリーズは 遠野屋清之介の妻おりんが水死体となって発見される「弥勒の月」から始まった

ゆえに弥勒シリーズとも呼ばれる

本作「乱鴉の空」はシリーズ11作目となる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最新作は単行本

 

 

本作「乱鴉の空」では 帯に

ー木暮信次郎が、消えたーとある

裏表紙の内容紹介では

ー北町奉行所の定町廻り同心の木暮信次郎の姿が消えた。

奉行所はおろか屋敷からも姿を消し、信次郎から手札を預かる岡っ引きの伊佐治は、大番屋に連れて行かれる。

伊佐治の解き放ちに奔走した小間物問屋「遠野屋」主〈あるじ〉・清之介は伊佐治と二人で信次郎を捜し始める。

一方、北町奉行所に不審な影が。

最後に待っている衝撃の真相!-

 

物語の冒頭 まず木暮の屋敷に朝から同心が押しかけ 荒っぽい家探しを始める

昨夜遅くに帰宅したはずの木暮は何処にもいない

留守を預かる老女のおしばも小者の喜助にも 木暮が何処にいるのか心当たりもない

木暮の身に何が起きているのか

どういうことに巻き込まれたのか

伊佐治が営む「梅屋」にも同心が押しかけ 大番屋に伊佐治は わけがわからないまま連れていかれる

大きな商談を終えて 食事でもと遠野屋が訪ねると 梅屋は閉店・・・・・

ただならない様子を案じる遠野屋

伊佐治の身に何かあっては・・・と 旧知の人間に依頼

かくして翌朝 自由の身になった伊佐治と共に 遠野屋はこの謎を解くべく動くことにする

遠野屋は やがて木暮の居場所に見当をつけることができた

 

遠野屋の過去・・・・・故郷からの訪問者

合わない数字は次作への伏線かと

遠野屋の過去・・・・・

それはいつまで凄惨な影を落とし続けるのか

 

潜んでいた木暮の抱えていた秘密 事件の真相

人を殺すのが楽しい男

惚れた男の行方を ただ探していただけの女すら斬り捨てる

多少腕自慢の男など 遠野屋のまともな相手にもならない

 

このシリーズを丁寧に振り返る解説を書かれたのは 「時代小説SHOW」管理者の理流さん

 

 

長く続くシリーズ物の魅力は 登場人物の変化

その関係の変化 ふくらみにもあります

独り故郷から離れ 出逢った娘の夫となり その娘に己の過去ゆえに死なれた男

捨てた身分・・・・・

町人となり娘の実家の店を 商売を大きくするために店主として生きている

生き続けていれば背負うものも増える

 

片や同心という世襲の身分以外は持たない男

同心でなければ ただの無頼

心の奥底にあるだろう熱いものは誰にも見せない

 

反目しあっているようにも見えるけれど 通じているものもあり

言葉に出さずとも事が起きれば 「動ける」

 

この二人の男に時に呆れながら その生きざまを案じている伊佐治

そうして彼らを取り巻く周囲の人々・・・・・

それぞれの人生すら心配になる 

安心できない「何か」も秘めてシリーズは進んでまいります

 

 

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柴田よしき著「あんの夢」 〈ハルキ文庫〉

2024-02-26 12:55:53 | 本と雑誌

 

 

本屋で一冊手に取ってから順番がばらばらに読み始めたシリーズです

漸く自分の中で登場人物の人間関係がつながってきました・笑

 

実在する歴史上の人物

ああ この方はここで登場なさっていたのねーなどと

 

おちよを騙した男が殺されて 埋められていた死体が見つかった

このことが おちよの耳に入らないうちにと おちよは遠くで養生させることになる

そして台風で壊れた紅屋は建て替えられることになり

その間 やすは江戸で煮売屋の店を手伝うことになった

子供を助けようとして火事で死んだ亭主

それから懸命に働いて自分の店を持ったおいとさん

おいとさんは やすに一部屋用意してくれていた

布団もちゃんと干してある

苦労したからこそ 人の心がわかり 他人を思いやれるおいとさん

 

彼女の店を手伝いながら様々な人と出会い 気づき目覚めもしていくやす

ちよを見舞いにいった先で やすはある人物と出会う

快活な青年・・・・・

後年 とても恐れられる人物となった

 

また天文学を学び 空を見る・・・・・屋根に上る武士にも

 

 

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柴田よしき著「あんのまごころ」 〈ハルキ文庫〉

2024-02-26 12:45:03 | 本と雑誌

 

 

紅屋の遠縁になる娘おちよは いつか実家に帰り家業を継がなくてはならない

田舎にはろくな男もいないのに・・・婿をとらないと

そういう身の上のおちよは男に騙され しかも身ごもってしまった

産んで育てられないなら流すしかないのだが

いつか産みたいと思うようになっていく

おちよの身の上を案じ せめて食べやすいものを作ろうとするやす

またお小夜の夫の体のことを考えた そしてお小夜が作ることができる料理を思案するやす

 

それに必要な鍋を政一も一緒に考えてくれる

慌ただしい日々のなか 大きな危険が品川に迫っていた

未曾有の台風が近づいていたのだ

天気を読むことができる人間の警告に 紅屋は従い 避難準備を始める

そして・・・・・

 

台風が去ったあと 町の景色は一変してしまっていた

天災から立ち上がろうとする人々

何があっても起きても 命ある限り生き続けていかなくてはいけないのだから

 

 

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柴田よしき著「あんの青春 若葉の季」〈ハルキ文庫〉

2024-02-26 12:29:58 | 本と雑誌

 

 

紅屋の下働きで やすが弟のようにかわいがっていた少年・勘平

彼は料理人となるべく紅屋に預けられた身なのに 無断で金平糖売りについていってしまった

その行方を案じるやす

しかしどうやら明るい方へとその身の上は落ち着きそうだった

 

紅屋の料理人の政一は やすのことをまるで実の娘のように案じ その料理の才も認めている

実の父親からは売られてしまったやすだが 努力・労を惜しまぬ気性は周囲の人々から認められていく

 

やすを「やす」は「安」という漢字になり 「あん」とも読めることから やすのことを「あん」と呼んでくれるお嬢様お小夜は 蘭方医になりたいという夢があったが

 

それはかなわず薬種問屋へ嫁ぐ

しかし夫となった人は好人物で 夫婦仲もよく やすも嬉しい

勘平もあらたな道を歩みだす

 

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柴田よしき著「あんの青春 春を待つころ」〈ハルキ文庫〉

2024-02-26 12:13:43 | 本と雑誌

 

 

品川宿の旅籠「紅屋〈くれないや〉」の大旦那様がお勝手女中として まだ幼いやすをお店に置いてくれた

そこで心優しい人々に囲まれ いつか女料理人になりたいという夢を持つようになったやす

まだまだできないことばかり

それでも少しずつ少しずつ懸命に生きている

このシリーズは出てくる料理も 真似して作ってみようか?と ついつい栞をはさんでしまう箇所も多いです

干し柿にゆべしに

買うものではなく 作るものであったのだなと

 

評判をとる女料理人の店へ 連れていってもらったやす

おみねは 実は芸者春太郎の姉でもあって

やすのことも知っていました

人は才ある 見込みある人間と思えばこそ 試したくもなるもの

 

辛い生い立ちでも 懸命に生きる人がいる

くじける人もいる

誰かのせいにして逆恨みする人間も

 

この物語には あんまり心のねじ曲がった人間は出てまいりません

自由な生き方はできない「おあつさん」

その本当の姿は・・・大河ドラマや「大奥」をご覧になった方なら

読みながらにやにやしてしまうかも

 

 

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柴田よしき著「お勝手のあん」 〈ハルキ文庫〉

2024-02-23 14:35:54 | 本と雑誌

 

「赤毛のアン」の冒頭は みなしごのアン〈アンの綴りの最後にはeをつけてほしいアン〉が連れてこられるところから始まります

クスバート兄妹は畑の手伝いになる男の子が欲しかったけれど手違いで駅で待っていたのは女の子

兄のマシュウは 女の子の表情と話し方にほだされ連れて帰るも 妹のマリラは役に立たないから取り替えてくるように 最初言うけれど

アンの様子に自分の少女時代を思い出し

 

クスバート兄妹は この風変りだけれど想像力豊かで かつ素直で優しく利発な少女を育てることにします

〈「赤毛のアン」は少女時代に繰り返し読んだ好きな物語でした 

でも人名とか記憶違いがあるかもしれません〉

 

 

「お勝手のあん」は 神奈川宿の旅籠が力仕事のできる小僧を口入れ屋に頼んだところ

依頼主が旅籠であることから 女中が欲しいのかと勘違い

女の子が連れてこられた

その宿の主人の又いとこである品川の旅籠「紅屋」の大旦那吉次郎は その女の子やすが気に入り 連れて帰り台所の手伝いに

美味しい栗を選んだやすの才気を見込んだのだ

料理人政一 女中頭のおしげ それぞれ一本まっすぐなスジが通った大人たち

複雑な生い立ちながら 自分が生きる枠には気づいているお小夜

 

他にも歴史上実在人物も あらあらあの方がこういう登場をなんて場面

主人公へのかかわり方もあり

 

また出てくる料理の作り方も これちょいと作ってみようかと思うほど丁寧に書かれています

手をかけようと思えば いくらでも手をかけられるのが料理

かかる手間暇を惜しまず 美味しいものを作る心意気

心がけ

時短ばかりが良いものではないよなあと 反省させられたり

 

 

やすの夢は女料理人として生きること

はてさて その願いはかなうのでしょうか

 

シリーズ第一作です

 

 

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伊岡瞬著「白い闇の獣」〈文春文庫〉

2024-02-20 19:06:25 | 本と雑誌

 

あとがきで著者は 世に出していい内容か悩んだ・・・・・というようなことを書いておられる

 

小学校を卒業しその祝いの夕飯

帰宅する父親の為に傘を持って迎えにでた少女

けれど少女は・・・生きて戻ってこなかった

両親は必死に探す

やがて警察からの連絡

少女は死体で見つかった

無残に腫れあがった顔 暴力を受けた体

少年たちの犯行だった

 

それから四年 反省することなく生きている少女を殺した少年たちのうち二人までが不審な死を遂げる

警察は殺された少女の父親が消息不明となっており その行方を捜す

 

殺された少女の担任だった女性は教師を辞めていたが 少女殺しの人間が死んだ現場で見知らぬ男から声をかけられる

 

元教師の女性の過去 殺された少女の父親との関わり

凶悪で愚劣な生き物

これに相対する決意

いかなる代償を払ってでも

 

 

この世の中は綺麗ごとばかりではない

真っ当に生き続けていても どうしようもない できないこともある

絶望し無力感に襲われることも多々あるだろう

それでも生きていくのだ 人間は

生き続けていれば また笑える日はくる

生きていてよかった そう思えることもある

 

せめて物語の中では ささやかな幸せ いや救いがあって良いと私は思うのだ

読書の中に救いを求める人間もいるかと思うから

 

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