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仏果を得ず

2011年08月26日 21時29分26秒 | ☆本☆
三浦 しをん 著
双葉社


ブロ友さんレビューに惹かれて図書館予約。
ハードカパーの本で手にしました。


文楽の世界。
全く知らない世界。
仮名手本忠臣蔵、、というラストの章タイトルに、
「ああ、そうえいばお正月に観たあの映画には人形浄瑠璃混じっていたなあ」
とは思ったけど、浄瑠璃と文楽って同じなのか違うのかも知らない。


だけど。
こんな未知の世界なのに、惹きこまれる。

物語は軽妙で、随所に笑いがちりばめられ、くすっっと笑える気楽な感じのはずなのに、
文楽の太夫という自分の道を突き詰めて身を削って精進しようとする健の姿が鮮やかに浮かぶ。
特別「文楽とはこういうものだ」という説明は一切ないのに、
なんだか、読み終わったら私もすっかりこの世界が判ったような気になっている。

「生きることだ。生きて生きて生き抜けば、勘平がわかる」

長生きすること。
それがまず、この道を極めるための第一歩。
死んでのちに何かを得たいわけではない。
生きているいま、自分は苦しんでも苦しんでも一歩前に進みたいのだ。


なんか、ものすごくエネルギーを貰えて、
同時に。
ものすごく、どこかほっとさせられる物語だった。

ほっとできるのは、健という主人公が普段はごく普通の人で、
師匠に振り回され、恋に悩み、等身大で生きているからか。


そうそう。
健のみではなく、登場人物全員にそれぞれの歴史があり今までの生き様が見え、これから先を見据えていて。
それはなくなった銀太夫師匠の妹さんに至るまで…。
ふらっと脇を見ると、そこにきちんと人が生きている。
そんな世界だったこともまた、惹きこまれて読み込む上でとても心地よかった。


芸を極める。
ひとつのことを、一生をかけて磨き上げる。
それは「文楽」という世界に限らず、
「何か」を見つけた人たちにすべて通じるもので。

板の上に世界は広がり、その世界で生きる人々はさらに高みを目指す。
その姿に観客は酔いしれ、魅了されていく。
幸いにして、劇場に通うことは、ここ数年で随分鍛えられた(w)。
板の上に広がる世界との一体感っていうのも、幸運にも体感する機会があったと思う。
だからこそ。

文楽、、観てみたいなあ、と思ったけど。
9月の東京公演はすでにチケット完売なのかな?
(ぴ○は予定枚数終了だった。。ミラちゃんの演目あったのに!)
ってか、、、あまりに近い日程で行かれない~~~(汗)

伝統芸能というのには、若干敷居の高さを感じるけれど、
それでも飛び越えれば入って行かれる。それはここ数年で良くわかっていることだから。
また、機会を見つけて。

行ってみたいな。文楽公演。


そして。文庫本にてこの作品購入決定!です。


健と兎一兄さん、二人のこれから先の道に光あることを祈って。

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