恩田 陸 著 新潮社。第26回吉川英治文学新人賞受賞作。
青春小説なんて帯がついてます。そういう分類で分けられると、多分私にとって最大に苦手なカテゴリーのお話。
恩田さんの作品でなければ、この帯を見ただけで私は避けてしまっただろうなあ、、と思ったりします。
が。
こういうのが「青春小説」なんですか?それとも、恩田さんが書くとこうなった、ってことなのかなあ。
気がついたら夢中になってページをめくっておりました。
ストーリーはとても単純。
ある高校の年中最大の行事。「歩行祭」
全行程80キロを、夜を徹して歩き通すという、その行事を淡々と描いた作品です。
まるで、テレビでマラソンを観ているような、そんな感覚がありました。
ひたすら、歩く。歩く。歩く・・・、お話。
中心人物は高校三年生の同級生、西脇融と甲田貴子。
この二人の少々複雑な関係と、歩いている間の移り変わる気持ち。そこに、周りの親友や、クラスメイトや、ハタマタ勘違い娘(苦笑) や、謎の男の子が関わって、登場人物たちの心理描写やまわりの風景の変化、色々な出来事を巧みに描き出す。
歩くこと。
最後は疲れ果てて、ただただゴールを目指して身体を持ち上げること。
その先に彼女ら、彼らが何を見るのか。
その、歩行祭のゴール直前でスパッとこの物語は終わっています。
読みながら、同時に昔の自分も思い出す。恩田さんはよく高校生を描くけれど、多分その描き方が自分のあの時代と重なって、余計に親しみを感じるのかもしれない。
でもそれは、今、現在にも通用する、なんだろう?んー。上手く言い表せないのだけれど、心の中にストンっと自然に入ってくる感じがするのだ。
これを、同世代であった高校時代に読んでいたら、今の私はどうなっていただろう、なんてことをちょっと想像してしまった。
作中、融の親友である戸田忍が口にするせりふ。
「『しまった、タイミング外した』だよ。なんでこの本をもっと昔、小学校の時に読んでおかなかったんだろうって、ものすごく後悔した。せめて中学生でもいい。十代の入口で読んでおくべきだった。そうすればきっと、この本は絶対に大事な本になって、今の自分を作るための何かになってたはずなんだ。」(本文より抜粋)
融にあることを説教しようという話の流れの途中で、ナルニア国物語を読んだ感想を語るその言葉。
ああ、わかるなあ。今の私、後悔てんこ盛りだもんなあ、、。今までの沢山の時間の中で、いったいどのくらい私は出会わずにいる物語があるんだろう。タイミングを外してしまった本があるんだろう、と、本筋とは違うところでも、共感しつつ読み終えた。
恩田作品の中でも、かなり上位に位置する一冊になりそう。もう一度繰り返して読みたくなっている。
青春小説なんて帯がついてます。そういう分類で分けられると、多分私にとって最大に苦手なカテゴリーのお話。
恩田さんの作品でなければ、この帯を見ただけで私は避けてしまっただろうなあ、、と思ったりします。
が。
こういうのが「青春小説」なんですか?それとも、恩田さんが書くとこうなった、ってことなのかなあ。
気がついたら夢中になってページをめくっておりました。
ストーリーはとても単純。
ある高校の年中最大の行事。「歩行祭」
全行程80キロを、夜を徹して歩き通すという、その行事を淡々と描いた作品です。
まるで、テレビでマラソンを観ているような、そんな感覚がありました。
ひたすら、歩く。歩く。歩く・・・、お話。
中心人物は高校三年生の同級生、西脇融と甲田貴子。
この二人の少々複雑な関係と、歩いている間の移り変わる気持ち。そこに、周りの親友や、クラスメイトや、ハタマタ勘違い娘(苦笑) や、謎の男の子が関わって、登場人物たちの心理描写やまわりの風景の変化、色々な出来事を巧みに描き出す。
歩くこと。
最後は疲れ果てて、ただただゴールを目指して身体を持ち上げること。
その先に彼女ら、彼らが何を見るのか。
その、歩行祭のゴール直前でスパッとこの物語は終わっています。
読みながら、同時に昔の自分も思い出す。恩田さんはよく高校生を描くけれど、多分その描き方が自分のあの時代と重なって、余計に親しみを感じるのかもしれない。
でもそれは、今、現在にも通用する、なんだろう?んー。上手く言い表せないのだけれど、心の中にストンっと自然に入ってくる感じがするのだ。
これを、同世代であった高校時代に読んでいたら、今の私はどうなっていただろう、なんてことをちょっと想像してしまった。
作中、融の親友である戸田忍が口にするせりふ。
「『しまった、タイミング外した』だよ。なんでこの本をもっと昔、小学校の時に読んでおかなかったんだろうって、ものすごく後悔した。せめて中学生でもいい。十代の入口で読んでおくべきだった。そうすればきっと、この本は絶対に大事な本になって、今の自分を作るための何かになってたはずなんだ。」(本文より抜粋)
融にあることを説教しようという話の流れの途中で、ナルニア国物語を読んだ感想を語るその言葉。
ああ、わかるなあ。今の私、後悔てんこ盛りだもんなあ、、。今までの沢山の時間の中で、いったいどのくらい私は出会わずにいる物語があるんだろう。タイミングを外してしまった本があるんだろう、と、本筋とは違うところでも、共感しつつ読み終えた。
恩田作品の中でも、かなり上位に位置する一冊になりそう。もう一度繰り返して読みたくなっている。