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サトルは気がつくと、切り立った岩山が、いくつも見下ろすようにそびえ立つ地面の上に、うつぶせに倒れていました。乾燥しきった地面は、砂粒が寄り集まってコロコロと団子状になり、少しでも力を加えれば、すぐに砕けて細かい砂に変わってしまいました。
「ガッチ、ガッチー!」サトルは体を起こすと、大きな声で言いました。
「ここだあー。助けてくれえー」と、ガッチの声が答えました。
「どこ、――ガッチ」
サトルは、あわててガッチを探しました。けれども、ガッチの姿はどこにも見あたりませんでした。それでも、耳を澄ませば「――ここだ」と、助けを呼ぶ声が聞こえてきます。サトルは、目を凝らして灰色の地面をくまなく探しました。すると、なにか野ねずみのような動物が、地面に開いた穴に頭からはまりこんで、足をバタバタさせてもがいているのをみつけました。
「ガッチ!」と、サトルは駆け寄りました。
「――はははっ。ガッチ、そんな所でなにしてるの? 自分の穴に入れなくなったモグラみたいだよ」
サトルは、お腹を抱えて笑いました。
「うるせぇ、笑うんじゃねぇ! 人が困ってんのに、笑うヤツがあるかよ。見てないで、さっさと抜いてくれ」
サトルはよいしょ、とガッチを穴から引っ張り抜きました。ガッチは、しばらくその穴にはまっていたらしく、顔は土で茶色くなり、鼻の穴や耳の穴はもちろん、口の中まで砂が入りこんでいました。
「ごほっごほっ……ひどい目にあったぜ」と、ガッチはやれやれといった表情で言いました。「あと少しで、窒息するところだった。――で、ここはどこなんだ。右も左も、岩ばかりじゃねぇか」
「ガッチも知らないの? まるで砂漠に来ちゃったみたいだけど、もしかしたら、あいつもここにいるかもしれない」
「ああ。おれもこんな所は初めてだ。ドリーブランドのどこかに違いはないだろうが、おれもまだ、ドリーブランドの端から端まで旅したことはないからね……ん。サトル、もしかしたらって、探してる子供の姿は見てないのか?」
「うん」と、サトルはうなずきました。「気がついたら、地面にうつぶせになって倒れてたんだ」
「――はぁ」と、ガッチは大きなため息をつきました。「こいつは困ったことになったぞ。こんな所で置いてけぼりにされてみろ、あっという間に日干しになっちまう」
「――どうしよう」と、サトルが困ったように言いました。
サトルは気がつくと、切り立った岩山が、いくつも見下ろすようにそびえ立つ地面の上に、うつぶせに倒れていました。乾燥しきった地面は、砂粒が寄り集まってコロコロと団子状になり、少しでも力を加えれば、すぐに砕けて細かい砂に変わってしまいました。
「ガッチ、ガッチー!」サトルは体を起こすと、大きな声で言いました。
「ここだあー。助けてくれえー」と、ガッチの声が答えました。
「どこ、――ガッチ」
サトルは、あわててガッチを探しました。けれども、ガッチの姿はどこにも見あたりませんでした。それでも、耳を澄ませば「――ここだ」と、助けを呼ぶ声が聞こえてきます。サトルは、目を凝らして灰色の地面をくまなく探しました。すると、なにか野ねずみのような動物が、地面に開いた穴に頭からはまりこんで、足をバタバタさせてもがいているのをみつけました。
「ガッチ!」と、サトルは駆け寄りました。
「――はははっ。ガッチ、そんな所でなにしてるの? 自分の穴に入れなくなったモグラみたいだよ」
サトルは、お腹を抱えて笑いました。
「うるせぇ、笑うんじゃねぇ! 人が困ってんのに、笑うヤツがあるかよ。見てないで、さっさと抜いてくれ」
サトルはよいしょ、とガッチを穴から引っ張り抜きました。ガッチは、しばらくその穴にはまっていたらしく、顔は土で茶色くなり、鼻の穴や耳の穴はもちろん、口の中まで砂が入りこんでいました。
「ごほっごほっ……ひどい目にあったぜ」と、ガッチはやれやれといった表情で言いました。「あと少しで、窒息するところだった。――で、ここはどこなんだ。右も左も、岩ばかりじゃねぇか」
「ガッチも知らないの? まるで砂漠に来ちゃったみたいだけど、もしかしたら、あいつもここにいるかもしれない」
「ああ。おれもこんな所は初めてだ。ドリーブランドのどこかに違いはないだろうが、おれもまだ、ドリーブランドの端から端まで旅したことはないからね……ん。サトル、もしかしたらって、探してる子供の姿は見てないのか?」
「うん」と、サトルはうなずきました。「気がついたら、地面にうつぶせになって倒れてたんだ」
「――はぁ」と、ガッチは大きなため息をつきました。「こいつは困ったことになったぞ。こんな所で置いてけぼりにされてみろ、あっという間に日干しになっちまう」
「――どうしよう」と、サトルが困ったように言いました。