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くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

狼おとこ(88)

2022-05-07 21:50:14 | 「狼おとこ」


「あいつは、必ず来る……」

 同じ頃、ゲリルはかがり火のそばに立ちながら、つぶやいていた。星明かりで明るい空には、真円の月が静かに浮かんでいた。
「あいつは、必ず来る」と、ゲリルは自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
 十字架にかけられたカッカの周りを、鎧を纏った兵卒達がぐるりと取り囲んでいた。銃を持つ者を前に、剣を手にした者は後ろに。そして、手に手に松明を持った僧達が、町中を巡回していた。
 カッカは、赤紫色に腫らした顔をうつむけ、力のこもった目だけをギョロリとさせ、唇を噛みながら、グレイが来ないでくれることを一心に念じていた。
「くっそう――あのガキめ」と、ゲリルは膝を絶えず動かし、イライラとした口調で言った。
「ケッ、あいつはそんなにばかじゃねぇよ」と、カッカが小さな声でつぶやいた。
 ゲリルはその声を聞き、どきりとするような悪意に満ちた笑いを浮かべると、言った。
「山男め、おまえが望むなら、ひと足早くあの世に送ってやろう――」と、ゲリルはそばにいた兵を向き、手で首をちょん切る真似をしながら、「やれ」とつまらなさそうに言った。
 兵卒はうなずくと、構えていた銃をおろし、腰に帯びた剣を抜いて、カッカの足元に近寄った。
 いまにも、重たい剣がカッカの体を突き刺そうとする時、松明を持って見回っていた僧達が、色めき立った。

「来たか――」

 ゲリルは兵卒を制すると、拳銃を取りだして声のした方へと駆けていった。
 グレイは、やって来た。
 夜の町は、放り投げられた松明と、僧達があげる苦悶の声で溢れかえっていた。
 グレイは、まるで風のようだった。短刀を手にした僧をたたき伏せ、取り押さえようとする僧達を飛び越し、その鬼神のごとき前進を止めようとする者は、すべて天を仰いで泡を吹いた。

「来たな、小僧!」

 と、ゲリルは片膝を突いて銃を構え、走って来るグレイに照準を合わせた。
 グレイがゲリルの横を走り抜けようとした刹那、引き金が絞られた。
 轟音がこだました。「やった」という思いが、ゲリルの脳裏に浮かんだ。しかし、確かにグレイの胸を撃ち抜いたはずの銀の弾は、グレイの足を止めることができなかった。あっけにとられるゲリルを尻目に、グレイはカッカが張りつけられた十字架にたどり着き、兵卒をことごとく打ち倒した。

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よもよも

2022-05-07 05:51:48 | Weblog

やれほれ。

かゆい。

北海道、雪解けで塵やら埃やら花粉やらが

風に舞上げられて飛びまくってて

マスクしてるから鼻はたいしたことないんだけど、

目は無防備だから

なんだかかゆいなと思ったら

涙は止まんないし白目は血走るし、

いつまで続くんだか、

もう死にそう・・・。

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