くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

機械仕掛けの青い鳥(101)

2019-07-10 20:33:57 | 「機械仕掛けの青い鳥」
 立ち止まって振り返った瞬の手の平には、見違えるようにキラキラと輝く青い鳥が乗っていた。
 ソラとウミは、青い鳥の凛々しい姿に目を見張った。本当に自分達が知っている青い鳥なのか、小さな体にもかかわらず、どんな大きな鳥にも負けないような、どっしりと落ち着いた雰囲気を漂わせていた。
「驚くだろうけど、この鳥は未来じゃ誰もが知っている、特にめずらしくもないおもちゃなんだよ。――とは言っても、今じゃ持っている人を探すのが難しいほど、流行遅れになったおもちゃだけどね」
 ソラとウミは、ただじっと、瞬の話に聞き入っていた。
「――おいおい、難しく考えたって、しょうがないぞ」と、瞬は困ったように笑った。
「本物そっくりのこの鳥に、時空間を自由に飛べる装置を取りつけたんだ。過去と未来を行き来して、見たものや聞いた事柄を記憶し、あたかも今、目の前で現実に起こっているかのように、再生する機能を持たせてね」
 瞬の話を聞いていた二人は、不思議そうに首をかしげた。
「じゃあ、ぼく達が見てきたものって、本当じゃなかったの?」
 ソラが言うと、ウミが安心したようにうなずいた。と、その様子に気がついた瞬は、目を細めて考えるように言った。
「鳥の記録(ログ)は確認しなかったけれど、勘違いしちゃいけないよ。いくら現実じゃないといっても、再生されるのは本当にあったことなんだ。自分自身が記憶された時代の中に入りこみ、実際に起こった出来事を追体験するんだから」
「じゃあ、あの人達って――」と、ウミが悲しそうに眉をひそめた。
 じっとウミの顔を見た瞬は、そっと話しかけるように言った。
「鳥の記憶の中に生きていた人達は、きみ達が見たとおりの人生を送った人達なんだよ。だからもしも、きみ達が一緒になにかを変えようとしても、変えられるのは追体験するはずだった出来事だけ。その時代に本当に生きていた人達の人生は、決して変えられないんだ」
 ウミは、瞬の顔をじっと見ていた。信じたくても、信じられないといった表情だった。
「――いいかい」と、瞬はウミの前にしゃがんで言った。「この鳥の仕事はね、時代から時代へ旅をしながら、本でしか読めなかった出来事を、自分の目で見て記憶し、ありのまま人々に伝えることなんだ。中には目を覆いたくなるほどひどいことや、逆にみんながあこがれるほど幸せなことにも出会うんだよ。しっかりと歴史を見つめて、自分達をもう一度見直すことが、よりよい未来を作るためには必要なんだ」
 ウミは、小さく鼻をすすりながら、こくりとうなずいた。
「だけど、青い鳥はいろいろな人達に狙われています」と、ソラが言った。
 瞬は、ソラを見てお礼を言った。
「ありがとう。きみ達が守ってくれたんだろ」
「レスラーみたいな怪力の男の人達や、諜報部員の女の人、魔女も鳥を狙って追いかけてきたんです……」と、ウミが言った。
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よもよも

2019-07-10 06:12:18 | Weblog
やれやれ。

人間ドック行ってしばらくは

ショックのためか、

ついつい節制したくなるんだけど、

塩分取り過ぎるとダメだってんで、

ふとと思う。

なに食べりゃいい??

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