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ニューギニア島アルファック・トリバネチョウ採集記
~西パプア(旧:西イリアン)・トリバネ事情~
その八
中川忠則
トリバネチョウの雑種と個体変異について
J氏は、飼育販売の傍ら、トリバネチョウの交雑に熱心である。
氏は現在、ロスチャイルドとプリアムスの雑種であるタカネトリバネ(O,akakeae)を作出。
飼育ケージ内において、その幼虫を観察することができた。
目下、若齢幼虫を約20数頭ほど飼育しているとのことであったが、その価値については「エキスペンシブ」とだけ言って、教えてはもらえなかった。
それでも、特別にJ氏のスマートフォンに収録された御家族と自慢のゴライアス×パラディシア、ロスチャルド×チトヌスの交雑個体のほか、プリアムスの前翅に金色を配した個体や無紋の異常型等を見せてくれた。
ニューギニア本島のプリアムスの亜種は全てポセイドンとされるが、ここに来て、実に変異が多いと感じた。
図鑑や日本で入手できる個体の多くがノーマル個体であるが、アルファクの高地帯だけでもバリエーションがあり、低地帯産とも異なっているという。
筆者が購入したポセイドンには後翅に黄色の斑紋が現れていた。
J氏が手招きしてプリアムスの様々な異常型を奨めてくれたが見送った。
予算と時間が許せば、ゆっくりと選びたいところである。
氏のこだわりの品は、いずれも高値で取引きされるようであるが、どうやら、顧客のニーズと懐具合をみて、一つひとつ交渉して決めているようである。
西パプア(旧:西イリアン)随想
マノクワリは、近年、モータリゼション著しく、日本製のオートバイが飛躍的に増えているという。
信号は主要箇所を除いてほとんど無く、交通ルールはいったいはどうなっているのかはわからないが、車とオートバイが両脇から進入してくる。
このため、いつでも、どこでも、クラクションで牽制しながら走行することになるのである。
しかし、どんなにクラクションを鳴らしても、飛び出して来る犬や豚とのクラッシュを避けることはできないようだ。
ニューギニアというと原始的な生活をイメージしてしまうが、今や最新の日本車が走り、町にはレストランやスーパーマーケットもあるので、特に生活に不自由を感じさせない。
市街地の照明もLED化が進んでいるようである。また、アルファックに向かう途中、ジャカルタ大手企業とセクターのパームヤシ農園に暮らす人々の暮らしも安定しているように見えた。
ここに来て、私のニユーギニアの印象はすっかり変わってしまった。
宗教について少々注目すると、インドネシアの国教は回教であるが、西パプアはオランダの植民地時代を経てインドネシアの移民政策により併合、幾多の分離独立運動があったと誌されているが、寛容政策により平穏が保たれている。
当地域はクリスチャン人口の占める割合が多く、コミュニティーにはプロテスタントの教会とモスクとが共存している。
イスラム教のモスク。
キリスト教の協会。
ガイド曰く、「両者は大変友好的でトラブルは無い」とのことであるが、更なる近代化と不穏な国際情勢のもと、トリバネチョウ舞うこの地が、けっして紛争に巻き込まれることの無いよう心から願った。
また、西イリアン地域住民の飲酒は禁じられているが、旅行者とスラウェシ島から随行のガイドの飲酒は問題ないとのこと。
回教国ゆえ禁止と聞いたことがあるが、どうも矛盾するので尋ねてみると、当地方の原住民は飲酒の節度に欠け、お酒によるトラブルやアルコール依存症が憂慮されるとして、現地人に対し禁酒法を施行しているのだと云う。
そんな、マノクワリの人々であるが、皆穏やかで誰もが笑顔で接してくれる。
どこかの国のように、街角で罵り合う光景を目にすることはなかった。
この項、続く。
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ニューギニア島アルファック・トリバネチョウ採集記
~西パプア(旧:西イリアン)・トリバネ事情~
その八
中川忠則
トリバネチョウの雑種と個体変異について
J氏は、飼育販売の傍ら、トリバネチョウの交雑に熱心である。
氏は現在、ロスチャイルドとプリアムスの雑種であるタカネトリバネ(O,akakeae)を作出。
飼育ケージ内において、その幼虫を観察することができた。
目下、若齢幼虫を約20数頭ほど飼育しているとのことであったが、その価値については「エキスペンシブ」とだけ言って、教えてはもらえなかった。
それでも、特別にJ氏のスマートフォンに収録された御家族と自慢のゴライアス×パラディシア、ロスチャルド×チトヌスの交雑個体のほか、プリアムスの前翅に金色を配した個体や無紋の異常型等を見せてくれた。
ニューギニア本島のプリアムスの亜種は全てポセイドンとされるが、ここに来て、実に変異が多いと感じた。
図鑑や日本で入手できる個体の多くがノーマル個体であるが、アルファクの高地帯だけでもバリエーションがあり、低地帯産とも異なっているという。
筆者が購入したポセイドンには後翅に黄色の斑紋が現れていた。
J氏が手招きしてプリアムスの様々な異常型を奨めてくれたが見送った。
予算と時間が許せば、ゆっくりと選びたいところである。
氏のこだわりの品は、いずれも高値で取引きされるようであるが、どうやら、顧客のニーズと懐具合をみて、一つひとつ交渉して決めているようである。
西パプア(旧:西イリアン)随想
マノクワリは、近年、モータリゼション著しく、日本製のオートバイが飛躍的に増えているという。
信号は主要箇所を除いてほとんど無く、交通ルールはいったいはどうなっているのかはわからないが、車とオートバイが両脇から進入してくる。
このため、いつでも、どこでも、クラクションで牽制しながら走行することになるのである。
しかし、どんなにクラクションを鳴らしても、飛び出して来る犬や豚とのクラッシュを避けることはできないようだ。
ニューギニアというと原始的な生活をイメージしてしまうが、今や最新の日本車が走り、町にはレストランやスーパーマーケットもあるので、特に生活に不自由を感じさせない。
市街地の照明もLED化が進んでいるようである。また、アルファックに向かう途中、ジャカルタ大手企業とセクターのパームヤシ農園に暮らす人々の暮らしも安定しているように見えた。
ここに来て、私のニユーギニアの印象はすっかり変わってしまった。
宗教について少々注目すると、インドネシアの国教は回教であるが、西パプアはオランダの植民地時代を経てインドネシアの移民政策により併合、幾多の分離独立運動があったと誌されているが、寛容政策により平穏が保たれている。
当地域はクリスチャン人口の占める割合が多く、コミュニティーにはプロテスタントの教会とモスクとが共存している。
イスラム教のモスク。
キリスト教の協会。
ガイド曰く、「両者は大変友好的でトラブルは無い」とのことであるが、更なる近代化と不穏な国際情勢のもと、トリバネチョウ舞うこの地が、けっして紛争に巻き込まれることの無いよう心から願った。
また、西イリアン地域住民の飲酒は禁じられているが、旅行者とスラウェシ島から随行のガイドの飲酒は問題ないとのこと。
回教国ゆえ禁止と聞いたことがあるが、どうも矛盾するので尋ねてみると、当地方の原住民は飲酒の節度に欠け、お酒によるトラブルやアルコール依存症が憂慮されるとして、現地人に対し禁酒法を施行しているのだと云う。
そんな、マノクワリの人々であるが、皆穏やかで誰もが笑顔で接してくれる。
どこかの国のように、街角で罵り合う光景を目にすることはなかった。
この項、続く。
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