Publication Biasっていうのは研究者がNegativeな結果を論文にせずPositiveな結果ばかりを公表したがることを指摘するお言葉のハズですが(元々は疫学の言葉かな?切り札的な実験結果で白黒つける性質の学問でないことの表れかも)、新聞記事にも、同様な記事と実体の乖離傾向が(程度は不明ですが)あるんじゃないかと体験的に考えています。一言でいうとネタになるものでないと報道されないということですね(なんかトートロジカルですみません
)。
で、ネタになりやすいのは何かというと、差別化を図った記事ってことになって、結果として、他が取り扱っていない記事(所謂スクープ)が重宝されることになるんでしょう。まあそうはいっても大半は横並び報道なんでしょうけど。んで、差別化を図った記事にも2種類あると思っていて、
1)記者がネタをもらう立場の場合;
この場合もさらに、情報提供者の意に反する場合(すっぱ抜き)と反しない場合(リーク)の二種類ある気がする
2)記者が能動的な場合;
こっちのタイプは「事実を集めてそれを伝える」のではなくて、「書きたいことがあって、それに都合のいい材料を集める」ものですね。
別に私は世に花盛りのマスコミバッシングに今更加担するつもりはなく(彼らには彼らの役割があるという気もするし、結局は・・・Well, that’s their jobなので)、はたまた政治的に右でも左でもなく、いや「新聞記事ってそんなもんだ」と思っておかないと困ったことになるよね、と改めて思ったので忘れないうちに書いておこうというだけです。今回は記者が能動的な場合(勝手に決め打ち型と呼んでいます)について。
何を見て思ったかというと、朝日新聞の30日のこの記事。
日本の歴史問題、米国専門家も懸念 アジア戦略と対立
専門家といっても引かれている例えばKent Calder氏は大使館のアドバイザーも務めたような方で、見出しの驚きをひきずって記事に書かれた氏のコメント
を読むと「アメリカでも総理の靖国参拝はよくないと思われているのねぇ~」っていう印象が残ったわけです。試験期間中だしそれで終わり
にしてもよかったのですが、うーん腑に落ちない、アメリカの歴史観がデモクラシー否定の中国の歴史観寄りだなんて聞いたことがないよ、あれ
、これはひょっとして「中国や韓国だけじゃなくて(多分一番影響力のある)アメリカも反対している」という記事を書きたい決め打ち型ではなかろうか、という疑念が浮かび、彼の最近の論文を読んだ上で現在学生という特権で突撃メール取材をしてみました。
ちなみにKent Calder氏の最近の論文China and Japan's Simmering Rivalry(Foreign Affairs 3月4月号←注:オンライン購入も簡単です)では、
○日中関係がエネルギー問題や歴史問題で悪化している。これは問題。日中関係の安定化がアメリカの国益にもかなう。
○アメリカとしては、
・まず何より日米同盟(経済面含む)を強化すること
・次に日中間の対話、特に非政府間の対話を促進するよう努めること
・アメリカ政府の人間がデリケートな日本の戦没者慰霊の問題に立ち入らないこと
が主張されています。特に最後の点ですが、ここ最近検討されてきた無宗教慰霊施設の建設も日本国民の選択肢と言及しつつもあくまで日本国内の問題であることをヒトキワ強調しておられ、朝日の記事のような言及は彼がすべきでないと言っていたことそのものではないか?と思ってしまったわけです。
当地のオープンないいところで
、昨晩遅く質問(論文と新聞記事が一致していないように思える)を送ったら今朝早くあっという間に返事がかえってきまして(!)、一応ファン風な学生からの私信にお答えいただいたということなのでお返事の英文そのまま貼り付けることは差し控えますが、訳すと以下のようなことでした。
溜め息
決め打ち取材はこちらが何を言おうと都合のいい部分しか取り上げてくれませんが、Kent Calder氏のような学者にまでその弊害が、しかも一番不本意な形で及ぶとは。しかしこの記事よく見ると、よく工夫された味わい深い記事になっていて、
というリード文と、Kent Calder氏のコメントの
ってよ~く読めば無関係な二つの文を並べただけで、ウソじゃない記事になっていますね。う~ん、もう芸術の域です![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyos.gif)
別に決め打ち取材そのものが悪いとは思わないし、仮にも「ジャーナリスト」なら書きたいことがあるのはむしろ当然とも思うのだけど、書きたいことが誤りだと分かったら方向転換
する勇気が必要というか、モノには限度があるというか、取材協力者の意に反したウソぎりぎりの記事はよくないんじゃないか(そういえば向井亜紀さん v. TBSも意に反した引用の仕方でしたね)、ジャーナリスト魂みたいなものはみじんもないのかい?という気がします。それでも主張したいことがあるならいっそ表に出て署名記事にしたらいいんじゃないの?
そういえば時期が時期(憲法記念日直前)で、同じ政治部の国政担当の関連?フォローアップ記事も出ているようなので、どうやら一連のキャンペーンみたいですね。
まあ新聞記事にも不可避な限界がある、一言で言うとそんなものだ(コシ・ファン・トゥッテ)と思っていれば、目くじらを立てることもなくへぇ~
で終わりますし、メディア・リテラシーなんて言葉も使い古されてきて、そう思っている人は大いに増えているんでしょう。未知の問題を指摘する場合もこれあり、それでもなお重要な役割を担っているとは思うのですが、しかし結局「そんなもの」に対して各種の特権を認める(記者クラブとか、再販・特殊指定)ことが適当かどうかはまた別の議論です。
ちなみに他のタイプのことは近くないそのうち気が向いたときに。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_shock2.gif)
で、ネタになりやすいのは何かというと、差別化を図った記事ってことになって、結果として、他が取り扱っていない記事(所謂スクープ)が重宝されることになるんでしょう。まあそうはいっても大半は横並び報道なんでしょうけど。んで、差別化を図った記事にも2種類あると思っていて、
1)記者がネタをもらう立場の場合;
この場合もさらに、情報提供者の意に反する場合(すっぱ抜き)と反しない場合(リーク)の二種類ある気がする
2)記者が能動的な場合;
こっちのタイプは「事実を集めてそれを伝える」のではなくて、「書きたいことがあって、それに都合のいい材料を集める」ものですね。
別に私は世に花盛りのマスコミバッシングに今更加担するつもりはなく(彼らには彼らの役割があるという気もするし、結局は・・・Well, that’s their jobなので)、はたまた政治的に右でも左でもなく、いや「新聞記事ってそんなもんだ」と思っておかないと困ったことになるよね、と改めて思ったので忘れないうちに書いておこうというだけです。今回は記者が能動的な場合(勝手に決め打ち型と呼んでいます)について。
何を見て思ったかというと、朝日新聞の30日のこの記事。
日本の歴史問題、米国専門家も懸念 アジア戦略と対立
専門家といっても引かれている例えばKent Calder氏は大使館のアドバイザーも務めたような方で、見出しの驚きをひきずって記事に書かれた氏のコメント
「戦争を正当化することは、日本と戦った米国の歴史観と対立する。異なった歴史解釈のうえに安定した同盟は築けない」 「多くの米国人が靖国を知るようになると、日米関係の障害となりかねない」 |
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ちなみにKent Calder氏の最近の論文China and Japan's Simmering Rivalry(Foreign Affairs 3月4月号←注:オンライン購入も簡単です)では、
○日中関係がエネルギー問題や歴史問題で悪化している。これは問題。日中関係の安定化がアメリカの国益にもかなう。
○アメリカとしては、
・まず何より日米同盟(経済面含む)を強化すること
・次に日中間の対話、特に非政府間の対話を促進するよう努めること
・アメリカ政府の人間がデリケートな日本の戦没者慰霊の問題に立ち入らないこと
が主張されています。特に最後の点ですが、ここ最近検討されてきた無宗教慰霊施設の建設も日本国民の選択肢と言及しつつもあくまで日本国内の問題であることをヒトキワ強調しておられ、朝日の記事のような言及は彼がすべきでないと言っていたことそのものではないか?と思ってしまったわけです。
当地のオープンないいところで
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私は、特に現職や過去政府の経験がある外国人が国内問題に入るべきでないと強く思っているが、朝日新聞は私を、不適切に、私がそう思っている国内問題に非常に近づけてしまった(the Asahi Shimbun pulled me inappropriately very close to a domestic matter)。 既に朝日新聞にはインタビューの翻訳ミスについて抗議したところ。インタビューは***の自宅で数週間前にあったもの。インタビューの長文記事は5月4日に掲載される予定で、私の国内問題に立ち入らない決意をもう少し繊細に扱っていてほしいものだ。*(私の意図を明確にするため)*、明朝インタビューをした***論説委員と会う予定だ。 |
溜め息
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「(形容詞節)靖国神社が示す歴史観は先の戦争を正当化するもので」 |
「戦争を正当化する~」 |
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyos.gif)
別に決め打ち取材そのものが悪いとは思わないし、仮にも「ジャーナリスト」なら書きたいことがあるのはむしろ当然とも思うのだけど、書きたいことが誤りだと分かったら方向転換
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そういえば時期が時期(憲法記念日直前)で、同じ政治部の国政担当の関連?フォローアップ記事も出ているようなので、どうやら一連のキャンペーンみたいですね。
まあ新聞記事にも不可避な限界がある、一言で言うとそんなものだ(コシ・ファン・トゥッテ)と思っていれば、目くじらを立てることもなくへぇ~
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/niwatori.gif)
ちなみに他のタイプのことは近くないそのうち気が向いたときに。
特殊指定という特権が維持されることになってしまいましたが、「そんなもの」に対する特権を維持して良かったのか大いに疑問が残るところです。
しかし、これだけの実情が分かった今、できれば産経等、他の新聞社へ情報をリークしたかった…
別に、このブログの管理者さんを責めているわけじゃありません。
むしろ、こうやって当事者に問い合わせて裏を取るという行動力に脱帽します。
おっしゃるとおり、日本の報道の奇妙さは国内にいても勿論体得できるんでしょうが海外から見てみると一層際立ってイヤでも見えてしまう気がします。何でそんなに他国での評判ばかり気にするんでしょうネ。都合よく利用しているだけだったり取材力が足りなかったりしているせいなんでしょうけど。。。
私は現在海外に住んでいますが、日本の報道で流される現地からの肯定的なニュースでも、現地に住んでいると「おや?」と思ってしまいます。
日本のマスコミなんてそんなもんなんでしょうね。
TB頂いたくっくりさんのエントリのコメント欄で拝見したところ、その後のインタビューではかなり注意深く&素っ気無く対応しているようです。
>itaruoさま
自分のためのエントリですので(「初めに」をご一読ください)恐縮の極みですが、その上で授業の一助になるのであれば身に余る光栄です。
殆ど工作活動だろうと思っていましたが>関連報道
想像より数段酷かったです、
それにTBSと朝日が共作するようにほぼ同時に
今回のアメリカからも止めろと言われていると
いうようなキャンペーンをやっているのが気に
なります。
Kent Calder氏については、
朝日サイドはその後全く訂正報道も記事も
行っていなく伝え方も一切変っていないと
いう事を伝えた上で
表立って朝日のやり方を暴露して抗議した方が
良いとアドバイスした方が良いんじゃないでし
ょうか。
>じゅんさま
>七誌さま
結局私のエントリの趣旨は、本文にも書きましたが「『新聞記事ってそんなもんだ』と思っておかないと困ったことになるよね、と改めて思ったので忘れないうちに書いておこう」という以上のものではありません。換言すれば、七誌さんのおっしゃるとおり、「ようするに鵜呑みにするな」と改めて自分に言い聞かせようというものです。その意味で皆様のような方は記事なりブログなりを読んで鵜呑みにすることが既にない方ですので、私の何歩も先を行かれているのではないかと思います。
実は毎日読者さまのご指摘は、朝日新聞の件の記事への反駁或いは断罪を試みるものであるとする限りにおいて全くその通りであると思うのですが、上記のような趣旨に鑑みて御寛容をお願いたいと思います。予定通り4日にインタビュー記事が掲載されており、聞き手も「論説委員」で一致していることにも鑑みて信用性があるかないかの御判断はお任せします。ここが自分のための一人称ブログであるということが分かりにくかったのも事実ですので「初めに」を設けました(設けていなかったのはそうする必要がこれまでなかっただけです)。
もう一点、コメントを頂いた神楽坂通信社さんがリンク先のエントリでご指摘なさっていますが、今回の記事が残念なのは、既に貴重な存在のカルダー教授をいいように利用し(ようとし)たことにもあります。じゅんさまが慮って頂いているとおり、私信を公開されていい思いをするハズはなかろうと思うところ、彼が又してもいいように利用されるのは、しかも私自身によってそうなるのは不本意至極ですのでこの点も何卒御容赦ください。
私が今回の記事にがっかりしたのは、意図に反して都合のいい部分だけ取り上げる手法それ自体も理由ですが、さらにその被害者が米国でもはや絶滅危惧種一歩手前の日本専門家であったからでもあり、リンク先のエントリでのご懸念に激しく同意します。
引用頂いてありがとうございました。しかしそんなデスクの指示で記者が動くのであれば、デスクのストーリーにピタっとはまる素材を持って帰る記者が優秀ということになるでしょうね(汗)。ジャーナリストがジャーナリストでいることを許さない環境に思えます。
>猫だぬきさま
私はネットでたまに日本の報道に接するぐらいなのですが、独り歩きを始めているんですね。別に「誰々が××」云々気にせず自分の意見なら意見で堂々とおっしゃればいいのではないかと思ってしまいます。
朝日新聞もいくら金をかけてアメリカに社員送っても絶対信用できるとは言えない。
ようするに鵜呑みにするなということ。
新聞に書いてあったからテレビで言っていたからとか、そんなもので信用しすぎる人が多いように思う。
最近はテレビを信用しなくなってきている人が多いと統計が出ているそうですから、よくはなってきているんだろうけどね。
朝日新聞は、わざわざ記者をアメリカに派遣して記事にして、コストをかけているのですよ。そして、読者はお金を払って新聞を買っている。それに対して、個人が気ままに更新しているブログに同じような信用性を求めるのですか?
それからメールの全文の公開を要求しているが、あなたは他人からの私信を勝手にインターネット上に公開するような、無神経で、信用ならない人間なのですか?あなたにメールを送る人は用心しなければなりませんね。
それに、全文が公開されたところで、それが本物であることを、あなたは、どうやって検証するつもりですか?
まったく、ずうずうしいというか、あなたの偉そうな態度に腹が立ちました。
いったい、どんな風にしたところでブログの信用性なんてありませんよ。
某巨大掲示板のリンクからきますたw
さっそくですが、ちょっと厳しいことを言わせてもらいますネw
>当地のオープンないいところで、昨晩遅く質問(論文と新聞記事が一致していないように思える)を送ったら今朝早くあっという間に返事がかえってきまして(!)、一応ファン風な学生からの私信にお答えいただいたということなのでお返事の英文そのまま貼り付けることは差し控えますが、訳すと以下のようなことでした。
とありますが、朝日の捏造や歪曲を問題視しておきながら、自身はメールのやりとりの原文を公開せずに、(公開しずらい事情はあるにせよ)ただ翻訳、要約だけを掲示してあれこれ断罪してしまうというのはいかがなものでしょう?
第三者から見て、これでは朝日といっしょとまでは言わないまでも、容易には信用しずらいのですがw^^;
というわけで願わくば、メール原文の開示を希望したいです。^^気を悪くしないでネw
応援してますよw
神楽坂通信社というブログを運営しています。
興味深く拝見させていただいています。
さて、
「パンダとそらまめ」様の
上記の文章を引用させていただきました。
http://diary.jp.aol.com/sz7uqrd/
差し支えあるようでしたら、
ご連絡していただければ幸いです。
かげながら応援しております。
先日は、TBをいただきありがとうございました。
「靖国参拝を続けることは日米関係にとっても良くない」「アメリカも首相の靖国参拝に反対している」という新しい論調が、朝日のみならずTVでも採用され、独り歩きを始めつつあります。
くっくりさんが記事にされた「朝ズバ」での加藤発言は、私も放送を見ていたのですが、とても恣意的なもので不愉快でした。
数日前に そらまめさんのエントリーを読み、「朝日新聞が火も煙もないところに自ら放火して、アメリカとの靖国問題を作り出そうとしている。」と、今後の成り行きを警戒していたところに、あの番組だったものですから、いても立ってもいられず、保守系ブログの中でも影響力の大きい「ぼやきくっくり」さんに、そらまめさんの突撃取材を紹介させていただきました。
くっくりさんのご紹介があったあと、拙ブログが爆発的なアクセス増となったため、もしかしたら そらまめさんもびっくりされているかもと思い、あわててご報告に参りました。
事後報告の形になり、申し訳ありません。m(_)m
改めて、今回の そらまめさんの勇気ある突撃取材と、ブログでの情報公開に敬意を表します。
はじめまして。くっくりと申します。
拙ブログで紹介させていただきましたので、TB貼らせていただきました。ご挨拶が遅れて申し訳ありません。
この種の情報操作・印象操作というのはどんな新聞・テレビでもありがちなんですが、朝日新聞は特に悪質なケースが目立ちますね。目的のためなら手段は選ばないというか。
また、上でそらまめさんもコメントされているように、「見出し」や「要約」で印象操作をするというのもよく朝日が使う手法です。本文をよく読んでみたら、「見出し」や「要約」とは何かトーンが違うなあ、と感じることが多々あります。
新聞を隅から隅まで読む人はなかなかいないですからね。「見出し」や「要約」で朝日の望む方向に読者を誘導するわけです。
カルダー氏のケースは違うと思いますが、月刊「WiLL」という雑誌に昨秋載った記事によれば(朝日新聞社員の匿名座談会特集)、『識者談話』もどうも危ういらしくて、朝日新聞のある名物デスクは、識者談話を取る前に「予定稿」を書いて、「こういう話をする識者を捜してこい」って記者に渡していたそうです。で、予定稿と違う話を聞いてきちゃうと、自分の原稿に合わせて、強引に書き換えてしまうと。
まあそんなこんなで、マスコミというのは本当に信用ならんなあと思う今日このごろです。
このインタビュー内容なら納得というか、彼の論文のトーンとも大分近いですね。彼の関心は日中関係の安定化であり、それは米国にとっても重要な問題であり、米国もそのために何かできないか、ということで、その問題意識が何とか現れています。
もっとも、記事の右端にある論文の要約のようなものは4月30日付けの記事よりも犯罪的ですね。「ポスト小泉の指導者が、アジアとの対話路線を進め、靖国参拝を慎むことができれば」というのは、彼の処方箋の一部をやや脚色して抜き出したものに過ぎません。靖国については、無宗教追悼施設の検討とともに、靖国参拝を「それとなく」慎むべきとしていますし(政治問題化すべきでないという発言と一致します)、その他の提言(首脳会談の再開、エネルギー環境協力、他のアジア諸国との連携強化)は全く無視しています。
スペースが限られているから仕方ないというのは筋が悪いいい訳にもなりません(歴史問題にフォーカスしているわけでは決してない)。
ぼやきくっくりさん経由で、おじゃまします。
朝日新聞インタビュー記事ですが、手元の紙面をスキャンしましたので、宜しければご参照下さい。
朝日新聞 5/4 12版 9面 オピニオンページ
http://myjulia.gum.buttobi.net/imgs/1154.jpg
上記で見られない場合は、下記からどうぞ。
http://myjulia.gum.buttobi.net/index.html
→No.155 060504 asahi
差し障りがあるようでしたら、コメント削除してくださって結構です。
そんなに書きたいことがハッキリしているならインタビューなんかせずに「私の意見です」とハッキリ言えばいいのにとつくづく思います。
先日の胡錦濤&ブッシュ会談で、あえて議題にすることを避けたという靖国問題について、わざわざこのタイミングで苦言を呈する学者さんとは一体ナニモノぞ?と思ってました。なるほど、朝日新聞はこういう『操作』を外国の学者の名前まで使ってやるんですね。納得です。
それにしても、メールで突撃取材された行動力には脱帽!見習いたいところです。