「しかし戦争が始まった。実に上手い具合にな。戦争は少しずつ私の心の痛みを消し去ってくれた。そして三ヶ月後に左足に榴弾を受け、広報に移送されるころには私ももうずいぶん落ち着きを取り戻していた。移送の最初の夜、私はある村の接収されたホテルに泊まることになった。立派な部屋だったよ。広くて気持の良い続き部屋で、ガラス張りのヴェランダまで付いていた。私が若い女の亡霊を見たのはそのヴェランダにある籐椅子の上だった」
「亡霊?」
「ああ、若くてとびきり美しい娘だった。何もかも忘れてしまいそうなほどに美しい娘だった。完璧な美、完璧な若さ、完璧な若さ、あんたはそういったものを見たことがあるかね?」
「いいえ」
「私はヴェランダのその籐椅子の上でそれを見たのさ」