ホビット

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

じゅうにのに

2005-02-11 07:01:42 | 日記・エッセイ・コラム
IMGP0326

 獣たちはいつも腹を減らせていたけれど、彼らのプライドはそれにもまして強いものだった。公園のベンチで僕がさし出すパン屑を、彼らは何度も迷ってから、遠慮がちにそっと食べた。彼らが食物を奪い合い光景を僕は一度も見たことがない。強い牡たちは老人や子どもたちのために僅かなパン屑の半分を残しておいてやるのが常だった。
 冬が迫り来るにつれ、彼らの深い湖のような青い目は、その哀しみの色を少しずつ増していった。木々はその葉を地面に落とし、草は枯れ、飢えの季節の迫り来ることを彼らに教えていた。白い季節の死を。