じゅういちのきゅう 2005-02-05 10:09:02 | 日記・エッセイ・コラム 老人はコーヒー・カップを手にしたまま部屋を横切り、ぴたりと閉めきったブラインドを指で開き、そのすきまから外の明るい風景を眺める。 「太陽の光ほど素晴らしいものは世の中にはない。そうは思わないか?」 「そのとおりです」 「なぜ予言者になんてなったんだい?選りに選って」 「そこしか場所がなかったんですよ、大佐。そこしかね。この街に入り込むためには、それ以外に道がなかったんですよ。仕方ないじゃありませんか?」 「たとえ光を失ってもか?」 僕は肯く。「どうしてもこの街に入りたかった。それだけです」