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じゅうにのさん

2005-02-12 13:21:02 | 日記・エッセイ・コラム
IMGP0330

 そんなある日、霧のように細かく、そして氷のように冷ややかな秋の雨の下で、僕は君を抱いた。目には見えぬほどの細かな水滴が、君の前髪をその広い額にやさしく貼りつけている。君は目を閉じ、君の柔かな唇は僕の唇の下で微かに震えていた。 
 雨。
 秋の雨は僕たちのまわりをいつまでも降りつづけていた。始まりもなければ終りもなかった。月もなく、、星もなく、夜啼鳥の声もなかった。岸辺に沿って並んだ川柳がその細い枝の先からゆっくりとしずくをしたたらせているだけだった。