蚊のような人だった
気がついたときは血を吸われていた
萌(もえぎ)さんの話は奇妙だった
普段見慣れた風景も
萌さんが 話すと輝いてくる
川の中の小魚 道端の小さな虫
家に当る光 風 聞こえてくる音
そんな日常の何気ないものまで輝いてしまう
世間話を淡々としているのだが
まるで絵の中に吸い込まれていくようだった
萌さんの生活は自然そのものだ 携帯電話も無い ファックスも無い
電話はあるが受話器はとらない テレビも無い ラジオはあるが好きな音楽を聞くだけ
人との連絡は手紙でことをなす 駅のポストまで投函にいく
相手に届く頃は相手のことを考え返事を待つ楽しみを味わう
引き戸が好きでサッシはだめ 窓は外してオープンにする
そこでコーヒーを点て パンを焼き ゆったりと音楽を聴き朝食をとる
クーラーも無い西日対策は 竹を植えて日陰を作る
そこにあたる木漏れ日を見るのが好き そこを通る風が好き
小さな虫の命も大事にする 通り道のくもの巣も払わず丁寧に横に移動した
やぶ蚊までしっかり見る やぶ蚊が血を吸う時は 祈る姿をしているといった すごい人だった
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小さなこと全てをあたりまえではなく小さな感動にしていらっしゃるのでしょうね。
そういうことは心がけているつもりですが、なかなか生活全てが潤うような心にまではならないです・・・
私もお話を聞いてみたいものです。
萌さんは今にも倒れそうな華奢な方でしたが 声は良く自作の朗読などすばらしかったです
ケイタイで脳腫瘍が米国では増えているとといってもたないそうです 車もなるべく乗らない電車できました 独自の世界を持った方でした
見方によってはそうも見えます そんな風に見ている人も多いかと思いました 私は芸術家はそういうもんかと思いました 「あそう」地域に住むDNAかな・・
たまたま環境に適応できた人もいるという事でしょうか?
萌さんは都会育ちで 現在所沢の駅近くにお住まいのようです 都会にいると田舎に憧れ 田舎にいると都会に憧れます でも終の棲家は元の環境でしょうか