妻の職場の月見にススキが欲しいと言うので土手で一握り刈って車に積んだ
道端の石材店の敷地には 前から気になるススキもある 鷹の羽ススキ
見てくれがよく欲しいが 店は留守 看板見て電話するが中から聞こえるベルの音
ひと握りだけだから無断で採ろうかとも思ったが やはり気がひけた
諦めて 帰ろうとした その時に人が来た 店の人だった
その人の娘さんが華道をやっているときに植えたものだと話した
わけを話すと「どうぞどうぞ好きなだけお持ちください」
「刈り取って畑にでも入れようかと思っていた」
と あくまでも好意的な人だった それで気を良くして 根を分けてもらった
ひと握りは職場の花瓶へ 根は自分の土地の片隅に植えた
それは去年のこと それが育ってきた 鷹が鷹を産んだ