21時ごろ山の中腹に車を止めて門前の階段を登る 木立で足元まで月光は届かない
手すりをつたわり一歩一歩登っていく 途中山門の敷居につまづきながら
二百十数段の階段を登りきると 境内に着くがそこには誰もいない
しかし 僧侶の読経が聞こえる本堂の中には参拝者が大勢詰め掛けていた
22時頃になるとお堂の扉は閉められ薄暗い照明が全部消され 真っ暗になる
隣の人まで見えなくなるほどの真っ暗闇で その中で鐘と太鼓が打ち鳴らされる
会話も出来なく何も見えないので ただ黙って身動きもせずひたすら闇の中で孤独に耐えている
その闇の中に今日まで自分が犯した罪や邪心を全部吐き出してしまうのだ
鐘と太鼓は10分ぐらいだろうがずいぶん長い時間に感じる
参拝者の邪心が 闇の中に充満する
そのうちに床を叩く音が鳴り響く 鬼がやってくるのだが姿は見えない
皆の邪心を出し切った頃を見計らって 3匹の鬼が火の着いた松明を片手に現れ
狭いお堂の中を暴れまわる その炎で闇のなかに出した参拝者の邪心を焼き払うのだ
それでもまだ暴れまわる鬼を 僧侶の読経で外に追いやる
たまらなくなった鬼は手にした松明を外に放り投げて逃げてゆく
その松明を拾うと無病息災で縁起がいいといわれ境内で奪い合って取り祭りは終わった
参拝者は身も心も浄化され新生された人となり山を降りる
これが島田市千葉山智満寺の奇祭鬼払いです 毎年1月7日の夜です