ほんわか亭日記

ダンスとエッセイが好きな主婦のおしゃべり横町です♪

「パン屋のパンセ」

2012-07-17 | 読書
2012年7月17日(火)

友人から、杉崎恒夫の歌集「パン屋のパンセ」(六花書林)を借りた。
90歳で亡くなった歌人で、その70代~80代の頃の作品集だそう。
「センスが瑞々しいの」と、友人のお墨付きだったけれど、本当にそう。(^^)

ジーンズのヒップが去って百あまりれんげの花がああ起き上がる

滄海に自在のくじら泳がせて地球は春の軌道をめぐる

陽をあびるカナヘビの子よやわらかいシッポにちょっと触っていいかい

クリオネは氷の下にほのかなる命を点す わたしはここです

・・・れんげの花とか、カナヘビ、クリオネと生き物たちへの視線が優しい。
   昨日、小アリ退治に目の色を変えたココロが恥ずかしいです・・。(^^)

北天の暗い星座のはざまにて獣類たちは隠し絵となる

わが胸にぶつかりざまにJe(ジュ)と鳴いた蝉は誰かのたましいかしら

ペルセウス流星群にのってくるあれは八月の精霊たちです

微粒子となりし二人がすれ違う億光年後のどこかの星で

・・・東京天文台に長年勤められた作者の見る宇宙の広さ・・。
お盆だし、ダンナのことも思い出すなあ。

パンセパンセパン屋のパンセ にんげんはアンパンをかじる葦である

アンパンの幸福感をふくらます三分の空気と七分のアンコ

バゲットの長いふくろに描かれしエッフェル塔を真っ直ぐに抱く

・・・パンがお好きだったんですね・・。う~んと思える視角だわ。(^^)

三月の雪ふる夜に出す手紙ポストのなかは温かですか

あたたかい十勝小豆の鯛焼きのしっぽの辺まで春はきている

・・・春の気配の待たれる様子・・。(^^)

この街の黄色い点字ブロックを辿っていったら夕焼けだった

・・・目の前に開けた広い空と夕焼けの美しかったことでしょう。


70代、80代の方の胸の中に、こんな広々とした、優しい世界が広がっている
ことが伝わってきて、ウィステの心にも清々しい風が通っていった・・。


と、歌集を読んで落ち着いた一日だったが、夕方、ムスメからヘルプコール。
ゆ~ちゃんが熱を出したと~!
それ~っと、これから、ムスメの家に駆けつけます~!!


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする