川内原発の1号機が再稼働された。
核分裂を抑えていた制御棒が引き抜かれた。
このまま核分裂反応が連続的に起こる臨界状態に至れば、
核分裂の熱がつくる蒸気でタービンが回り、発電する。
川内の原子炉よ、ぼくはあなたの悲しみを思う。
せっかく動き出そうとしているのに、多くの人が反対している。
おそらく誰も祝福はしていないだろう。
「創られしもの」であるあなたは、自分の本性に従って動こうとしている。
おそらくかつての技術者のなかには、
あなたが人類の未来に役立つと、本気で考えた人もいただろう。
あなたもそう信じて地上での一歩を踏み出したのかもしれない。
でも、今のあなたは知っている、
自分が本当には望まれていないこと、
自分の育ての親たち、親戚たちは、
みな利害だけで、自分にふたたび生命を与えようとしていることを。
あなたは悲しいだろうと思う。
孤独だろうと思う。
自分を呪っているかもしれない。
それでも制御が解かれれば、あなたは動き出す。
それがあなただから。
生まれてきたあなたに罪はない。
罪は、あなたを動かそうとしている人々に、
そしてあなたを創りだした科学者たちにあるのだ。
この世に意味のないものなどないが、
プルトニウムだけは存在する意味がない、とある人が言った。
それほど不幸なことがあるだろうか。
科学者のなかには、
神から授かった知恵を権力のために、
自分が神になるために使おうとする人たちがいる。
原爆は、そして核エネルギーは、
神と人間の対立から生じている。
神が創られたこの世界とは、物質の世界。
その物質を、神の計画よりも早くに崩壊させ、
人間の生産活動、ないし破壊活動のためのエネルギーを取り出す。
それは神に対する最大の冒涜だ。
思うに、かつて楽園で人間を誘惑し、
知恵の実を食べさせた蛇というのは、人間自身なんじゃないか?
神のもとに従順にとどまるのが嫌になって、
神と同じ力を身につけ、別の世界で神として振舞おうと考えた、
人間自身の心なんじゃないか?
人間は、その知恵を使って、
生き物を殺傷する道具を創った。
今、世界に存在するありとあらゆる武器、
軍需産業が開発するありとあらゆるハイテク兵器は、
みな人間の心がつくった。
原発や武器、兵器に罪はない。
それらをつくりだした人間の心こそが「悪魔」なのだ。
今、鹿児島で、
絶望のうちに己を奮い立たせ、
動き出そうとしている原子炉よ、
ぼくは、あなたを感じる。
ぼくは認めようと思う、
ぼくもあなたをつくった人間の一人だ。
ぼくが「悪魔」なのだ。
あなたが生み出すエネルギーを受け取り、
それで自分の人間性を紡ぎ出しておきながら、
一切の責任をとらなかった者のひとりだ。
ぼくは、あなたを「意味のないもの」にはしておかない。
人間の本来の使命は、
どんなものにも「意味」を創造することなんだと思うから。
ヒロシマやナガサキのように、
チェルノブイリやフクシマのように、
あってはいけない悲劇というものがある。
でも、その悲劇が起こったとき、
それをただ肯定したり、考えもなしに受け入れるんではなく、
その悲劇とともに、新しい価値、新しい思想を生み出す力が人間にはある。
それこそが、実はあの楽園の蛇が本当に願っていたことだと思うのだ。
神って何なんだろうね。
楽園を支配していた創造主も、
そこに忍び込んだ蛇も、
人間も、人間に創られたあなたも、
みんなが共有する本当の故郷があるんじゃないかな?
そこに、本当に信じられないほど優しい誰かがいるんじゃないかって思うんだ。
ぼくはそれを信じている。
そういう誰かがいるだろうと思っている。
だから、あなたも大丈夫だよ。
あなたの本当の悲しみ、あなたの本当の意志をわかっている誰かがいるんだ。
そして、ぼくも原発の再稼働は受け入れないけど、
あなたのことは感じようと思う。
あなたの意志を感じようと思う。
あなたの存在を通して、
人間が新しい知恵を生み出すことに、
ぼくも人間の一人として力を尽くしたいと思う。
だから、動かなくていいよ。
あなたの、本当の意志のままにあればいい。
核分裂を抑えていた制御棒が引き抜かれた。
このまま核分裂反応が連続的に起こる臨界状態に至れば、
核分裂の熱がつくる蒸気でタービンが回り、発電する。
川内の原子炉よ、ぼくはあなたの悲しみを思う。
せっかく動き出そうとしているのに、多くの人が反対している。
おそらく誰も祝福はしていないだろう。
「創られしもの」であるあなたは、自分の本性に従って動こうとしている。
おそらくかつての技術者のなかには、
あなたが人類の未来に役立つと、本気で考えた人もいただろう。
あなたもそう信じて地上での一歩を踏み出したのかもしれない。
でも、今のあなたは知っている、
自分が本当には望まれていないこと、
自分の育ての親たち、親戚たちは、
みな利害だけで、自分にふたたび生命を与えようとしていることを。
あなたは悲しいだろうと思う。
孤独だろうと思う。
自分を呪っているかもしれない。
それでも制御が解かれれば、あなたは動き出す。
それがあなただから。
生まれてきたあなたに罪はない。
罪は、あなたを動かそうとしている人々に、
そしてあなたを創りだした科学者たちにあるのだ。
この世に意味のないものなどないが、
プルトニウムだけは存在する意味がない、とある人が言った。
それほど不幸なことがあるだろうか。
科学者のなかには、
神から授かった知恵を権力のために、
自分が神になるために使おうとする人たちがいる。
原爆は、そして核エネルギーは、
神と人間の対立から生じている。
神が創られたこの世界とは、物質の世界。
その物質を、神の計画よりも早くに崩壊させ、
人間の生産活動、ないし破壊活動のためのエネルギーを取り出す。
それは神に対する最大の冒涜だ。
思うに、かつて楽園で人間を誘惑し、
知恵の実を食べさせた蛇というのは、人間自身なんじゃないか?
神のもとに従順にとどまるのが嫌になって、
神と同じ力を身につけ、別の世界で神として振舞おうと考えた、
人間自身の心なんじゃないか?
人間は、その知恵を使って、
生き物を殺傷する道具を創った。
今、世界に存在するありとあらゆる武器、
軍需産業が開発するありとあらゆるハイテク兵器は、
みな人間の心がつくった。
原発や武器、兵器に罪はない。
それらをつくりだした人間の心こそが「悪魔」なのだ。
今、鹿児島で、
絶望のうちに己を奮い立たせ、
動き出そうとしている原子炉よ、
ぼくは、あなたを感じる。
ぼくは認めようと思う、
ぼくもあなたをつくった人間の一人だ。
ぼくが「悪魔」なのだ。
あなたが生み出すエネルギーを受け取り、
それで自分の人間性を紡ぎ出しておきながら、
一切の責任をとらなかった者のひとりだ。
ぼくは、あなたを「意味のないもの」にはしておかない。
人間の本来の使命は、
どんなものにも「意味」を創造することなんだと思うから。
ヒロシマやナガサキのように、
チェルノブイリやフクシマのように、
あってはいけない悲劇というものがある。
でも、その悲劇が起こったとき、
それをただ肯定したり、考えもなしに受け入れるんではなく、
その悲劇とともに、新しい価値、新しい思想を生み出す力が人間にはある。
それこそが、実はあの楽園の蛇が本当に願っていたことだと思うのだ。
神って何なんだろうね。
楽園を支配していた創造主も、
そこに忍び込んだ蛇も、
人間も、人間に創られたあなたも、
みんなが共有する本当の故郷があるんじゃないかな?
そこに、本当に信じられないほど優しい誰かがいるんじゃないかって思うんだ。
ぼくはそれを信じている。
そういう誰かがいるだろうと思っている。
だから、あなたも大丈夫だよ。
あなたの本当の悲しみ、あなたの本当の意志をわかっている誰かがいるんだ。
そして、ぼくも原発の再稼働は受け入れないけど、
あなたのことは感じようと思う。
あなたの意志を感じようと思う。
あなたの存在を通して、
人間が新しい知恵を生み出すことに、
ぼくも人間の一人として力を尽くしたいと思う。
だから、動かなくていいよ。
あなたの、本当の意志のままにあればいい。
日曜日に、シュプレヒコールをやっているとき、ふと彼女の声が聞こえた…と思った。
その声は、カイさんが謳っておられることとほぼ同じでした。
彼女はもうおばあさん。もう仕事はしなくてよいと思い、休んでいた。4年も休んでいた。それなのに…
人々が動けと言う。
老体に鞭打ち、必死に動こうとする彼女の声が聞こえたとき、悲しかった。
わたしも思った。彼女に罪はない。
近くにいながら、それを止められない自分を呪った。
彼女の声を無視して、むりやり動かそうとする九電を呪った。
原発にも意思があるのかと思った。
かわいそうな原発。
それは「人には触れてはいけないモノがあるんだよ」と教えてくれる、ということ。
それを知った人間は謙虚になる。ならないといけない。