子どもの本がおもしろい㊳ うねゆたかの田んぼの絵本(全5巻)
宇根豊・作/小林敏也・絵
定価:揃 14,850円/各 2.970円(税込)
ISBNコード:9784540201011
発行:2021/3
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:AB 各36ページ
第1巻 田んぼの四季 なぜ赤とんぼは人間に寄ってくるの?
第2巻 田んぼの動物 足あとにオタマジャクシが集まるのは?
第3巻 田んぼの植物 草刈りしないといけないのはなぜ?
第4巻 田んぼの環境 土に石ころがないのはなぜ?
第5巻 田んぼの文化 なぜ正月はやってくるの?
農文協の編集室から
「全国の小学校で行われている、田植えや稲刈りの体験。でも稲作にかかわる四季の仕事のもつ意味や、
それを田んぼやその周辺の動植物や環境とつなげて考えることはあまり多くありません。
この絵本では農家(お百姓)と子ども、そして田んぼの生きものたちとの対話をとおして、生きものの視点から田んぼという環境への理解を深めていきます。
田んぼをめぐる素朴な疑問に答えながら、「田んぼ」という身近な環境が、農家の仕事をとおして保たれていることがわかる絵本です。」
小学校5年は社会で日本の農業について学習する。多くの教科書会社の教科書で、「家庭で食べている米の生産地、品種などを調べ、白地図にまとめる。」「米作りとして、山形県の庄内平野を取り上げ、日本有数の米の生産地であることを調べる。そして、学習問題(「米を生産方法」「生産者と消費者の立場から農業の発展」など)をつくるのが社会の学習だ。
テスト問題を解くだけの学習になりそうだが、それに環境を付け加えてみるのはどうだろうか。
環境教育の視点を取り入れた学習内容に発展させるとあじけない農業がより興味深いものになると思うのだが、この絵本がヒントを与えてくれる。
本の副題や目次にはつぎの質問があるが答えられるだろうか?
1巻より「なぜ赤とんぼは人間に寄ってくるの?」「北海道で米作りがむりといわれても米をつくりつづけたわけは?」
2巻より「なぜ稲植といわずに田植えというのか?」「足あとにオタマジャクシが集まるのは?」
3巻より「草刈りしないといけないのはなぜ?」
4巻より「土に石ころがないのはなぜ?」
5巻より「だれのために、ごはんを食べるの?」
また、各巻にクイズコーナーが設けられており
たとえば
Q田んぼ中の小さな生き物を見つける一番良い方法はどれでしょう(2巻)
- せめて10秒ほど動かずにじっと見る
- 顕微鏡で見る
- できるだけ広く歩き回ってさがす
Qなぜ代掻きをするのでしょう
など
付録にもいろろな資料が満載
たとえば名前の由来がのっていたり
(2巻)
オタマジャクシ(お玉杓子):調理用具のお玉杓子を小さく した形そのものだからです。
カエル(娃):鳴き声の「ケエーロ」からつけられたのか、必ず産まれた場所に「帰って」くるからつけられたか、どちらかでしよう。
アメンボ(始棒):さわると飴の棒みたいな香りがします。
など
(3巻)
タンボポ(たんぼぼ蒲公英は中国名):茎を切って、断面に切れ目を 入れて、水に浸けておくと、左のように鼓(つづみ)の形になります。鼓の 音は、タン•ポポ•タン•ボボと聞こえます。同じように、鼓の形になる ヒガンバナも、狐(きつね)のタンボボと呼んでいる地方もあります(右)。
カラスノエンドウ(烏野豌豆):熟れた実が豌豆(エンドウ)のさやに似 ていて、しかも真っ黒なので、烏の色にたとえました。
カスマグサ(かす間草):とてもかわいそうな名前です。なぜなら、力と スの間の草というのですから。力はカラスノエンドウで、スはスズメノ エンドウです。この三つの草はよく似ていて、葉と花の大きさが力とス の中間だからです:それにしても、この名前のっけ方はひどいと思いませんか。
カタバミ(片食み酢漿草は中国名):夜になると葉が閉じて、半分何 かに食べられたように見えるから。「食(は)む」は「食べる」という言葉 の古い形です。
など
インターネットでは調べ切ることのできない内容がいっぱいの5冊です
しかし、気になるところがひとつ
2巻の田んぼの植物p17にあるカンサイタンポポの画像が
白いタンポポが掲載されている。黄色に見えるようにしていただくと誤解が少ないと思うのだが
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