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原点回帰の mac mini

2005-02-04 10:29:36 | mac
 1984年の初代macの登場は,あまりにも衝撃的だった.それは当時日本で主流だった国産マシンとは,全く次元も,ベクトルも異なる,未来からやってきたスーパーマシンだった.PCの歴史を変えたこの一台は,ハード面や,ソフト面,またマン・マシンインターフェース面から言っても,美しく神秘的,知的で上品なのだが,人を拒絶することなく,ペット的なかわいらしさやユーモアを兼ね備えており,使用者が触れたくなるように設計されていた(ただ弱点として,動作がちょっとスローだったように記憶している).おそらく当時このマシンを購入した者は,20年経った今でも,捨てずに大切に保存していることと思う.

 その初代macを彷彿とさせるマシンが,ついにAppleから登場した.mac miniだ.この新macには2つの特徴がある.その第1は価格だ.モニタやキーボードは付属しないものの,58,590円に抑えられており,今までで最も安価なmacと言えるだろう.この点は初代macとは正反対の印象だ.初代macは,ワークステーションの香りの漂う,高級マシンでもあった.

 もう一つの特徴は,やはりデザインだ.シンプルで落ち着いた外観からは,初代macの持っていた神秘性や,品の良さが感じられる.mac miniがデザイン重視で設計されていることは,よく使用する電源ボタンをわざわざ背面に隠している事からも明らかだ.

 mac miniのケースの色は白と銀で構成されており,1998年に登場した初代iMacのように,ポップな未来のオモチャ的な印象はない.どちらかと言えば銀の食器のように,上品で,清潔感が強く,重みを感じる.このような配色になったのは,mac miniの驚くべきサイズとのバランスを取るためだろう.mac miniは,その名の通り,DVDジャケットサイズと言っていいほど小さく,パソコンと言うより,パソコン周辺機器に近い.mac miniの色合いは,「自分は小さいけれど,周辺機器とは違いのだよ」と主張しているようにも見える.そしてこの小ささが,初代macの持っていた,あの「かわいらしさ」にもつながっていると思う.

 mac miniは,もちろん初代macのように,歴史に残る一台とはなれないだろう.また実際に,このmacが当たるかどうかも,今のところわからない.ただ,PCデザインには,まだいくつもの道があることを示してくれた意義は大きいと思う.初代macで見せつけてくれたApple魂は,まだまだ死んではいないようだ.

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