WaterMind PC Blog

PCとネットワークに関するニュースコラム.

Wikipediaが一時オフラインに!

2005-02-23 09:17:28 | ネットワーク技術
 最近,GoogleでWebサーチをしていると,百科事典ページのWikipediaに当たることが多くなった.Wikipediaは,書き変え可能なページシステムWikiを利用した,ボランティアにより編集されたネット百科事典だ.このフリーの百科事典は,言語毎に内容が分かれており,もちろん日本語版も存在する.画像等のインタラクティブなコンテンツは少ないが,既に日本語版において10万件以上の項目が記載されており,分野によっては,相当の知識を得ることができる.通常の百科事典には掲載されていない内容も掲載されており,例えば「ガンダムシリーズ登場兵器一覧」などには,モビルスーツの「製造会社名」「ジェネレータ出力」等の詳細までマニアックに記述されている.

 その,Wikipediaが,太平洋標準時で2月21日午後2時15分ごろ,停電により一時オフラインとなったというニュースが入った.記事によると,単にオフラインになっただけでなく,百科事典の内容を保持するデータベースが壊れたため,現在データの復旧作業を行っているとのことだ.23日朝8時現在は,表示自体はほぼ可能だが,普段よりかなり反応が悪い.またまれに,ページが表示され無い場合もあり,この時何度かリロードすることによってようやく表示される場合もあった.現時点では,完全には復旧していないようだ.これからしばらくの間は,Wikipediaの使用に関して,不自由を強いられることになるかもしれない.事件の詳細についてはこちら(英語).またUSAのスラッシュドットにおけるこの事件の議論はこちら

 この記事でまず疑問に思ったのは,「全世界規模で使用されるインターネット上のサーバーが,なぜ停電で止まってしまうのか?」と言うことだ.通常のWebサーバー(ホスティング)ならば,RAIDによるハードディスク障害への対処はもちろんのこと,UPS自家発電により,停電が起こってもサービスを維持できる体制を持ってしかるべきだ.記事によるとWikipediaのホスティング先には,非常用電源があったそうだ.原因は不明だが,その非常用電源が停電時うまく作動しなかったようだ.停電から数分後,すべてのサーバーがリブートしたそうだが,これが非常用電源によるものか,通常の電源が回復したためかは記事には記載されていない.

 また上記リンクの記事から,Wikipediaが,データベースとしてMySQLを採用し,テーブルとしてトランザクション可能なInnoDBを使用していることがわかった.InnoDBは,(トランザクションにおいて)今回のような電源断も含んだ障害に対する耐久性が高いとされているが,他のMySQL(InnoDB)を使用したサイトで起こった同様な事件においては,復旧にかなりの時間がかかったようだ.はたして完全なる復旧にはどれぐらいかかるのだろう?

 今やWikipediaは,インターネット上の知識タンクとして重要なの役割を果たしている.「無料なのだから,ある程度の不自由はやむを得ない」と言えばそれまでなのだが,人々が苦労して蓄積した膨大な知識の塊が,一瞬にして消えてしまうような弱いシステム構成の上に乗っているとすれば,心許ない話だ.ここはGoogleからの申し出をとりあえず素直に受け入れ,より盤石な体制をWikipediaは取るべきなのかもしれない.