猿八座 渡部八太夫

古説経・古浄瑠璃の世界

御礼 高田世界館公演 山椒太夫

2016年04月26日 16時45分35秒 | 公演記録
山椒太夫通し狂言の初演は、昨年の春でした。前半だけでも2時間はかかるので、昨年は、第一部と第二部を二日間の分けたのでした。しかし今年は、一日ごとに、全段を鑑賞できるようにしました。中入りはありますが、4時間の長丁場を、連続二日、無事に勤めることができて、ほっとしています。
4月23日(土)第一日目の舞台の様子。(第2部:厨子王出世段)



今回、初出場の「清水の観音様」が、内陣から揺るぎ出てきます。

都の大臣「梅津の院」は、もう引退の年ですが、跡継ぎが居なかったので、子供を授けてもらおうと、清水の観音様に祈願したのでした。
梅津の院は、よほど信心が篤かったのでしょう、清水の観音様が、直々に現われて、「天王寺に行けば、よい子がいる」と教えるのでした。
実は、丹後の国分寺で助けられた厨子王は、この時既に、天王寺の稚児として拾われていたのでした。



天王寺稚児百人が登場。稚児達も、自分を選んで欲しいと必死、という場面ですが、梅津の院が選んだ子供は、新米の厨子王だったのでした。この時、突然、稚児達が首を振って、「イヤイヤ」をするので、会場がどっと沸きます。

上越高田の世界館まで行かないと、見る事の出来ない場面です。来年の4月にも、山椒太夫世界館公演は、開催予定です。是非、新幹線で、高田においで下さい。

実行委員長の川村先生をはじめ、実行委員の方々、大変お世話になりました。ありがとうございました。来年は、高田チームで人形を遣ってくださいね。

川村知行先生ご退職祝賀会

2016年03月03日 13時12分17秒 | 公演記録
上越教育大学の川村知行先生のご退職祝賀会で、猿八三番叟を舞わせて戴きました。新潟日報の森澤さんから、当日の写真がとどきましたので、掲載させていただきます。二人三番叟は、八郎兵衛師匠と八島。三味線の連れ弾きは、八景でした。おめでたいお席を言祝ぐことができたでしょうか。


御礼 新潟大学主催公演 

2016年02月13日 21時35分21秒 | 公演記録
去る2月11日、新潟市周辺は、晴天にも恵まれ、多くの皆様にご来場戴きました。第5回目の新潟大学人文学部附置文化連携センター主催公演を無事に勤めさせていただきましたことに感謝申し上げます。

鈴木孝庸先生:平家琵琶「先帝御入水」「能登殿最後」、耳なし芳一の内容に合わせて、ご披露いただきました。ありがとうございました。

猿八座「耳なし芳一」

猿八座「貉」
ご存知の通り、今回は、「小泉八雲」シリーズでお送りいたしました。「説経」や「古浄瑠璃」は、ひと味違った「人形浄瑠璃」を、お届けできたのではないでしょうか。

猿八座の次回公演予定は、上越高田「世界館」公演。4月23日(土)24日(日)両日とも「通し狂言 山椒太夫全六段」を予定しております。チラシができ次第、改めてお知らせ申し上げます。


女説経太夫 中村八月

2015年12月24日 08時54分27秒 | 公演記録
八太夫門下といっても、片手以上両手未満ですが、この度、二人目の名取りが誕生いたしました。「太夫中村八月(はづき)」。今後とも宜しくお引き立て下さい。「ギャラリーリーディングおとをたずねて」での「日高川」がお披露目になりました。女性太夫は、もうお一人稽古しておりますが、調子を高くしなければいけないので、自然、私のキーも高くなり、高音域が広がりました。高音の方が、三味線の音は綺麗に聞こえます。当初は、胴声にこだわっていたので、調子を高くすることには、抵抗がありました。しかし、祭文は、唄調子ですので、高い調子で、女性的にやるのも、新境地だなあと思うようになりました。女性太夫方の登場で、奏法にも発展の余地がありそうです。

(於:ギャラリーSUGI 説経祭文 日高川入相桜 天田堤・渡し場)
会場を飾る手ぬぐい「龍」は、「高橋武」作品。清姫は龍となって日高川を渡った。

八太夫門下集合

信太妻 於 新潟市砂丘館

2015年10月28日 21時06分02秒 | 公演記録
関東地方で木枯らしが吹いた日、新潟市は晴れてはいましたが、冬の予感がしました。さて、何度目の「信太妻」だったのでしょうか。何度やっても、「信太妻」は泣けます。殊に古民家は、古浄瑠璃にぴったりの風情ですから、特にしっくりと来ます。四十名近い方々にお越し戴き、会場がいっぱいになりました。誠にありがとうございました。

信太の森に帰った狐は、待ち受ける狩人を、逆に罠に陥れて喜びます。

秋には、説経信太妻を楽しもう

2015年10月05日 20時00分33秒 | 公演記録
狐、蘭菊の花に、蔵れ棲むとは、古人の伝えしごとく、この女房、庭前なる籬の菊に、心を寄せしが、咲き乱れたる、色香に賞でて、ながめ入り、仮の姿をうち忘れ、あらぬ形と変じつつ、しばし時をぞ移しける。

於:新発田市金升酒造

頃しも今は、秋なれば、千草にすだく、虫の声、かれがれになるぞ連木、憂き言の葉に秋風の、そよそよそよと、吹くときは、早稲田晩稲(わさだおくて)に立て張りし、引かで鳴子の音高く、それよと見れば、晩稲(おしね)守る、かがしの姿、見ゆるをも、もし猟人やあるらんと、心細さはかぎりなし。

於:村上市教育情報センター

急に秋めいた週末でした。いろいろな行事が立て込んでいる時期にもかかわらず、地元の方々のあたたかいご支援により両公演を盛況の内に開催することができました。大変ありがとうございました。今月は、もう一度、信太妻を満喫できます。
10月25日(日) 新潟市砂丘館にお出で下さい

府中市立新町小学校 道徳授業地区公開講座で葛の葉

2015年09月19日 16時02分16秒 | 公演記録
 東京都の小学校で行われる道徳授業地区公開講座は、道徳の授業を公開すると同時に、父母や地域の方々と、身近な道徳について考えを深めたり共有する為の機会を提供してくれます。私は、現職時代は勿論、企画する側でしたが、此の度は、教員時代の仲間からお声掛けを戴き、有り難くも講師としてお招きに預かりました。演目は、説経祭文「蘆谷道満大内鑑葛の葉子別れの段」ですが、道徳的には、「互いの違いを尊重し合うことで、自分の世界を豊かに広げよう。」ということで、同じく講師の姜信子氏に、若干の解説をしてもらい、約30分の弾き語りを聴いて戴きました。章句等の映写をしましたが、1年生から6年生まで、皆さんよく頑張って聞きました。大変偉かったです。

中村八月撮影

平成27年 秋巡業の旅 <Project カタリ: 信夫組> & 猿八座 

2015年09月14日 15時06分19秒 | 公演記録
 学生時代に山登りに行って以来、何十年ぶりという九州の公演旅行と、第3回目の「てぃーだかんかん小劇場」が連続して、秋の巡業となりました。行く先々で、皆々様の御声援に支えられ、無事に勤め終えることができてほっとしております。それぞれの会場で、お世話になりました皆々様に、深く感謝申し上げます。

Projectカタリ:信夫組

巡業その1:姜信子作「はじまりはじまりはじまり」出版記念イベント



熊本市の橙書店にて:旅する神「まゆんがなし」が降りる為に、植物模様の服を衣装としました。写真左は、コーディネイター役の熊本大学准教授跡上先生。

巡業その2:熊本学園大学での集中講義に、「語り物」の実演者として、お邪魔しました。

その様子はフェースブックをご覧下さい。

巡業その3:医療法人千歳会 デイサービス みんなの時間 (久留米市)でのイベント

古民家を活用したデイサービスの一間をお借りしました。久しぶりのパワーポイント映写を交えて、「説経祭文信徳丸一代記」と「文弥浄瑠璃耳なし芳一」を聞いていただきました。耳の肥えた方々ばかりで驚きました。



「耳なし芳一」の演奏中、耳を引き千切る場面で、私の脇のライトが、突然消えて会場は真っ暗になりました・・・・皆さんは、てっきり照明効果と思われたらしいですが、こちらには、そんな事する余裕はありません。オーナーさんに話しましたら、「そうでしたか、出るんですよね・・・」ということでした。亡霊を引き寄せましたかね・・・・

猿八座豊田市公演

巡業その4:第3回 てぃーだかんかん小劇場

「古説経角田川」と新作「耳なし芳一」



角田川の一場面:梅若の亡霊が現れる。

巡業その5: 豊田市岩倉の顕正寺にて



耳なし芳一の一場面:住持が法事から戻ると、辺りは一面の血の海だった。


最近の近況は、フェイスブックに詳しくなっております。合わせてご覧下さい。渡部八太夫フェイスブックはこちらから

幽玄の舞台 佐渡猿八 越敷神社

2015年08月10日 18時21分25秒 | 公演記録
八月の公演と稽古が終わりました。佐渡の越敷神社には、東京からも駆けつけていただき大変有り難う御座いました。能との競演ということで、勝手も分からず、兎に角、勤めさせていただくのに精一杯でしたが、鳥越先生から労いのお言葉を戴き有り難い限りでした。

猿八三番叟:連れ三味線で、姜八景がデビューしました。

能:隅田川での一コマ

新発田の稽古場では、汗だくになって、「耳無し芳一」の稽古が進んでいます。

詩人 谺雄二氏 一周忌のつどい

2015年06月14日 21時10分47秒 | 公演記録

栗生楽泉園から草津白根山を臨む
 
群馬県草津町の栗生楽泉園で行われた、「谺雄二さんの遺志を受け継いで」という追悼会で、姜信子氏の記念講演が行われました。谺雄二氏の母への回想の中に、「葛の葉子別れ」の話しが出て来ます。そこで、私が、説経祭文の「葛の葉」をお聞かせする事になったのでした。しかし、私は、谺氏のことはよく知りませんでしたので、谺雄二氏の詩集「死ぬふりだけでやめとけや」(姜信子編:みすず書房)を勉強させていただきました。説経の物語では、癩者のことが沢山出て来て、私は、いつもそのことを語っているのに、直接にハンセン病の方達と関わってこなかったことを、大変、後悔しました。罪滅ぼしにもなりませんが、せめてもの餞に、「死ぬふりだけでやめとけや」に節をつけて、冒頭、唄わせて頂く機会をいただけましたことは、光栄な事であったと思います。

長野市松代町仏教会 おはなまつり

2015年04月30日 11時24分57秒 | 公演記録
 花まつりと言えば、4月8日でしょうが、この松代町のように、地域ぐるみで仏様の誕生日を祝うとなれば、休日に当てて盛大に行うというのも納得できます。地元小学生のマーチングバンドの先導で、御稚児行列に曳かれた御釈迦様が、街中を練り歩くというのは、珍しいなあと、感心しました。



猿八座は、午後のアトラクションで、山椒太夫鳴子曳きを演じてきました。上越からの応援団の皆さん、ありがとうございました。

説経 角田川 梅若塚 初演

2015年04月30日 10時54分36秒 | 公演記録
 新潟、春の恒例となってきた「AMJ」(アートミックスジャパン)は、年々盛大になっています。今年の観客動員数は、これまでで最高だったのではないでしょうか。能楽堂が満員でした。猿八座としては、毎年、新作をここで披露したいとがんばっているわけですが、今年は、説経角田川、母道行きから梅若塚をご覧いただきました。
 角田川の詳細は、「忘れ去られた物語シリーズ 18 角田川」でご覧下さい。

①お家騒動があって、落ち延びる梅若でしたが、山中で迷子となり、やがて人買いにさらわれてしまうのでした。母は、京洛中を捜し廻りますが、見つかりません。ある客僧に尋ねてみると、人買いが子供を連れて、東路を下って行ったと言うのでした。


②母は、狂女の姿となって、江戸に向かって下ります。(道行き)

③隅田川の渡し船に乗りますと、対岸の塚の廻りに、人々が集まって、念仏を唱えているのでした。

④その大念仏は、我が子梅若の供養であると聞いた母は、絶望しますが、やがて、自らも念仏を唱えて、逆縁ながら我が子を供養するのでした。

⑤その時、梅若の亡霊が、「おかあさん、おかあさん」と現れます。母は、必死に抱きつこうとしますが、叶いません。

そうこうしている内に、とうとう、夜が明けてしまうのでした。