猿八座 渡部八太夫

古説経・古浄瑠璃の世界

明けましておめでとうございます

2016年01月01日 01時01分20秒 | 日記
謹賀新年 丙申。いよいよ、申年がスタートしました。猿八座としては、当たり年になるよう、早速に初詣に行ってまいりました。宜しく御頼み申します。

地元、戸吹町の歴史有るお寺「桂福寺」

鐘楼に登って、除夜の鐘をついてきました。
皆々様におかれましても、良い年となりますよう。御祈念申し上げます。

野生の太夫

2015年06月02日 23時31分06秒 | 日記
 最近、「野生の太夫」という称号を、とある方から戴きました。有り難い限りです。あっちも、こっちも蹴っぽって、寄る島も無き芸道だけれど、捨てる神あれば、拾う神あり。勿論、猿八座の八郎兵衛師匠に、拾われなかったら、何にも始まらなかったのだけれども。名を捨てても尚、芸は死ななず。いや、捨てたからこそ、芸になってきたか?(自分で言うべきではないが・・・)新しい可能性が開けて来たなあという、感謝でいっぱいの、五年目だということを、取りあえず、ブログの空白が長かったので、皆さんに報告しておきます。

 先のブログ更新から、随分と間が抜けてしまいましたが、充電期間というか、制作期間ということで、ご了解いただきたいと思います。この間に、新曲を二つ、手掛けました。

 ひとつは、小泉八雲シリーズ(私的には)第3弾「耳無芳一」、何が新しいかと言えば、これも、実に個人的な問題なのですが、琵琶語りを含める爲に、とうとう本調子の作曲に、踏み切ったということなのです。大変大げさな書き方かもしれませんが、二上がりをやめて、本調子にするということは、過去の自分を否定して、新たな創作をするというぐらいの大事なのです。それ程、私は、二上がりの人なんです。しかし、一般的に語り物は、義太夫も文弥も本調子で作曲されており、変調はあるにせよ、基調が、二上がりなのは説経祭文の特別な慣習とも言えるのです。
 そこで、そういう、染みついたものをゴシゴシと削ることが、「芳一」を浄瑠璃にする爲のひとつの道だと考えました。さて、しかし、それは、節遣いの問題。
 それ以上に、「耳無芳一」を浄瑠璃化する爲の一番の障害は、文言自体でした。そもそも、八雲は、この怪談を日本語で書いたわけではありません。私たちが文献的に読むことができるのは、原文の訳文です。今回、「耳無し芳一」を浄瑠璃化する爲に、一番重要だったのは、公開されている戸川氏の訳文をベースとして、どのような擬古文が可能かということに終始しました。実は、これまでの八雲シリーズ、「貉」「雪女」は、原文に近い文言、つまり現代語で、節付けをして来ましたが、この、「耳無し芳一」は、時代が時代だけに、なるべく浄瑠璃らしくしたかったのです。この作業には、最近、猿八座の活動に参加していただいている姜信子氏(作家)に手伝って頂き、八郎兵衛師匠と三人掛かりで、創作して見たのでした。
 さて、今週から稽古に入る、猿八座の「耳無芳一」の公開は、まだ予定ですが、本年9月13日、愛知県豊田市、第3回のてぃーだかんかん小劇場です。



いきなり、何の写真でしょうか?これこそ、「野生の太夫」の証明です。
これは、バードコールです。野鳥の鳴き声を真似て、鳥を呼び寄せて、遊ぶのです。餌を持つ手に乗って来ることもあります。今時は、四十雀とお話するのが面白いですね。何で、「野生の太夫」の証明か、分かりましたか?実は、このバードコールは、元々は、新潟市の科学博物館で買ったものなのですが、本体が、どこかの山で抜け落ちてしまいました。そこで、修理したのがこの写真です。三味線の糸巻きは黒檀ですので、なかなかいい囀りです。つーぴーつーぴーつーぴー。糸巻き、勿体ないと、言われそうですが、粗相して折ってしまったものなので、リサイクルというわけです。

 さて、二つ目の話しですが、これは、ちょっとその真相を、ここで、書き残すことは無理なので、結果だけ報告致しましょう。

 これまで、私は芸歴のほとんどを、薩摩派説経節に費やしてきましたが、それは、「説経浄瑠璃」だと思い込んでの事でした。だから依り代が常に欲しかったのです。つまり、人形の地方をやりたかったのです。しかし、ようく「説経祭文」という出自を考えれば、傀儡が付く様になったのは後のことで、祭文は、元々唄、つまり唄祭文であっただろうなと、思い至りました。これは、実は私にとっては目から鱗の事態でありました。そう気付かせくれたの瞽女唄でした。例えば、同じ題材の「葛の葉」を、説経祭文をベースにして瞽女唄にしたのであれば、瞽女さん達は、何故、説経祭文をベースにしたのか、いや、べースにできたのは何故か。それは、説経祭文が唄物だったからではないだろうか。正しくは、瞽女さん達は、恐らく、説経祭文を聞いたのではなく、正本から文言を取ったのだから、(誰かに読んでもらって)説経祭文が、既に唄の文句だったのに違い無い。
 そう考えると、長年、祭文を浄瑠璃として用いる時の抵抗感(所作にマッチしない)が、どうして生じるのかが分かる気がする。後年《大正時代から昭和初期》、説経祭文は、車人形等の浄瑠璃に流用されたけれど、その本質は、唄なのではないか。であるなら、本来は、説経祭文は、唄うべきなのではないか。そうして、紛れも無き「説経祭文」、唄う爲の「説経祭文」、「説経節」でも無く、「説経浄瑠璃」でも無く、唄う爲の「説経祭文・葛の葉」を、此の度、書いてみる事にしたのでした。新譜といっても、これまでの節付けを踏襲してはいますが、感覚としては、新しいのです。これも、偶然の巡り合わせですが、まだまだ、異なる可能性というのもは、あるものだなと驚いています。
 一般公開は、未定ですが、ちょっと、験しの武者修行に、月半ばに行って来ます。

謹賀新年 平成27年 乙未

2015年01月01日 12時23分20秒 | 日記
明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。羊というと、浄瑠璃では、あまりいい意味では使われませんが、一歩一歩を見詰めながらしっかりと歩むことにいたしましょう。というわけで、足元を見詰めながら、年越し登山をしてきました。

平成26年の最後の落日:12月31日16:24:軍刀利神社元社

平成27年元旦:初日の赤富士:7:04:軍刀利神社元社

平成27年 猿八座 春の公演予定

 1月31日(土)・2月 1日(日) 新潟大学公演 源氏烏帽子折 新潟県民会館

 4月18日(土)・4月19日(日) 上越公演 ※続山椒太夫 高田世界館

 4月25日(土)     アートミックスジャパン 角田川 りゅーとぴあ能楽堂

※続というのは

 昨年までに公演してきた「山椒太夫三段組み」は安寿のストーリーを主に追っているので、厨子王が山別れした後の話を取り扱うことができませんでした。そこで、今年は、山別れの後、国分寺に逃げ込んで助かる「国分寺の段」、四天王寺で拾われて出世を果たす「厨子王丸出世の段」、そして、親子対面はダブルのですが、最後に「山椒太夫成敗の段」がつきます。謂わば、厨子王丸を中心とした構成の山椒太夫を三段でご覧に入れます。これで、山椒太夫全六段が完結することになります。お楽しみに。

初詣 上戸吹 馬頭観音

2014年01月02日 14時45分23秒 | 日記

午年に因んで、鬼鹿毛に思いを馳せていましたら、

「さて鬼鹿毛が姿をば、真の漆で固めてに、馬をば、馬頭観音と斎うべし」

という一文を思い出しました。小栗判官が鬼鹿毛をて手なずける時に交わした約束です。

早速に、近くの馬頭観音にお参りして来ました。ついでに八幡様にも行って来たので、

小栗判官尽くしのスタートになりました。

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 ところで、4月に予定されている「アートミックスジャパン公演」は、昨年同様、

りゅーとぴあ能楽堂を会場とする予定です。予定演目は、「小栗判官車引」ですが、

八郎兵衛師匠は、能楽堂の特徴である橋掛かりを、なんとか活用するために、

餓鬼阿弥車道行きを付けるなどの工夫を凝らしています。これまでとは少し違った

車曳きになりそうですので、ご期待下さい。

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伝岩佐又兵衛の絵巻「をくり」第13巻第10段(宮内庁)


謹賀新年 平成26年 甲午

2014年01月01日 01時29分07秒 | 日記

明けましておめでとう御座います。
昨年中は、皆々様からの温かいご支援により、また新しい浄瑠璃を作り上げることができました。

今年も、新たな挑戦をして参る所存ですので、尚一層のご愛顧の程お願い申し上げます。

平成26年 猿八座公演予定 速報

3月8日(土)新潟大学主催公演 三段組み山椒太夫

4月5日(土)アートミックスジャパン公演 小栗判官車引

4月26・27日 上越教育大主催公演 三段組み山椒太夫

詳細が決まりましたら、改めてご紹介申し上げます。

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碁盤に乗る小栗判官と鬼鹿毛:豊国絵:早稲田大学演劇博物館蔵

http://enpaku.waseda.ac.jp/db/enpakunishik/results-big.php?shiryo_no=006-1051


謹賀新年 癸巳 平成25年

2013年01月01日 11時03分09秒 | 日記

皆様、明けましておめでとうございます。

東京は快晴の新年を迎えました。

本年も猿八座人形浄瑠璃、並びに薩摩派説経浄瑠璃を、よろしくお願い申し上げます。

早起きをして、八王子の初日の出を拝み、戸吹四社に初詣をして参りました。

戸吹四社というのは、熊野神社、八幡神社、大岳神社、住吉神社です。どれも

山の中にありますので、早朝ハイキングになりました。

平成25年1月1日(火)午前7時15分 東京八王子

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巳年なので、「宇賀神」をお供えしました。

http://blog.goo.ne.jp/wata8tayu/d/20111120

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秋の便り 段菊

2012年09月06日 10時12分50秒 | 日記

昨年植えた段菊が、元気に生い茂り、2年目の花を咲かせ始めました。

信太妻の狐葛の葉の気分になって、愛でています。

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日中はまだ暑いですが、朝夕の涼しい風が段菊を揺らしていると、つい、「信太妻」の一節を口ずさんでしまいます。

「ああ、冷ややかなりし、秋の風、引き煩らわば、如何せん。」

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昨年の記事を参照

http://blog.goo.ne.jp/wata8tayu/d/20111025


謹賀新年 平成24年 壬辰

2012年01月01日 10時15分18秒 | 日記

明けましておめでとうございます。

昨年は、新しい出発の年でした。

多くの方々との出会いと、ご支援によって、

説経師としての方向性をつかむことができました。

改めて、感謝申し上げます。

さて、2年目の今年、平成24年は、壬辰(みずのえたつ)の年です。

忘れ去られた物語シリーズ1で紹介した

「阿弥陀胸割」の物語に登場する「天寿姫」と「松若」の生まれは、

壬辰の年の辰の月の辰の日の辰の刻であると言います。

壬は、水の兄であり、又「妊」であるともいい、陰陽道では、「陽」の年。

辰は、龍であり、水を支配しますから、水を得た龍となります。

六十年に一度の誠に生命力にあふれた年が始まったのです。

そこで、今年の目標は、ただ一つ。

猿八座の太夫、八太夫として

この、四百年前に演じられていた古説経「阿弥陀胸割」を

人形操りとして復活公演することです。

猿八座西橋八郎兵衛師匠共々

本年も、よろしくご支援の程、宜しくお願い申し上げます。

さて、常々悩みの種でありました名跡について改めて説明しておきますと、こ

の様に整理したいと思います。

薩摩派に伝承された「説経祭文」を語る場合は、これまで通り「薩摩若太夫」を

名乗ります。

しかし、古説経を復活するには、新たな「節」が必要となります。古説経の趣を

再現するために「文弥節」の曲節を活用し、新たな浄瑠璃を創作する考えです。

そこで、「古説経」を語る場合は、「八太夫」を名乗ることにします。

今年は、この新しい浄瑠璃を、猿八座の「八太夫」としてデビューさせる年でも

あるわけです。