猿八座 渡部八太夫

古説経・古浄瑠璃の世界

第五回 てぃーだかんかん小劇場 信太妻・貉

2017年10月22日 21時10分56秒 | 公演記録
台風21号接近の雨の中、のべ50名もの方々にお集まりいただきまして、誠にありがとう御座います。今回は半分以上の方々が、初めてご覧になったお客様ということでした。新しい、猿八ファンができたかなあという感触です。大きな拍手をありがとうございました。来年も来て下さいと言っていただきまして、ありがとうございます。豊田の皆々様、又来年お会いいたしましょう。



信太妻:葛の葉と童子と保名と、幸せな生活だったのだが・・・



貉:・・・目も鼻もない・・・びっくり

さて、猿八座は、11月7日より、ウクライナ公演へと旅立ちます。
在ウクライナ大使館・ウクライナにおける日本年
のスケジュールファイル(PDF)をご覧下さい。演目は、今回の「信太妻」をもっていきます。信太妻は、外国の方々にも、分かりやすい演目です。

猿八座 平家女護島二段目全 初演

2017年10月10日 18時37分14秒 | 公演記録
新潟市砂丘館で平家女護島二段目を通しで演じました。約100分ぐらいあります。かなりやり応えがあります。お客さんも大変だったかもしれません。だいたい浄瑠璃は、全体で、五段か六段ありますが、この浄瑠璃は全5段です。朝から始めれば、夕方には終わる尺だったのかもしれません。最近は、歌舞伎にしても文楽にしてもなかなか通しで演ずるということはありませんから、今回の取り組みは一段だけではありますが、大変に勉強になりました。そして、最後の感想は、「やっぱ、近松の筆はすごい」ということになります。

平清盛の孫出産(安徳天皇)を間近にして、男子の平産を祈願するため都は大騒ぎです。そんな中、石清水へ代参した能登の守教経(のりつね)と、恩赦の使者二名、丹左右衛門元安と妹尾の太郎兼康が「鳥羽の作り道」で行き遭います。


教経は、平産祈祷の為、鬼界ヶ島の流人に恩赦を与えると聞くが、その赦免状に「俊寛」の名が無いことを知ると、平重盛の言葉を忘れたかと怒る。



妹尾は嫌みを言って従わないので、結局、教経は、重盛の代筆として「俊寛」の赦免状をその場で書き、丹左右衛門に託す。



そうこうしていると、急使が駆け込んで来て、無事に王子ご誕生と告げるのであった。
ここまでが、口(くち)。「鳥羽の作り道」の場。ここで場面は変わって、鬼界ヶ島の場面となる。




鹿ヶ谷事件で鬼界ヶ島に流罪となっているのは、「俊寛」「平判官康頼」「丹波少将成経」の3名。すでに3年が経過している。
ここでは、「成経」が島の海女「千鳥」と夫婦になったという目出度い話しからはじまるが・・・




突然、恩赦の使者が現れる。「成経」は、「千鳥」も連れ行って欲しいと懇願するが、聞き入れられない。「千鳥」独りが残されて
「千鳥」の口説きとなる。






都に残してきた妻が死んだことを聞いた「俊寛」は一計を案じた。
それは、使者の妹尾を討って、自ら罪を被って島に残り、代わりに「千鳥」を舟に乗せることだった。




立ち回りの末、妹尾の首を落とす。お客様がのけぞってますね。ごめんなさい。




独り島に残された俊寛は、遠ざかる舟を見送る。

裏話:私が猿八座に参加してから6年。猿八座は毎年、新作を創ってきた。これはすごい事だと思う。浄瑠璃は案外、すぐできるが、大変なのは、人形や小道具・大道具である。特に人形の頭は、西橋八郎兵衛師匠でなければつくれない。
今回は、「教経」ができたてほやほや。だいたい新人は公開前日ぐらいか、開演直前ぐらいに出来上がることになっている。今回は、前夜には完成した様子。
つまり、初演というのは、だいたいぶっつけ本番ということである。今回は、稽古日程がタイトだったこともあり、本番が初めての合わせになった・・・それは結構な緊張を強いる舞台であるが、逆に感性は鋭いかも知れない。探り合いをするからである。まあ。当然のことではあるが、2回公演のどちらも、それぞれ違う舞台になっていたのが面白い。(2回つづけてご覧になった方は、残念ながらいらっしゃらなかったようですが)



猿八座 恒例の村上公演 無事終了

2017年10月02日 19時12分42秒 | 公演記録
村上市の人形浄瑠璃を楽しむ会では、6年間に実に10回もの公演を企画運営していただきました。代表の田村初美さんのご尽力に感謝申しあげます。

開会の挨拶をする田村代表



「源氏烏帽子折」伏見の段:平家の武将「宗清」は、雪道に行き暮れた常磐親子を捕らえるか、逃すか迷う・・・
良い場面だが、腹がいるので、何度やっても難しい。
公演終了後、三味線をやっているという外国人女性をはじめ、三味線や語りの興味がある沢山の方々よりお声掛けいただきました。ありがとうございます。三味線や語りを習って見たい方は、お気軽にお声掛け下さい。
さて来週は、新潟市の砂丘館で、「平家女護島」です。源氏と平家が週替わりになりました。「俊寛」の前段である「鳥羽の作道」が初演となりますので、お楽しみにしてください。


福島市民家園 広瀬座

2017年08月28日 15時54分52秒 | 公演記録
此の度、芝居小屋という所で、初めて芝居をさせていただいた。福島市民家園に移築、保存されている「広瀬座」。楽屋付近の至る所にのこされている主演者の落書きが、いかにも庶民的な芝居小屋だ。ところで、前日のリハーサルでは、音が返って来ないので、音響はあんまり考慮されていないなあと思っていた。急に秋めいてきて、気温も湿度も下がって、喉もあんまり調子が良くない。こりゃあ、声を枯らすかなと思って、本番に臨んだのだが・・・びっくり。
有り難い事に、満員札止めかという大勢のお客様が入ったら、その音響ががらりと変わって、どういうわけか、外側の回廊を廻って来るように声が返って来る。これはいったいどういう事なのか。お客の入りを計算して音響設計しているのか?とにかく、とても素晴らしい芝居小屋だということがとても良くわかりました。
さて、今回の福島市制110周年記念行事公演では福島市教育委員会の皆様にお世話になりました。ありがとうございました。


広瀬座内部の様子

市制110周年のご祝儀。二人三番叟


山椒太夫の福島公演で人気なのは、なんといっても国入りの場面です。凱旋する厨子王に自然と拍手が湧き起こります。
又、福島で公演できる日を楽しみにしております。

中山勲氏撮影


熱中東京公演 満員御礼

2017年07月03日 11時33分40秒 | 公演記録
「東京で猿八座を観たい!」実行員会による、東中野ポレポレ坐公演は、冷房機故障の為、熱中症を心配しながらの実施となりました。80名を超える満員の熱気で更に室温上昇という状況でしたが、幸いに救急出動もなく、無事に終える事が出来ました。実行委員の皆様、大変ありがとうございました。猿八座ファンによる公演実行委員会は、これまでに柏崎市、豊田市、村上市、上越市、福島市などにあって、いつもお世話になっているわけですが、今度は東京にも実行委員会ができました。定期的な東京公演ができるようになるかもしれません。

三番叟

実行委員の姜信子さんと屋敷妙子さんのトーク

山椒太夫(山別れ)安寿と厨子王

山椒太夫(親子対面)
実は、三番叟を始める時に少し、吐き気がして気持ち悪くなっていました。今思うと、熱中症だったのは、私だったかもしれません。皆さんも、お気を付け下さい。

柏崎市高柳公演 満員御礼

2017年06月19日 17時07分50秒 | 公演記録
大好評の内に二日間の高柳公演を終えることができました。「柏崎古浄瑠璃を楽しむ会」の皆々様、大変ありがとうございました。町ぐるみの温かい応援が心に沁みました。こういう所が、説経にはぴったりです。雰囲気がよいので、とにかくそれだけで乗せられてしまいます。来年も是非にお邪魔させていただきます。

会場となった石塚酒造のギャラリー姫の井「酒の館」
猿八座特別限定酒が登場。飛ぶように売れたとか。


演目は両日とも前半が「信太妻」
6月17日(土)の後半は、「貉」

6月18日(日)の後半は、「小栗判官照手姫車引き」をご覧いただきました。「車引き」は意外と久しぶりでしたので、ちょっと緊張いたしました。

来年も高柳でお会いいたしましょう。

上越高田世界館公演 満員御礼

2017年04月24日 13時27分27秒 | 公演記録
四年目となった高田世界館公演、各回とも百名を超えるお客様を迎える事ができました。今回は中高生の若い皆さんも実行委員会の上越教育大学名誉教授川村先生はじめ、スタッフの皆様方、大変ありがとうございました。川村先生のお話ですと、平成31年に計画されている新潟県での国民文化祭までは、この「山椒太夫公演」を続けたいというお話でした。心強いばかりです。新潟日報と上越タイムスに掲載された記事をご覧下さい。

新潟日報

上越タイムス



平成29年 新潟大学主催公演 平家女護島

2017年03月13日 14時02分24秒 | 公演記録
第6回目となった新潟大学人文学部附置地域文化連携センター主催公演の演目は「平家女護島」でした。振り返ってみますと、平成24年の第1回目が「信太妻」、平成25年「阿弥陀胸割」、平成26年「山椒太夫」、平成27年「源氏烏帽子折」、平成28年「耳なし芳一」と常に新しい演目に挑戦する機会をいただいてきたことになります。こうした貴重な機会を提供していただいたのは、とりもなおさずセンター長の栗原先生のお陰でした。本当にありがとうございました。その栗原先生も今年度末で御退官されますので、このシリーズの公演は取りあえず、一段落ということになります。これまで、御声援を戴いた皆々様にも、深く御礼申しあげます。


鬼界ヶ島に赦免状がもたらされるが、そこには「俊寛」の名が無い。上使の「瀬尾」は憎まれ口をききまくり、「丹左衛門」は心ある侍だった。


「瀬尾」は、成経の妻「千鳥」の乗船をどうしても許さない。自分の妻が殺されたと聞かされた「俊寛」は、一計を案じる。


「俊寛」は、上使の「瀬尾」を討ち果たし、自ら罪をつくることで、「千鳥」を舟に乗せるのだった。


「俊寛」を島に残し、舟が去って行く。

厨子王、岩城に帰る 福島公演

2016年11月07日 10時25分25秒 | 公演記録
広野町と福島市での「山椒太夫」福島公演を、盛況の内に終えることが出来ました。東京福島県人会並びに福島民報社のご尽力に感謝申し上げます。誠に有り難い次第です。「安寿と厨子王」は福島県民ですから、思い入れの度合いが違いました。歴史的に、今現在に至るまで、苦しみをなめさせられて来た福島の思いのようなものが会場に満ち満ちていたように感じました。今年最後の猿八座の舞台は、涙と喝采に包まれ、本当に「芝居」という雰囲気を味わうことができました。福島公演が叶って本当に良かったと思いました。

広野町公演の様子



厨子王が、父母を輿に乗せて、岩城へと帰ります。


一族が再興しての大団円で、拍手喝采。復興への思いが重なります。御殿から(あの世から)安寿と乳母竹(竹女)がその様子を見守って喜んでいます。



広野町遠藤町長と記念写真。

村上市荒川地区公民館 満員御礼

2016年10月24日 12時17分28秒 | 公演記録
朝から雨の日曜日でしたが、大勢の皆様方にご来場いただきありがとう御座いました。荒川地区公民館の和室は百名を越えるお客様でいっぱいになりました。
村上公演の窓口をしていただいている田村さんには、今年もお世話になりました。改めて御礼申し上げます。
「源氏烏帽子折」での人気者は、なんといっても3歳の義経、牛若丸です。登場しただけで、大受けです。



村上の皆さん、また、来年お会いいたしましょう。

第4回 てぃーだかんかん小劇場 満員御礼

2016年09月25日 20時57分06秒 | 公演記録
人形を凝視しておられた視線が交互に私に向けられます。熱心な視線が、針の様に刺さって、やはり緊張します。お客様の視線が全部分かる小劇場、それが「てぃーだかんかん」。お客様のすすり泣きに、もらい泣きしていては、本末転倒ですが・・・
「山椒太夫」は、丹後の国、由良の金焼地蔵の御本地を、陸奥の国、岩木の判官正氏の守り本尊であったと説き始めます。

山椒太夫に買われた「安寿」と「厨子王」は、逃げる相談を、三郎に聞かれてしまい、額に焼鉄を当てられます。
「厨子王」を逃がす山別れの場面では、地蔵菩薩の功力によって、その傷が消え去るのでした。

母と再会を果たした「厨子王」は、地蔵菩薩の功力によって、母の目を再び開かせます。

母の目が開いた所で、大きな拍手喝采。皆さんほっとしてお帰りになられました。
オーナーの板倉さん、大変ありがとうございました。
又、来年もよろしくお願いいたします。

霊樹山耕雲寺 六百回大遠忌 公演

2016年09月08日 08時18分37秒 | 公演記録
9月6日、7日と、耕雲寺の八百とも言われる末寺より、大勢の僧侶が集まりました。その上、何百人という檀家衆が詰め掛けて、広い本堂が超満員でした。間近に読経を観察できて、大変勉強になりました。

開山六百年大遠忌逮夜諷経

信太妻



御前様の菊池光彦様には、大変お世話になりました。ありがとう御座いました。合掌。

9月8日 新潟日報記事


夏の怪談 耳なし芳一 砂丘館公演

2016年08月08日 12時00分37秒 | 公演記録
8月7日は、新潟も猛暑でした。新潟まつりで市内が燃え上がっていたからかもしれませんが・・・そんな中、砂丘館へご来場いただきありがとうございました。「耳なし芳一」で、少しは涼んでいただけたでしょうか。まだまだ、暑さは続きそうですので、皆様もお体にご自愛下さい。


猿八座 金升酒造公演 

2016年07月18日 12時37分03秒 | 公演記録
梅雨明けが待ち遠しいこの頃ですが、新発田市の酒蔵の中も、蒸し蒸し。お酒のタンクに囲まれて、お酒の香りにむせ返りそうな中で「信太妻」を演じてきました。お客様には、6時から召し上がっていただき、出来上がった頃の7時からの公演。芝居小屋の雰囲気で、乗せられてしまいました。御声援、ありがとうございました。