神戸在住、恋するスタジオ・フォトグラファー、ときどきドキドキ、ホンニョホニョン日記!

元銀塩・スタジオ・フォトグラファーである吾輩が日々、感じ、考え、体験したことをのんびり書き連ねていく日記形式のブログ。

小田和正さんのコンサートの余韻が覚めやらない内に、本、「小田和正ドキュメント1998-2011」を衝動買い。

2011年08月21日 10時48分14秒 | 読書
小田和正ドキュメント 1998-2011
小貫信昭
幻冬舎


神戸は板宿にある「井戸書店
決して大きな書店ではないが、品揃えのユニークな書店である。
本につけてくれた紙カバーにこう書かれている。
「あなたの本の世界を変えましょう」
「井戸書店の経営理念(ミッション)は『我々は感動伝達人』である。」
「お客様が感動をおぼえるような素晴らしい商品を選定し、丁寧にご提示することによって、
当店に関わるすべての人たちが幸福で、質の高い生活を送っていただけるようにしたい!」

素晴らしいではないか。
その前にちょいと一杯、板宿駅前の「鳥貴族」で焼き鳥をあてにビールを呑んでいたのだが、
壁に貼ってあるチラシに「ひとりでも多くの笑顔をつくりたい。」みたいな理念が書いてあった。
企業の目標は「永遠の挑戦」、「永遠の感謝」、「永遠の奉仕」とある。
とにかく「鳥貴族」さんと「井戸書店」の理念の素晴らしさにどことなく共通点を感じ、
大いに共鳴し、まさしくいい気分で立ち読みしていたときに、
この本を見つけた。

これも何かの縁だ!
偶然ではなく必然だ!
これこそシンクロニシティだ!

などと心の中でガッツポーズをしていた。
そうか吾輩に買われるためにこの本屋に置かれていたのか?
などとブツブツ言いながら、買った。

コンサート会場でも販売されていた本である。
読者の年齢層を高めに絞っていたのか、字が大きくて読みやすい。
ということは、数時間で読めてしまうという意味もあるけれど、それはさておき、意外と知らないエピソード満載であった。

交通事故に遭遇されたことも知らなかった。
そこでの臨死体験に近い神秘体験。
立花隆の「臨死体験」を読んで自身の体験をそう確信されたのだろう。
近年の小田さんの生死表裏一体のなんともいえない不可思議な世界観は、その時の体験が大いに影響しているのだろう。

また中国や台湾などへのアジア遠征コンサートのことも知らなかった。
中国語に翻訳してまで歌を披露する情熱は、何に起因しているのかはわからない。
また、吾輩個人的に葛藤のあった「LOOKING BACK」のことも理解できた。
年末恒例の「クリスマスの約束」のてんまつに関しては、なるほどと頷きながら読んでいた。
特に2009年の「'22"50」は小田さんの音楽交友関係の集大成ともいうべきアクトだったから、
これに関しての記述を読んで、あの時の感動(クリスマスだったけ?雪が降る車の中で見ていたけれど)を再体験することができた。
でも最初の数年間は他のアーティストに招待状を送っても、
参加されず、一人でパフォームされていたようである。
しかし、2009年のあの盛り上がり。
あの映像を正式に公開できないのは残念である。
癒しと優しさと勇気と希望に溢れた、あのステージをお蔵入りにすることはもったいないと思う。
ぜひとも、レーベルを越えて公開できないものだろうか。
2010年には山下達郎さんにも招待状を送っていたようである。
もしテレビという媒体に山下達郎さんを招待できたら、
それこそ革命的というか奇跡だろうなあ。
だから竹内まりやさんを説得すればいいと思う。

後半は、新アルバム「どーも」の製作工程を垣間見れる内容になっている。
吾輩個人的に嬉しかったのは、ポール・マッカートニーとウイングスを手本に、新曲を作ったというあたり。
それは小田さん流ロックだという。
小田さんのロックの定義がご自身の言葉でこう披露される。

「『苦労しないで何かを獲得したりしない精神』のことなんだ。前は“ロックロック”とか言うと、表現の可能性を狭めてしまう印象もあったけど、今ではそう理解しているよ。」

そうか、小田さんは実はロッカーだったのだ。
これにはすごく肯けた。
内田裕也氏のロッケンロールの定義がいつも疑問だったけれど、この言葉で氷解。
しかし、それは新アルバム「どーも」7曲目の「やさしい雨」のことなのだが、ウイングスをサウンドの手本にもってくるというあたりは個人的に嬉しい。
サウンドのテイストとして、リンダの弾くエレピが優しく響く「ロンドン タウン」あたりを参考にしたのだろうか。
よく聴いてみれば、確かに隠し味のような各楽器の音色が、確かにウイングスっぽい。
また歌詞の内容が「THE FLAG」あたりの全共闘世代向けっぽい内容でもあるから、
サウンドとあわせて、その世代のファンにとっては、ノスタルジックな感じがするのではないだろうか。

などと感想を書いているが、実はこの本、ぎりぎりこの度の震災前に書き終えている。
当然、あの甚大な天変地異を考えれば、ひとまずはここで区切らなければならなかったのだろう。
続編でなくても、この一年だけでも、分厚いドキュメンタリーが書けることだろうと思う。

蛇足ながら、この本の内容は楽しいのだが、写真はあまり上手くない。
吾輩がプロだから言わせてもらうけれども、ひどい。
もう少し綺麗に撮れるはず。
ギャラ無しで吾輩が撮ってもいいぞ。
などと戯言をいいながら、
作者の次回作を大いに期待する。
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