ワニなつノート

「自分の感受性くらい」という詩

「自分の感受性くらい」という詩


若いころ、この人の詩をなんとも思わなかった。
30歳を過ぎたあたりで、ちょっと気になった。

でも、自分には分からない、と思っていた。

40歳を過ぎたあたりで、かなり気になった。
でも、やっぱり、よく分からなかった。

さっき、古いノートに書き写してあったこの詩を読んで、思った。

50歳を過ぎて、今日、読むために、気になっていたのだと。


自分で「ホーム」を作り、
子どもたちと暮らすという選択をするいま、このときの為に、
この詩を、そばに置いていたのだと、確信。





    ◇       ◇       ◇ 



自分の感受性くらい

茨木のり子



ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて


気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか


苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもがひよわな志にすぎなかった


駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄


自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

コメント一覧

Dーhaha
この詩を私も知っています。なぜなら、息子の小学5.6年生
の時の学級便りに載っていました。必ず、学級便りには詩が
載っていて、次の便りをもらうまで毎日その詩を音読するこ
とが宿題になっていました。
2年の間にこの詩は何度か掲載されていたので、息子Dも何
度も声を張り上げ読んでいました。とても印象に残っていま
す。私には難しい詩だけど、なにか心に響く詩です。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「関係の自立」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事