「孤立した人間の能力」と「自立した人間の能力」についてのメモ
「孤立した人間の能力」は、「民主的な人間関係」の中では、その力を発揮できない。
「民主的な人間関係」のなかで発揮されるのは、「自立した人間の能力」である。
自立した人間の能力とは何か?
率直な自己表現の能力。
自分のことを自分で決める。
いつ決めるかも、自分で決める。
自分のペースを自分に許可できる能力。
「おや?」と気付いたことを過不足なく周囲に伝える能力
クラス集団での対等な関係の形成能力
ストレス下の意思決定の能力。
これらの能力は、個人の努力や訓練によるものであるより、集団が育てあげる「民主的な雰囲気」そのものから生じる、「共同の能力」「共に育つ能力」であり、そのとき、その場に居合わせた者だけに、与えられる、共能力。
それは、危機的状況でばらばらに孤立していく仲間を、安全共同体(セイフティコミュニティ)につなぎとめるのである。
※ これは、飛行機事故を防ぐために機長やクルーのコミュニケーションについて書かれたものから、私が勝手に「翻訳」したメモ。
「翻訳」してみて、改めて分かる。
これは、「ふつう学級の新一年生の世界」で、育まれる能力を表している。
私たちは「分からない授業はかわいそう」とか、みんなができて自分だけできないと自己肯定感が持てないとか、古い言い伝えを基準に考えることから、一度離れた方がいい。
子どもたちに育てたい能力は、どんな能力なのか。
その能力は、どうしたら身につけることができるのか。
そのことは、古い教育の言葉を探してもぜんぜん見つからない。
それよりも、NSAやFAA(米連邦航空局)などが航空機などの事故を防ぐために研究した成果から、ふつう学級で育ちあう幼い子どもたちが身につけている「能力」が何かを理解することができる。
そして、それはまた、虐待された体験を抱えながら生き延びる子どもたちに、どんな援助や必要かを考える手助けになる。
「自立した人間の能力」の反対は、「孤立した人間の能力」なのだ。
つまり、孤立した人間の能力、高校進学や大学進学だけを、「支援」しても、それがまっすぐに「自立した人間の能力」につながるとは限らないのだ。
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