ワニなつノート

『翔ちゃんがいた』 (その7)

『翔ちゃんがいた』 (その7)



その夜、ナオは夢のなかで、真ちゃんと遊んだ。

夢の中では、真ちゃんもナオと同じ2年生だった。
でも、良太やコージみたいに、いじわるなことは言わない。
でも、やっぱり男の子だから、ナオに怪獣になれという。

「いやよ。なんで、わたしが怪獣なの」

ナオの言葉を待たず、真ちゃんのパンチがとんでくる。
でも、パンチがあたっても少しも痛くない。

「夢の中だからかな。それとも、真ちゃんが本当は二歳だからかな」
一年生のころ、ナオはよく休み時間になると、真ちゃんと遊んだ。

「毎日学校で会っていたし、真ちゃんが大好きだったから、おんなじ1組の仲間だと思ってた。でも真ちゃんはまだ1歳だったんだ」

夢の中で、真ちゃんが笑いながら、キックしてくる。
「おばちゃんは、どうして、こんな赤ちゃんをつれて学校に来てたんだろ。」

パンチでもキックでも倒れないナオに、とうとう真ちゃんがかみつく。
「痛いなー。そんなことすると、おしおきだぁ」
ナオが真ちゃんをつかまえて、くすぐる。
真ちゃんはケタケタ笑いながら、逃げようとする。

いつのまにか、翔ちゃんと良太が真ちゃんを助けにくる。
二人ともウルトラマンに変身している。
真ちゃんに、「大丈夫か、助けに来たぞ」と言っているみたいだけど、ナオには、「シュワッ」「ジュッ」としか聞こえない。

翔ちゃんが歩いている。
「そっか、翔ちゃんも、ウルトラマンに変身すれば歩けるんだね」
「ジュワ」
ウルトラマンの顔の翔ちゃんが、笑いながらうなずく。
明日、目がさめたら、お母さんにこの夢のこと、話してあげなくちゃ。

そう思いながら、夢の中でナオは、真ちゃんとウルトラマンを追いかけていく。
どこまでも。どこまでも。どこまでも。
宇宙の果てまでも。

コメント一覧

ai
最高~
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