《狼がきた》
「狼」とは、人間の子どもの命を奪うもの。
狼とは4本足の獣だけでなく、子どものことばを聞かない大人のこと。
私たちは「大人になる」ことを「狼になる」ことと間違えやすい。
子どものころに聞いたものがたりは、そのことを教えてくれる。
「狼がきた~」
子どもが大きな声で助けをもとめる。
最初は大人たちがとんできて、狼から子どもを守ろうとしてくれる。
でも狼はみつからない。
「狼がきた~」
子どもはそれが大人をよぶことばだと知っている。
何度も大人たちはとんでくる、狼から子どもを守ろうとしてくれる。
でも狼はみつからない。
「狼がきた~」
子どもはそれしか助けを求める言葉をしらない。
いくら探しても狼はみつからない。
これじゃ子どもが守れないと、大人たちは自信をなくす。
「狼がきた~」
嘘をつくなと言われても、子どもは助けをよぶことばを他に知らない。
自信をなくした大人たちは、もう狼を探さない。
そこに狼が本当に現れる。
狼とは子どもを助けようとしない大人のこと。
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あの物語は、子どものことばを聞こうとしない大人の物語だったと気づく。
物語には子どもの真実がいっぱいつまっている。
真実を子どもには気づかれないように、上手にすり替えて伝えている。
「わからない授業はかわいそう」
「できないことはかわいそう」
「しょうがいがある姿はかわいそう」
「しょうがいのない子どもと一緒にいるのはかわいそう」
ちがうよ。
かわいそうなのは、みんなから分けられてしまうこと。
かわいそうなのは、子どもを助けようとする大人が一人もいないこと。
「狼がきた~」
子どもは必死で助けを呼んでいる。
「狼がきた~」は、「ひとりはさびしいよ」ということば。
「分けられるのはさびしいよ」ということば。