1月26日の毎日新聞(夕刊)に、純くんのことが紹介されていました。
「花谷寿人の体温計」というコラムです。
夕刊の小さな記事で多くの人の目に届かないような気がするのですが、私は1面トップでみんなに知らせてほしいと感じました。
私が出会ったのは純くんが5歳のとき。それからずっと純くんが拓いてきた世界をみせてもらってきました。私と伊織くんをつなげてくれたのも純くんでした。
記事に出てくる船後議員に、仲村さんと会いに行ったのは、純くんが亡くなって二日後のことでした。舩後議員と純くんの姿が重なってみえた私は、少しだけ純くんのことを話しました。
すると船後さんの隣にいた看護師の方が、「私も2年前、医療的介護が必要な生徒さんが入学したら看護師として高校で務める予定だったんですよ。でも残念ながら合格できなくて。・・・その方ではないですよね」と言われました。
純くんのお母さんは、看護師配置のために県の看護局にも通い相談していました。私はすぐにそれらがつながり、事情が分かったので答えました。「その人です。8年目の来年こそとがんばっていたのですが・・・。一昨日亡くなりました」と報告しました。
そのあと、船後さんと看護師さんは涙をこらえきれず、仲村さんの話を聞いてくれました。記事に書かれている「定員内不合格」についての国会質問は、純くんと伊織くんが協力して実現したものだと思います。
この記事は、純くんと伊織くんが拓いてくれているものの続きだと思うので、ここに紹介します。
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【 甲A、甲B、乙A、乙B・・・・・。記号は個人を表している。
相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で45人が殺傷された事件。横浜地裁で続く植松聖被告の裁判で、ほとんどの被害者の実名は伏せられている。
被害者に非は全くない。それでも家族が名前を明かしにくい社会とは何だろうか。
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昨年暮れ、一人の若者の悲報が本紙に載った。千葉県成田市の渡辺純さん(21)。
脳性まひで、たんを吸引する医療のケアが必要だった。小中学生の時には車椅子で普通学校に通い、中学では体調の変化に備えて看護師が巡回した。
県立高校への進学を希望し、7年間浪人したが、追加募集を含めて27回不合格。このうち、定員割れにもかかわらず落とされた「定員内不合格」は25回にも及んだ。学校側は理由をつまびらかにしていないという。
特殊なケースではない。自身も重度身障者の舩後靖彦参院議員は昨年11月、参院文教科学委員会で、障害者らの定員内不合格が全国的な問題だとして質問した。
現在、高校への進学率はほぼ100%。この4月からは私立高校生への支援も手厚くなる。
高校進学を望めば誰もがかなう時代だ。なのになぜ排除され、共に学ぶ機会が奪われるのか。
これが今年、東京パラリンピックを開催し、「共生社会」を掲げる国の現実である。
文部科学省はまず実態を調べ、明らかにすべきだ。
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私が通った小学校に、知的諸具合のある同級生がいた。人なつこく、人気者。授業の合間にふといなくなり、校庭で遊んでいた。クラスの誰かが迎えに行き、帰ってくるまでみんなで待っていた。
彼が教室でお漏らしをしたことがあった。一人の女子がぞうきんを持ってきて床を拭く。当たり前のことをするように。
そんな光景をなぜだか今も鮮明に覚えている。一緒に学び、同じ時間を過ごすことで、感じられるものがあった気がする。
だからなおさら思う。本当の共生社会であれば、やまゆり園の家族も家族の名を伏せることはなかったのではないか、と。
同級生の名は甲A、乙Bではない。「しげちゃん」といった。】
花谷寿人の体温計(論説委員)
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「純くん」と「しげちゃん」が、伊織くんだけでなく、全国で「定員内不合格」にされ、浪人している春くんやあーちゃんたち、そして今年受検する子どもたちを応援してくれている。
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