ワニなつノート

高校と、自分の居場所 (その8)

高校と、自分の居場所 (その8)


めずらしく「JIN-仁」というドラマにはまって、
録画してまで見ています(^^)v
原作の16巻も二晩で読んでしまいました。

昨日の第9話、江戸で大火が発生し、仁が、
いわゆる患者の選別(トリアージ)をする場面がありました。
江戸時代なので、赤・黄・緑の布を負傷者の手首に巻くことで、
傷度の判定をおこなっていました。

優先度1(緊急救命的)=赤
優先度2(準緊急)=黄
優先度3(待機安定)=緑
優先度4(死亡)=黒


トリアージ【(フランス)triage】
《「選別」「優先割当」の意》
大災害によって多数の被災者が発生した際に、
どの負傷者から治療するか、
どの患者を救急搬送するかといった
優先順位を決めること。
また、その役目。
現場の人材・機材などを最大限に活用するために行う。



   □     □     □

ドラマでその場面を見たとたん、
いままで、定員内不合格について考えるときに、
何度も考えていたことがよみがえりました。

平成20年・中学3年生の生徒の数。
118万8725人。
この内の758人だけが、最終的に定時制高校からも
「定員内不合格」にされました。
わずか0.0006%の子どもです。

その子たちは、小学校、中学校では、
先生や友だちに恵まれてきたでしょうか。
学校で大切に扱われた経験があるでしょうか。
家庭は安心できる場所だったでしょうか。
定時制高校さえ定員内で見捨てられ、
この先、働く場所が見つかるでしょうか。

私が出会ってきた、障害のある子どもで、
高校受験をしてきた子どもたちは、
小学校でも中学校でも、先生や友だちに恵まれ、
大切に扱われてきた経験もあります。
0点でも高校へと、子どもの気持ちを
大切にしてくれる親もいます。

でも、それ以外の「定員内不合格」にされる子どもたちは、
そうではありません。

むしろ、同世代の15歳のなかで、
もっとも教育を必要とする子どもたちだと、私は思います。

もし「選別」をするなら、
優先度1(緊急救命的)=赤の布を
腕につけるべき子どもたちです。

優先度1(最も教育を必要とする子ども)

本来なら、118万8725人の中の、
758人の腕に「赤い布」を巻き、
もっとも教育を必要とする子どもとして
扱うべきではないでしょうか。



現状の高校入試は、
15歳の子どもたちを学力で選抜し、
わずか0.0006%、
1万人の中の6人の子どもを捨てて、
痛みを感じない制度です。


小夜さんの言葉を思い出します。
「選抜、選抜って言うけど、
選抜っていうのは何も成績の上から順に
選ばなきゃいけないって決まりがある訳じゃないんだから」
「一番教育を必要とする人から順番に
教育するという選抜があってもいいんじゃないの」

たしかに、野球の日本代表でも、
オリンピックのマラソンや柔道の代表でも、
必ずしも「数字」「成績」の上から順に
選抜している訳じゃないな~、と思ったりします。

しかも、高校の場合、
災害時の医師の数や医薬品、設備が
「制限」された状況での「選別」でさえありません。

高校生全員の授業料を無償にすることができる状況で、
わずか0.0006%、
1万人の中の6人の子どもに、
定時制高校の教育を保障することが
できないはずがありません。

1949年。
今から、60年前に、「文部省」はこう言っています。


「入学者の選抜を望ましいものであるという考えを
いつまでももっていてはならない。」

「選抜はやむをえない害悪であって、
経済が復興して高等学校で学びたいものに
適当な施設を用意することができるようになれば、
直ちになくすべきもの」

「高等学校はその収容力の最大限度まで、
国家の全青年に奉仕すべきものである。」



60年後の現状は、
わずか0.0006%、
1万人の中の6人の子どもの腕に、
黒い布を巻きつけているとしか、
私には思えません。
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