ワニなつノート

今年の要望書  県教委  2023

                                                    

2023年6月8日

千葉県教育委員会教育長 冨塚昌子様

千葉「障害児・者」の高校進学を実現させる会 (代表)佐藤陽一

 

定員内不合格をなくし、すべての子どもに後期中等教育を保障することを求める要望書

 

貴職におかれましては、千葉県立高等学校の入学者選抜において「特段の理由がない限り入学許可候補者とし、定員を確保する」との通知を発出するなど、後期中等教育の機会をすべての子どもに保障するための取り組みに心より敬意を表します。

しかし残念ながら今年も多くの高校で「県民の信頼」を損なう「憂慮すべき事態」(定員内不合格57人)が起こりました。「定員遵守」の主旨がないがしろにされ、『誰一人取り残さず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育』も尊重されず、多くの子どもの中学卒業後の進路が閉ざされました。

当会の小幡さんは3回連続で「定員内不合格」とされました。一般入試では、180人募集で140人受検、定員40人空きで不合格(泉高等学校・新國校長)。二次募集では、42人募集で9人受検、定員33人空きで、一人だけ不合格(泉高等学校・新國校長)。追加募集では、76人募集で5人が受検、定員71人空きで、一人だけ不合格(船橋高校定時制・酒匂校長)。子どものために準備された「144人の教育環境」がありながら、「一人だけ」入学させない「特段の理由」は説明されていません。

昨年4月、末松信介前文部科学大臣は、「障害のみを理由に入学を認めないということはあってはならない。高等学校への入学後も、一人一人の障害などの状態に応じた適切な指導が提供されることが重要」、「高等学校への進学率が約99%に達している。高校には様々な背景を持つ生徒が在籍していることから、生徒の様々な能力、適性、興味、関心に応じた学びを実現することが必要」「定員内不合格を出す場合にはその理由について十分に説明をし、理解を得るべきもの」と答弁し、文部科学省は「定員内不合格」者数について、初めての全国調査を行いました。(千葉県は43人。全国で16番目に多い)。(また当会において、これまで155人の子どもたちが408回受検し、379回不合格と判定されてきましたが、そのうち107回が定員内不合格でした。)

泉高等学校(新國校長)と船橋高等学校・定時制(酒匂校長)は、「障害を理由としていない」「総合的判断」等を繰り返すのみで、「特段の理由」については一言の説明もありませんでした。千葉県教育委員会が「定員遵守」の通知等によって、すべての中学卒業生に後期中等教育の機会を保障することを目指し、しかも各高等学校のスクールポリシーに「学び直し」が明記されている状況下で、「特段の理由」の説明のないまま教育機会を奪われることは「不公平・不公正」そのものであり、定員内不合格を口実にした「定員内入学拒否」です。とくに酒匂校長は本人保護者に対し、「下駄をはかせることはしない」と繰り返し、「他の生徒と比べて特別に下駄を履かせるようなことは一切いたしません。ただ、いろんなところを総合的に見て本校の勉強に耐えてくれるかどうかが 判断の基準でございます」と説明しました。この説明は、履修が可能であるにもかかわらず「単位取得が困難」、「卒業の見込みがない」などの誤った知識を優先して「履修可能性なしと判断」し、不合格と判断した疑いがあります。

千葉県が「特別配慮申請書」を導入し「定員内不合格をできる限り出さないよう努めることを入学者選抜実施要項に加えた」のは27年前(1996年)のことです。「従来も定員内不合格を出さないよう各校に通知してきた。定員確保に努めることを高校側に広く知ってもらうため、新たに要項に盛り込んだ」と報道されました(※資料1)。そして平成26年12月には「定員内不合格0」を目指し「定員遵守」の通知が示され、さらに令和3年度からは、定員内不合格を出した学校に対するヒアリングが行われ、定員内不合格を出さないための取り組みが進められてきました。しかしそれにも関わらず、無説明の定員内不合格が続いています。

千葉県教育委員会が「定員遵守」及び「学ぶ意欲のある生徒を定員内不合格とすることの無いように」求めている現状で、それをただの「努力義務」と公言し、かつ「特段の理由」について一言も説明できない校長個人の判断によって、これ以上「県民の信頼」を損なう「憂慮すべき事態」が繰り返されないよう、以下の事項を要望致します。

 

                記

 

1・  障害のある受験生一人のみを定員内不合格とした『特段の理由』等を明らかにするため、泉高等学校(新國校長)、船橋高等学校(酒匂校長)と、学校設置者である県教育委員会、当事者・保護者三者での「説明」の場を設定し、当事者・保護者からの質問(※別紙1)への回答を行って下さい。校長の退職等により説明機会が得られない場合は、ヒアリングの結果等を基に、学校設置者である県教育委員会による回答をお願い致します。

 

2・  一人一人のニーズに合わせた教育資源の配分を行うという「公平、公正」の考え方に基づき、千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項に、『受検者数が募集人員を満たしていない場合は不合格としない』、『募集人員を満たすよう合格者を決定する』という文言を明記して下さい。

 

3・  千葉県教育委員会教育長通知の「特段の理由」について、『千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項の違反又は虚偽若しくは不正等が判明した場合』などのように、具体的な指針となる事例を示し、千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項に記載して下さい。

 

4・  「学ぶ意欲のある生徒を定員内不合格としない」ため、また「一人一人の多様なウェルビーイングの実現のために、誰一人取り残さず、全ての人の可能性を引き出す学びを、学校をはじめとする教育機関の日常の教育活動に取り入れていく必要がある」ことを周知するため、特別配慮申請書に併せて中学校校長作成の『学ぶ意欲に関する推薦書』を導入して下さい。

 

5・  千葉県公立高等学校における補習等のあり方と合理的配慮について、課題の量や、補習の時間・回数が、生徒の過度の負担とならないよう「障害のある生徒の指導連絡協議会」等で、研修を実施して下さい。

 

6・  「令和6年度千葉県公立高等学校入学者選抜」において、試験時間の「延長」を希望する生徒に対し、中学校生活での実績を考慮し「特別配慮」を認めてください。

 

 

(※資料1)

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