ワニなつノート

感情の流れを共に生きること(メモ4)


感情の流れを共に生きること(メモ4)


《認知》

自分の感情を認知すること。
相手の感情を認知すること。
そして感情の流れを、共に、生きていることを認知すること。

分かりたいのは、そのことなんだけど、「認知」という言葉がピンときません。
ふだんの暮らしのなかでは使わない言葉です。

そこで、感情を「聴く」とか、感情の流れが「見える」と書いてみるのですが、あまりピンときません。


昨日、ふと「やっちゃんがいく」の石川先生の解説を開いてみたら、「認知」のことがちゃんと書いてありました。


          ◇


認知。
それは、なんでしょう?
それは、あそびとどんな関係があるのでしょう?

えのぐと紙は、ありますか?
あったら、太陽の絵をかいてみてください。


さて、あなたの太陽は、なに色ですか?
おなじ太陽でも、人によって、つかう色は、ちがいます。
赤、黄、オレンジ……。

ちがうのは、色だけではありません。

形も、いろいろです。
まんまる、ギザギザ、キラキラ……。

大きさも、背景も、ちがうでしょう。


ひとによって絵がちがうのは、なぜでしょう?

人間のかんじる色や形や大きさは、みんなおなじではないのです。
ひとり、ひとり、「かんじかた」がちがうからです。
この「かんじかた」を、認知というのです。

色の認知、形の認知、大きさの認知。
太陽の絵は、いろいろな認知のしかたで、ちがってくるのです。

        ☆

認知は脳でします。
目で見えるものだけではありません。
脳は、ほかにもいろいろな認知をおこないます。


脳には、さわったかんじを認知するばしょ、音を認知するばしょ、においを認知するばしょなど、認知するばしょがたくさんあります。

だから、脳のいろいろなところを、いっぱい、そしてたのしくつかうと、ゆたかな認知ができるようになります。

そのためにたいせつなのは、あそびです。
あそんでいるとき、認知はしぜんにどんどんひろがっていきます。

          ☆

でも、たいせつなのは、認知だけではありません。
もうひとつたいせつなことがあります。

あなたと、ほかのひとでは、認知の仕方がちがいますね。

ところが、あなたは、ほかのひとがかいた太陽を、太陽だとわかります。

ちがっていても、わかりあえる!

ふしぎですね。

このふしぎな力を、想像力といいます。

じつは、ひとりあそびをしていると、この想像力がそだっていきます。
だから、ひとりあそびはたいせつなのです。

こどもの脳は、とても活発です。
自由にあそべばあそぶだけ、認知や想像がひろがります。

           ☆

でも、おとなになると、あそばなくなります。
そうすると、脳は元気がなくなっていきます。
たくさん認知したり、いっぱい想像したりすることが苦手になるのです。

そこで、おとなは、認知や想像をしなくてもいいように、脳の一部分だけをつかおうとします。

たとえば、たいていのおとなは、太陽をあらわすとき、赤くまるくかきます。

「太陽は赤くてまるい」と、頭できめているからです。
いちどきめてしまうと、脳を働かせなくてすむので、らくだからです。

でも、そうなると、みんないつでもおなじ絵をかくようになります。

ひるまの太陽を、ちょっとだけながめてください。
まぶしくて、赤くも、まるくも見えないでしょう。
それでもおとなは、赤くまるくかきます。

脳をつかわなくなったおとなたちは、こどものもっているゆたかな認知や想像力も、理解できなくなってしまいます。


そして、じぶんのあそびかたをまもろうとする子、
ひととはちがったあそびかたをする子、
おもしろいことばのつかいかたをする子、
そういう個性的なこどもを、「へんな行動をする」とか「がんこでひとのいうことをきかない」などといいます。

         ☆

「みんなでなかよくあそぶ」のはたいせつなことです。

でも、それは、「みんなでおなじようにあそぶ」ことではありません。

ひととちがうことはとてもたいせつです。


(『やっちゃんがいく』   (解説:石川憲彦) ポプラ社)
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